Solaris 10 リリースから、デバイス ID 出力の表示形式が新しくなりました。Solaris ボリュームマネージャによるデバイス ID 出力の表示が新旧どちらの形式であるかは、デバイス ID 情報が状態データベースの複製に追加された時期によって決まります。
デバイス ID はこれまで 16 進値で表示されていました。新しい形式では、ASCII 文字列でデバイス ID が表示されます。次の例からわかるように、通常、変化はわずかです。
id1,ssd@w 600c0ff00000000007ecd255a9336d00
id1,ssd@n 600c0ff00000000007ecd255a9336d00
次の例のように、変化が大きい場合もないわけではありません。
id1,sd@w4849544143484920444b3332454a2d33364 \e4320202020203433334239383939
id1,ssd@n600c0ff00000000007ecd255a9336d00
Solaris 10 リリースにアップグレードした場合、既存のディスクセットに対応するデバイス IDは、Solaris ボリュームマネージャ構成で更新されません。以前の Solaris リリースに戻さなければならなくなった場合、アップグレード後にディスクセットに対して行った構成の変更は、以前のリリースでは使用できないことがあります。該当する構成変更は、次のとおりです。
アップグレード以前に存在していたディスクセットへの新しいディスクの追加
新規ディスクセットの作成
状態データベースの複製の作成
このような構成変更は、ローカルディスクセットを含め、Solaris ボリュームマネージャで作成可能なあらゆるディスクセットに影響を与えます。たとえば、Solaris 10 リリースで作成したディスクセットに対してこのような変更を実行した場合、そのディスクセットは以前のリリースにインポートできません。もう 1 つ例を挙げます。ミラー化されたルートの片側を Solaris 10 リリースにアップグレードし、さらにローカルディスクセットに対して構成変更を行うことがあります。その後、サブミラーを以前のリリースに戻した場合、このような変更は認識されません。
Solaris 10 OS の構成には、アップグレードの場合も含めて、新しい形式のデバイス ID が示されます。prtconf -v コマンドを使用すると、この情報を表示できます。一方、Solaris ボリュームマネージャは、旧形式と新形式のどちらでも表示します。Solaris ボリュームマネージャでどちらの形式が表示されるかは、ディスクを使い始めたときに稼働していた Solaris OS のバージョンによって決まります。Solaris ボリュームマネージャが Solaris 10 リリースのデバイス ID と形式は異なるが同じ内容を示しているかどうかを判断するには、metastat コマンドの出力と prtconf -v コマンドの出力を比較します。
次の例では、metastat コマンドの出力は、同じディスクに対する prtconf -v コマンドの出力に含まれている c1t6d0 のデバイス ID と形式は異なりますが、内容は同じです。
# metastat d127: Concat/Stripe Size: 17629184 blocks (8.4 GB) Stripe 0: Device Start Block Dbase Reloc c1t6d0s2 32768 Yes Yes Device Relocation Information: Device Reloc Device ID c1t6d0 Yes id1,sd@w4849544143484920444b3332454a2d33364e4320202020203433334239383939 |
# prtconf -v .(output truncated) . . sd, instance #6 System properties: name='lun' type=int items=1 value=00000000 name='target' type=int items=1 value=00000006 name='class' type=string items=1 value='scsi' Driver properties: name='pm-components' type=string items=3 dev=none value='NAME=spindle-motor' + '0=off' + '1=on' name='pm-hardware-state' type=string items=1 dev=none value='needs-suspend-resume' name='ddi-failfast-supported' type=boolean dev=none name='ddi-kernel-ioctl' type=boolean dev=none Hardware properties: name='devid' type=string items=1 value='id1,@THITACHI_DK32EJ-36NC_____433B9899' . . . (output truncated) |
prtconf -v コマンドの出力に含まれている「instance #6」の行は、metastat コマンドの出力に含まれているディスク c1t6d0 と対応しています。prtconf -v コマンドの出力に含まれているデバイス ID id1,@THITACHI_DK32EJ-36NC_____433B9899 は、デバイス ID id1,sd@w4849544143484920444b3332454a2d33364e4320202020203433334239383939 という、metastat コマンドの出力と対応しています。この出力の相違は、Solaris ボリュームマネージャが metastat コマンドの出力では 16 進形式でデバイス ID を表示し、Solaris 10 OS 構成では prtconf コマンドの出力として ASCII 文字列を表示することを示します。