Solaris のシステム管理 (基本編)

x86: ブートプロセス (参照情報)

次の節には、GRUB ベースのブートを実装しない Solaris x86 システムのブートに関連する参照情報が記載されています。


注 –

この リリースでは、Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) が GRUB メニューに置き換えられました。この Oracle Solaris リリースでの x86 システムのブートの詳細は、「GRUB を使用して x86 システムをブートする (作業マップ)」を参照してください。


x86: ブートサブシステム

ブートプロセス中は、ブートサブシステムメニューは異なるデバイスとブートオプションを表示します。システムは何回かのタイムアウトのあとで応答を受け付けなくなった場合、デフォルトの設定値を使って自動的にブートを継続します。ブートサブシステムメニューが表示されるたびに、ブートプロセスを停止することができます。また、自動的に継続させることもできます。

Solaris のブート時に、ブートシステムについて次の選択を行えます。

次の表に、主な x86 システムのブートインタフェースの目的を示します。以降の節では、各ブートインタフェースを詳細に説明し、例を示します。

表 16–1 x86: ブートサブシステム

ブートサブシステム 

目的 

一次ブートサブシステム (「Partition Boot」メニュー) 

このメニューは、現在ブート中のディスクに複数のオペレーティングシステム (Oracle Solaris OS (Solaris OS) を含む) が含まれている場合に表示されます。 

二次ブートサブシステム 

このメニューは、Oracle Solaris リリースをブートするたびに表示されます。自動ブートプロセスに割り込んで、Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) を実行することを選択していない限り、システムが自動的にブートされます。 

Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) ブートフロッピーディスク 

「Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助)」メニューを表示するには次の 2 つの方法があります。

  • Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) ブートフロッピーディスクまたは Oracle Solaris SOFTWARE - CD (CD-ROM ドライブからブートできるシステムのみ) を使用してシステムをブートします。

  • インストールしたディスクから Solaris ソフトウェアをブートするときに自動ブートプロセスに割り込みます。

「Current Boot Parameters」メニュー 

このメニューは、Oracle Solaris をソフトウェアのメディアまたはネットワークからブートするときに使用します。このメニューにはブートオプションが表示されます。 


注 –

Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) ブートフロッピーディスクを作成する必要がある場合は、http://www.sun.com/bigadmin/hcl/drivers/dca_diskettes/ を参照してください。


x86: Solaris リリースのブート

このリリースでは、Oracle Solaris SOFTWARE - CD または DVD を使って x86 システムをブートする場合や PXE ネットワークブートを実行する場合には、システムが自動的にブートされます。Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) を使用するには、システムプロンプトが表示された際に、Esc キーを押してブートプロセスに割り込む必要があります。

デバイスを識別する段階では、Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) は次の処理を実行します。

ブートの段階では、Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) は次の処理を実行します。

次の節では、デバイスを識別する段階で表示されるメニューの例を示します。デバイス出力は、各システム構成によって異なります。

x86: デバイス識別段階で表示される画面

Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) がシステム上のデバイスを識別するときに、いくつかの画面が表示されます。

この節では、次のブートサブシステム画面の例を示します。

x86: Device Configuration Assistant 画面


注 –

この Oracle Solaris リリースでは、x86 システムにおいて「Device Configuration Assistant」画面が GRUB メニューに置き換えられています。詳細は、「GRUB を使用して x86 システムをブートする (作業マップ)」を参照してください。


Solaris 10 の初期のリリースでは、ブート段階でシステムプロンプトが表示された際にユーザーが Esc キーを押さない限り、自動ブートプロセスで Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) メニューが省略されます。Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) を使用する選択を行なった場合、次の画面が表示されます。


Solaris Device Configuration Assistant
                                             
The Solaris(TM)Device Configuration Assistant
scans to identify system hardware, lists identified devices, and can
boot the Solaris software from a specified device. This program must be
used to install the Solaris operating environment, add a driver,
or change the hardware on the system. 

> To perform a full scan to identify all system hardware, choose Continue. 
> To diagnose possible full scan failures, choose Specific Scan.
> To add new or updated device drivers, choose Add Driver. 

About navigation...  
	- The mouse cannot be used. 
	- If the keyboard does not have function keys or they do not respond,
	  press ESC. The legend at the bottom of the screen will change to
	  show the ESC keys to use for navigation. 
	- The F2 key performs the default action.

F2_Continue		F3_Specific Scan		F4_Add Driver		F6_Help

x86: Bus Enumeration 画面

この画面は、Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) が自動検出できるデバイスのハードウェア構成データを集めているときに一時的に表示されます。


Bus Enumeration

Determining bus types and gathering hardware configuration data ...

Please wait ...

x86: Scanning Devices 画面

この画面は、特別なドライバだけで検出できるデバイスを Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) が手動で走査しているときに表示されます。


Scanning Devices

The system is being scanned to identify system hardware.

If the scanning stalls, press the system's reset button. When the
system reboots, choose Specific Scan or Help.


Scanning: Floppy disk controller

#######################
|      |        |         |         |         |
0	 		 20       40        60	       80       100

Please wait ...

x86: Identified Devices 画面

この画面は、システムで識別されたデバイスを表示します。この画面からは、「Boot Solaris」メニューに移動できます。

また、次のオプションのデバイス作業も実行できます。


Identified Devices

The following devices have been identified on this system. To identify
devices not on this list or to modify device characteristics, such as
keyboard configuration, choose Device Tasks. Platform types may be
included in this list.

ISA: Floppy disk controller
	ISA: Motherboard
	ISA: PnP bios: 16550-compatible serial controller
	ISA: PnP bios: 16550-compatible serial controller
	ISA: PnP bios: Mouse controller
	ISA: PnP bios: Parallel port
	ISA: System keyboard (US-English)
	PCI: Bus Mastering IDE controller
	PCI: Universal Serial Bus
	PCI: VGA compatible display adapter

F2_Continue   F3_Back   F4_Device Tasks   F6_Help

x86: ブート段階で表示されるメニュー


注 –

Solaris 10 1/06 リリース以降では、システムのブート時に GRUB が表示されます。GRUB ベースのブートについての詳細は、「GRUB を使用して x86 システムをブートする (作業マップ)」を参照してください。


この段階では、システムをブートする方法を指定できます。

ブート段階で表示されるメニューは次のとおりです。

x86: Boot Solaris メニュー

「Boot Solaris」メニューからは、Oracle Solaris リリースをブートするデバイスを選択できます。また、autoboot やプロパティー設定の表示や編集など、オプションの作業も実行できます。ブートデバイスを選択し、「Continue」を選択すると、Solaris カーネルがブートを開始します。


Boot Solaris
Select one of the identified devices to boot the Solaris kernel and
choose Continue.

To perform optional features, such as modifying the autoboot and property
settings, choose Boot Tasks.

An asterisk (*) indicates the current default boot device.

> To make a selection use the arrow keys, and press Enter to mark it [X].

[X]  DISK: (*) Target 0:QUANTUM  FIREBALL1280A
on Bus Mastering IDE controller on Board PCI at Dev 7, Func 1
[ ]  DISK: Target 1:ST5660A
on Bus Mastering IDE controller on Board PCI at Dev 7, Func 1
[ ]  DISK: Target 0:Maxtor 9 0680D4
	on Bus Mastering IDE controller on Board PCI at Dev 7, Func 1
[ ]  CD  : Target 1:TOSHIBA  CD-ROM XM-5602B  1546
	on Bus Mastering IDE controller on Board PCI at Dev 7, Func 1

F2_Continue   F3_Back   F4_Boot Tasks   F6_Help

x86: 「Current Boot Parameters」メニュー

このメニューは、ローカルディスクから Oracle Solaris リリースをブートするたびに表示されます。デフォルトのカーネルからブートする場合は、5 秒間のタイムアウトが経過するのを待ちます。別のオプションでブートする場合は、タイムアウト期間が経過する前に、適切なオプションを選択します。


                     <<< Current Boot Parameters >>>
Boot path: /pci@0,0/pci-ide@7,1/ide@0/cmdk@0,0:a
Boot args: 
Type    b [file-name] [boot-flags] <ENTER>       to boot with options
or      i <ENTER>                                to enter boot interpreter
or      <ENTER>                                  to boot with defaults
 
 
                     <<< timeout in 5 seconds >>>
 
Select (b)oot or (i)nterpreter: 

x86: ブートプロセス

次の表では、x86 システムのブートプロセスについて説明します。

表 16–2 x86: ブートプロセスの説明

ブート段階 

説明 

BIOS 

1. システムの電源をオンにすると、BIOS がセルフテスト診断を実行してシステムのハードウェアとメモリーを検査します。エラーが検出されなければ、システムは自動的にブートを開始します。エラーが検出されると、復元オプションを示すエラーメッセージが表示されます。 

追加のハードウェアデバイスの BIOS がここで実行されます。 

 

2. BIOS ブートプログラムが、ブートデバイスの最初のディスクセクターを読もうとします。ブートデバイス上のこの最初のディスクセクターにはマスターブートレコード mboot が格納されており、このレコードが読み込まれて実行されます。mboot ファイルが見つからなかった場合は、エラーメッセージが表示されます。

ブートプログラム 

3. マスターブートレコード mboot には、アクティブなパーティションと、Solaris ブートプログラム pboot の位置を見つけるのに必要なディスク情報が格納されており、mboot は、pboot を読み込んで実行します。

 

4. Solaris ブートプログラム pboot が一次ブートプログラム bootblk を読み込みます。bootblk の目的は、UFS ファイルシステム内に格納された二次ブートプログラムを読み込むことにあります。

 

5. ブート可能なパーティションが複数ある場合、bootblkfdisk テーブルを読んでデフォルトのブートパーティションを探し、利用可能なパーティションのメニューを作成して表示します。ブートするパーティションを選択する際に、30 秒経過するとタイムアウトになります。これは、ブート可能なパーティションが複数ある場合にのみ発生します。

 

6. bootblk はルート (/) ファイルシステムで二次ブートプログラム boot.bin または ufsboot を探し、実行します。Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) を起動するときは、5 秒以内に自動ブートに割り込みをかけます。

 

7. 二次ブートプログラム boot.bin または ufsboot/etc/bootrc スクリプトを実行するコマンドインタプリタを起動します。このスクリプトによってシステムのブート方法を選択するメニューが表示されます。デフォルトでは、カーネルが読み込まれ、実行されます。ブートオプションを指定したり、ブートインタプリンタを起動したりするときは、5 秒以内に行います。

カーネル初期設定 

8. カーネルは二次ブートプログラム boot.bin または ufsboot を使用してファイルを読み込み、カーネル自身を初期化して、モジュールの読み込みを開始します。カーネルはルート (/) ファイルシステムをマウントするのに十分なモジュールを読み込むと、 二次ブートプログラムの対応づけを解除し、自身のリソースを使って動作を続けます。

 

9.カーネルはユーザープロセスを作成し、/sbin/init プロセスを起動します。このプロセスは /etc/inittab ファイルを読み込んで他のプロセスを起動します。

init

10. この Oracle Solaris リリースでは、/sbin/init プロセスが /lib/svc/bin/svc.startd を開始し、さらにその svc.startd が次の各処理を行うシステムサービスを開始します。

  • ファイルシステムの検査とマウント

  • ネットワークとデバイスの設定

  • 各種プロセスの起動とシステム保守作業の実行

さらに、svc.startd は互換性を維持する目的で実行制御 (rc) スクリプトを実行します。

x86: ブートファイル

実行制御スクリプトおよびブートファイル以外にも、x86 システムのブートに関係する追加ブートファイルがあります。

表 16–3 x86: ブートファイル

ファイル 

説明 

/etc/bootrc

Oracle Solaris リリースのブートに使用するメニューとオプションを含みます。 

/boot

システムをブートするために必要なファイルとディレクトリを含みます。 

/boot/mdboot

第 1 レベルのブートストラッププログラム (strap.com) をディスクからメモリーにロードする DOS 実行可能ファイル。

/boot/mdbootbp

第 1 レベルのブートストラッププログラム (strap.com) をフロッピーディスクからメモリーにロードする DOS 実行可能ファイル。

/boot/rc.d

インストールスクリプトを含むディレクトリ。内容の変更はできません。 

/boot/solaris

ブートサブシステムの項目を含むディレクトリ。 

/boot/solaris/boot.bin

Solaris カーネルまたはスタンドアロンの kmdb をロードします。この実行可能ファイルは、ブートファームウェアサービスも提供します。

/boot/solaris/boot.rc

x86 システム上の Oracle Solaris オペレーティングシステムを出力し、DOS エミュレーションモードで Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) を実行します。 

/boot/solaris/bootconf.exe

Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) の DOS 実行可能ファイル。 

/boot/solaris/bootconf.txt

Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) の国際化されたメッセージを含むテキストファイル (bootconf.exe)。

/boot/solaris/bootenv.rc

ブート環境の設定用の eeprom 変数を格納します。

/boot/solaris/devicedb

master ファイル (リアルモードドライバでサポートされるすべての有効なデバイスのデータベース) を含むディレクトリ。

/boot/solaris/drivers

リアルモードドライバを含むディレクトリ。 

/boot/solaris/itup2.exe

インストール時更新 (ITU) プロセスで実行される DOS 実行可能ファイル。  

/boot/solaris/machines

以前は使用されていたが、現在はもう使用されていないディレクトリ。 

/boot/solaris/nbp

ネットワークブート関連ファイル。 

/boot/solaris/strap.rc

どのロードモジュールをロードするか、メモリー内のどこにロードするかの指示を含むファイル。 

/boot/strap.com

第 2 レベルのブートストラッププログラムをメモリーにロードする DOS 実行可能ファイル。