Solaris のシステム管理 (基本編)

ディスクレスクライアント管理機能

smosservice コマンドおよび smdiskless コマンドを使うと、ネットワークにディスクレスクライアントサポートを追加したり、維持したりすることができます。ネームサービスを使うと、システム情報を一元管理できるので、ホスト名などの重要なシステム情報をネットワーク上のすべてのシステムに複製する必要がありません。

smosservice コマンドおよび smdiskless コマンドを使うと、次の作業を実行できます。

x86 システム上で GRUB ベースのブートを実行する場合は、DHCP 構成を手動で設定する必要があります。詳細は、「x86: GRUB ベースのブート環境にディスクレスクライアントを追加するための準備方法」を参照してください。


注 –

ディスクレスクライアントコマンドは、ディスクレスクライアントのブートの設定にのみ使用できます。このコマンドは、リモートインストールまたはプロファイルサービスなど、ほかのサービスの設定では使用できません。リモートインストールを設定するには、sysidcfg ファイルにディスクレスクライアント仕様を定義する必要があります。詳細は、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (カスタム JumpStart/上級編)』を参照してください。


ディスクレスクライアントコマンドの使用

次の表のコマンドを使って独自のシェルスクリプトを記述すると、簡単にディスクレスクライアント環境を設定および管理できます。

表 6–5 ディスクレスクライアントコマンド

コマンド 

サブコマンド 

作業 

/usr/sadm/bin/smosservice

add

OS サービスを追加します 

 

delete

OS サービスを削除します 

 

list

OS サービスをリスト表示します 

 

patch

OS サービスのパッチを管理します 

/usr/sadm/bin/smdiskless

add

ディスクレスクライアントを OS サーバーに追加します 

 

delete

ディスクレスクライアントを OS サーバーから削除します 

 

list

OS サーバー上のディスクレスクライアントをリスト表示します 

 

modify

ディスクレスクライアントの属性を変更します 

次に示す 2 種類の方法で、これらのコマンドに関するヘルプを参照することができます。

ディスクレスクライアント管理に必要な RBAC 権限

smosservice コマンド および smdiskless コマンドはスーパーユーザーとして使用できます。役割によるアクセス制御 (RBAC) を使用している場合、割り当てられた RBAC 権限に応じて、すべてのディスクレスクライアントコマンドまたはそのサブセットのいずれかを使用できます。次の表にディスクレスクライアントコマンドを使用するのに必要な RBAC 権限を示します。

表 6–6 ディスクレスクライアント管理に必要な RBAC 権限

RBAC 権限 

コマンド 

作業 

基本的な Solaris ユーザー、ネットワーク管理 

smosservice list

OS サービスをリスト表示します 

 

 

smosservice patch

OS サービスのパッチリストを表示します 

 

smdiskless list

OS サーバー上のディスクレスクライアントのリストを表示します 

Network Management 

smdiskless add

ディスクレスクライアントを追加します 

システム管理者 

すべてのコマンド 

すべての作業 

OS サービスの追加

Oracle Solaris OS サーバーとは、ディスクレスクライアントシステムをサポートするオペレーティングシステム (OS) サービスを提供するサーバーのことです。OS サーバーを新たにサポートすることも、smosservice コマンドを使ってスタンドアロンシステムを OS サーバーに変換することもできます。

サポートする各プラットフォームグループおよび Oracle Solaris リリース用に、特定の OS サービスを OS サーバーに追加する必要があります。たとえば、Oracle Solaris リリースが動作する SPARC sun-4u システムをサポートするには、sun-4u/Oracle Solaris 10 OS サービスを OS サーバーに追加する必要があります。サポートするディスクレスクライアントごとに、そのクライアント用の OS サービスを OS サーバーに追加する必要があります。たとえば、Oracle Solaris 10 や Solaris 9 リリースが動作する SPARC sun-4m システムまたは x86 システムは、それぞれ異なるプラットフォームグループに属しているため、それぞれのシステムをサポートするための OS サービスを追加する必要があります。

OS サービスを追加するには、該当する Oracle Solaris ソフトウェア CD、DVD、またはディスクイメージへのアクセス権が必要です。

OS サーバーにパッチが適用された場合に OS サービスを追加する

OS サーバーに OS サービスを追加しようとすると、サーバー上の OS と追加するサービスの OS のバージョンが一致しないというエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーメッセージは、OS サーバーにインストールされている OS のパッケージにパッチが適用されていても、追加しようとしている OS サービスのパッケージにはパッチが適用されていない (パッチがパッケージに組み込まれているため) 場合に表示されます。

たとえば、最新の Solaris リリースまたは Oracle Solaris OS が動作するサーバーがあるとします。このサーバーには、パッチがすでに適用された Solaris 9 SPARC sun-4m OS サービスなど、追加の OS サービスがロードされている可能性があります。このため、Solaris 8 SPARC sun-4u OS サービスを CD-ROM からこのサーバーに追加しようとすると、次のエラーメッセージが表示されることがあります。


Error: inconsistent revision, installed package appears to have been 
patched resulting in it being different than the package on your media. 
You will need to backout all patches that patch this package before 
retrying the add OS service option.