Solaris のシステム管理 (基本編)

スーパーユーザー (root) になるか役割を引き受ける

ほとんどの管理作業 (ユーザーの追加、ファイルシステムの管理など) では、まず root (UID=0) としてログインするか、役割を引き受ける (RBAC を使用している場合) 必要があります。root アカウント (「スーパーユーザーアカウント」とも呼ばれる) は、システムを変更したり、緊急時にユーザーファイルの保護を無効にしたりする場合に使用します。

システムの変更がむやみに行われないように、スーパーユーザーアカウントと役割は、管理作業を実行するためだけに使用してください。スーパーユーザーアカウントに関連するセキュリティー問題は、小さな作業を行うときにでもこのユーザーがシステムへの完全なアクセス権を持ってしまうことにあります。

RBAC が実装されていない環境では、スーパーユーザーとしてシステムにログインすることも、su コマンドを使ってスーパーユーザーアカウントに変更することもできます。RBAC が実装されている場合は、コンソールを介して役割を引き受けることも、su を使用して役割を指定することもできます。

コンソールを使用して管理作業を行う場合は、次のいずれかを実行できます。

RBAC の大きなメリットは、特定の機能しか使用できないように役割を作成できることです。RBAC を使用している場合は、スーパーユーザーになるのではなく役割を引き受けることで、制限付きのアプリケーションを実行できます。

プライマリ管理者の役割の作成手順については、「最初の役割 (プライマリ管理者) を作成する方法」を参照してください。RBAC の概要については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の第 9 章「役割によるアクセス制御の使用 (手順)」を参照してください。

Procedureスーパーユーザー (root) になるか役割を引き受ける方法

スーパーユーザーになるか役割を引き受ける場合は、次のいずれかの方法を使用します。各方法では、スーパーユーザーのパスワードまたは役割のパスワードを知っている必要があります。

  1. 次のいずれかの方法でスーパーユーザーになります。

    • ユーザーとしてログインしたあとで管理ツールを利用する方法。

      1. Solaris 管理コンソールを起動します。

      2. Solaris 管理ツールを選択します。

      3. root としてログインします。

      この方法では、コンソールから任意の管理作業を実行できます。

      Solaris 管理コンソールの起動方法については、「ネームサービス環境で Solaris 管理コンソールを起動する方法」を参照してください。

    • システムコンソールでスーパーユーザーとしてログインする方法。


      hostname console: root
      Password: root-password
      #

      ポンド記号 (#) は、シェルにおける、スーパーユーザーアカウント用のプロンプトです。

      この方法では、すべてのシステムコマンドとツールに完全にアクセスできます。

    • ユーザーとしてログインし、コマンド行で su コマンドを実行してスーパーユーザーアカウントに変更する方法。


      % su
      Password: root-password
      #

      この方法では、すべてのシステムコマンドとツールに完全にアクセスできます。

    • スーパーユーザーとしてリモートでログインする方法。

      この方法は、デフォルトでは使用できません。システムコンソールのスーパーユーザーとしてリモートログインするには、/etc/default/login ファイルを変更する必要があります。このファイルの変更方法については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の第 3 章「システムアクセスの制御 (作業)」を参照してください。

      この方法では、すべてのシステムコマンドとツールに完全にアクセスできます。

  2. 役割になります。

    次のいずれかの方法を選択します。

    • ユーザーとしてログインし、コマンド行で su コマンドを実行して役割に変更する方法。


      % su role
      Password: role-password
      $

      この方法では、設定した役割がアクセスできるすべてのコマンドとツールを使用できます。

    • ユーザーとしてログインしたあとで管理ツールを利用する方法。

      1. Solaris 管理コンソールを起動します。

      2. Solaris 管理ツールを選択します。

      3. 役割になります。

      Solaris 管理コンソールの起動方法については、「スーパーユーザーまたは役割としてコンソールを起動する方法」を参照してください。

      この方法では、引き受けた役割がアクセスできるすべての Solaris 管理ツールを使用できます。