端末とモデムは、システム資源とネットワーク資源へのローカルおよびリモートのアクセスを提供します。端末とモデムの設定は、システム管理者の重要な作業です。この節では、Oracle Solaris オペレーティングシステムにおけるモデムと端末の管理についての概要を説明します。
システムのビットマップグラフィックディスプレイは、文字端末とは異なります。文字端末はシリアルポートに接続され、テキストのみを表示します。グラフィックスディスプレイは、特別な手順に従って管理する必要はありません。
発信専用
着信専用
双方向
家庭用コンピュータに接続されたモデムは、「発信専用」サービスを提供するよう設定されていることがあります。発信専用サービスを使用すると、自宅から他のコンピュータにアクセスできます。しかし、外部からそのマシンにアクセスすることはできません。
「着信専用」サービスは、その逆です。着信サービスを使用すると、遠隔地からシステムにアクセスできます。しかし、外部への発信はできません。
「発着信両用」アクセスは、その名のとおり、発信と着信の両方の機能を備えています。
「ポート」とは、デバイスがオペレーティングシステムと通信するためのチャネルです。具体的には、端末やモデムのケーブルを物理的に接続する「コンセント」と考えると一番わかりやすいでしょう。
ただし、ポートは厳密には物理的なコンセントではなく、その実体はハードウェア (ピンとコネクタ) とソフトウェア (デバイスドライバ) からなっています。多くの場合、1 つの物理的コンセントが複数のポートを備えており、複数の装置を接続できます。
一般的なポートとして、シリアル、パラレル、SCSI (Small Computer Systems Interface)、Ethernet などがあります。
「シリアルポート」は、標準的な通信プロトコルを使用し、1 バイト単位の情報を 1 本の回線上で 1 ビットずつ伝送します。
RS-232-C または RS-423 標準に従って設計されたデバイスには、大半のモデム、文字端末、プロッタ、および一部のプリンタが含まれます。これらのデバイスは、同様に設計されたコンピュータのシリアルポートであればどれにでも、標準ケーブルを使用して接続できます。
1 台のコンピュータに多数のシリアルポートデバイスを接続する必要がある場合、システムに「アダプタボード」を追加しなければならないことがあります。アダプタボードは、ドライバソフトウェアを使用することにより、より多くの装置を接続できるための追加のシリアルポートを提供します。
モデムや端末を使用すると、シリアルポートのソフトウェアを介してコンピュータ資源にアクセスできます。シリアルポートソフトウェアは、ポートに接続する装置向けに特定の「サービス」を提供するように設定しなければなりません。たとえば、モデムに対してはシリアルポートは発着信両用サービスを提供するように構成できます。
サービスへのアクセスは、主にポートモニターを通じて行います。ポートモニターとは、ログイン要求や、プリンタまたはファイルのアクセス要求を常に監視しているプログラムのことです。
ポートモニターは要求を検出すると、オペレーティングシステムとサービスを要求する装置間の通信を確立するのに必要なすべてのパラメータを設定します。次に、必要なサービスを提供する他のプロセスに制御を移します。
次の表に、Oracle Solaris リリースで提供されている 2 つのタイプのポートモニターとその説明を示します。
表 1–1 ポートモニターのタイプ
getty と呼ばれる従来のポートモニターを使い慣れたユーザーもいます。新しい ttymon ポートモニターはより強力です。1 つの ttymon ポートモニターで複数の getty に相当する処理が行えます。それ以外の点では、どちらのプログラムも同じ機能を提供します。詳細は、getty(1M) のマニュアルページを参照してください。