Oracle Solaris DHCP で、「マクロ」は複数のネットワーク構成オプションとその設定値の集まりです。DHCP サーバーは、マクロを使って、どのようなネットワーク構成情報を DHCP クライアントに送信するかを決めます。
管理ツールは、DHCP サーバーの構成時に、システムファイルから情報を収集するだけでなく、プロンプトやコマンド行オプションを通して管理者から直接情報を収集します。この情報から次のマクロを作成します。
ネットワークアドレスマクロ — ネットワークアドレスマクロの名前は、クライアントネットワークの IP アドレスと同じになります。たとえば、ネットワークのアドレスが 192.68.0.0 なら、ネットワークアドレスマクロの名前も 192.68.0.0 になります。このマクロには、ネットワークのどのクライアントでも必要になる情報が含まれています。たとえば、サブネットマスク、ネットワークブロードキャストアドレス、デフォルトルーター、またはルーター発見トークン、さらに、サーバーで NIS/NIS+ を使用する場合には、NIS/NIS+ のドメインとサーバーなどです。ネットワークに適用可能なその他のオプションも含まれることがあります。ネットワークアドレスマクロは、そのネットワークにあるすべてのクライアントに対して自動的に処理されます (「マクロ処理の順序」を参照)。
ロケールマクロ — ロケールマクロの名前は Locale です。このマクロには、時間帯を指定するための協定世界時 (UTC) からの時間差 (秒単位) が含まれています。ロケールマクロは自動的には処理されません。これは、サーバーマクロに含まれています。
サーバーマクロ — サーバーマクロの名前はサーバーのホスト名と同じになります。たとえば、サーバーの名前が pineola なら、サーバーマクロの名前も pineola になります。このサーバーマクロには、リースポリシー、時間サーバー、DNS ドメイン、DNS サーバーに関する情報のほかに、構成プログラムがシステムファイルから入手したその他の情報が含まれていることがあります。サーバーマクロにはロケールマクロが含まれているため、DHCP は、ロケールマクロをサーバーマクロの一部として処理します。
最初のネットワークの IP アドレスを構成する際に、これらのアドレスを使用するすべての DHCP クライアントに対して使用するクライアント構成マクロを選択する必要があります。選択したマクロは、その IP アドレスにマップされます。デフォルトではサーバーマクロが選択されます。このサーバーマクロには、このサーバーを使用するすべてのクライアントに必要な情報が含まれています。
クライアントは、IP アドレスにマップされているマクロのオプションより先に、ネットワークアドレスマクロに含まれているオプションを受け取ります。そのため、サーバーマクロのオプションとネットワークアドレスマクロのオプションが矛盾する場合は、サーバーマクロのオプションが優先します。マクロが処理される順序については、「マクロ処理の順序」を参照してください。