Solaris のシステム管理 (IP サービス)

検査信号ベースの障害検出

in.mpathd デーモンは、検査用 IP アドレスを持つ IPMP グループの各インタフェースで検査信号ベースの障害検出を実行します。検査信号ベースの障害検出では、検査用 IP アドレスを使用して ICMP 検査信号メッセージを送受信します。これらのメッセージは、インタフェースを経由して同じ IP リンクの 1 つ以上のターゲットシステムに届きます。検査用 IP アドレスの紹介については、「検査用 IP アドレス」を参照してください。検査用 IP アドレスの構成については、「複数のインタフェースを持つ IPMP グループを構成する方法」を参照してください。

in.mpathd デーモンは、動的に検査信号を送信するターゲットシステムを検出します。IP リンクに接続されているルーターは、自動的に検査信号のターゲットとして選択されます。リンクにルーターがない場合、in.mpathd は検査信号をリンクの隣接ホストに送信します。ターゲットシステムとして使用するホストの選択にあたっては、すべてのホストを意味するマルチキャストアドレス (IPv4 では 224.0.0.1、IPv6 では ff02::1) にマルチキャストパケットが送信されます。検査信号は、ICMP エコーパケットに応答する最初のいくつかのホストに送信されます。in.mpathd が ICMP エコーパケットに応答したルーターまたはホストを検出できなかった場合、in.mpathd は検査信号ベースの障害を検出できません。

ホストルートを使用して、in.mpathd が使用するターゲットシステムのリストを明示的に構成できます。手順については、「ターゲットシステムの構成」を参照してください。

IPMP グループの各インタフェースが正常に機能するかどうかを確認するために、in.mpathd は、IPMP グループのすべてのインタフェースを通してすべてのターゲットに個別に検査信号を送信します。連続する 5 つの検査信号に対して応答がない場合、in.mpathd はそのインタフェースに障害があるものとみなします。検査信号を発信する頻度は、「障害検出時間」に依存します。障害検出時間のデフォルト値は 10 秒です。ただし、障害検出時間は /etc/default/mpathd ファイルで調整できます。手順については、/etc/default/mpathd ファイルを構成する方法」を参照してください。

回復検出時間が 10 秒の場合、検査信号を発信する頻度はおよそ 2 秒に 1 度になります。最短の回復検出時間は障害検出時間の倍の時間となり、デフォルトは 20 秒です。これは、検査信号に対する応答を連続して 10 回受け取る必要があるためです。障害および回復検出時間は、検査信号ベースの障害検出だけに適用されます。


注 –

VLAN から構成される IPMP グループでは、リンクベースの障害検出が物理リンクごとに実装されるため、そのリンク上のすべての VLAN に影響します。検査信号ベースの障害検出は、VLAN リンクごとに実行されます。たとえば、bge0/bge1 bge1000/bge1001 は、1 つのグループに構成されます。bge0 のケーブルが取り外されると、リンクベースの障害検出では、即時の障害発生場所として bge0bge1000 の両方が報告されます。ただし、bge0 上のすべての検査ターゲットが到達不可能になった場合は、障害発生場所として bge0 のみが報告されます。これは、 bge1000 は自身の VLAN 上の検査ターゲットを持つためです。