Solaris のシステム管理 (IP サービス)

IKE と公開鍵証明書

公開鍵証明書を使用すると、通信するシステムが秘密鍵情報を帯域外で共有する必要がなくなります。公開鍵では、鍵の認証とネゴシエーションに Diffie-Hellman プロトコル (DH) を使用します。公開鍵証明書には、2 つの方法があります。公開鍵証明書は、自己署名付きにすることも、認証局 (CA) が認証することもできます。

自己署名付き公開鍵証明書は、自ら (管理者) が作成します。ikecert certlocal -ks コマンドを実行して、システムの公開鍵と非公開鍵のペアの非公開部分を作成します。そのあと、管理者は、リモートシステムから X.509 形式で自己署名付き証明書の出力を取得します。リモートシステムの証明書は、鍵のペアの公開部分の ikecert certdb コマンドに入力されます。自己署名付き証明書は、通信するシステムの /etc/inet/ike/publickeys ディレクトリに保存されます。証明書をシステムに接続されているハードウェアに保存したい場合は、-T オプションを指定します。

自己署名付き証明書は、事前共有鍵と CA 間の中間ポイントになります。事前共有鍵とは異なり、自己署名付き証明書は移動体システムまたは再番号付け可能なシステムで使用できます。固定番号を使用しないで、システムの証明書に自己署名するには、DNS ( www.example.org) または email (root@domain.org) の代替名を使用します。

公開鍵は、PKI または CA 組織で配信できます。公開鍵とそれに関連する CA は、/etc/inet/ike/publickeys ディレクトリに格納されます。証明書をシステムに接続されているハードウェアに保存したい場合は、-T オプションを指定します。また、ベンダーは証明書失効リスト (CRL) も発行します。管理者は鍵と CA を格納するだけでなく、CRL を /etc/inet/ike/crls ディレクトリに格納する責任があります。

CA には、サイトの管理者ではなく、外部の機関によって認証されるといった特長があります。その点では、CA は公証された証明書となります。自己署名付き証明書と同様に、CA は移動体システムまたは再番号付け可能なシステムで使用できます。その一方、自己署名付き証明書とは異なり、CA は通信する多くのシステムを保護するために容易にスケーリングできます。