パケットヘッダーの一部である受信側の IP アドレスによって、パケットの経路制御方法が決まります。このアドレスにローカルネットワークのネットワーク番号が含まれている場合は、その IP アドレスを持つホストに直接パケットが送られます。ネットワーク番号がローカルネットワークではない場合は、パケットはローカルネットワーク上のルーターに送られます。
ルーターは、「経路制御テーブル」に経路制御情報を格納します。このテーブルには、ルーターが接続されているネットワーク上のホストとルーターの IP アドレスが含まれています。また、それらのネットワークを指すポインタも含まれています。ルーターは、パケットを受信すると、経路制御テーブルを調べて、ヘッダー内の宛先アドレスがテーブルにリストされているかどうかを確認します。テーブルにその宛先アドレスが含まれていない場合は、ルーターは、経路制御テーブルにリストされているほかのルーターにパケットを転送します。ルーターの詳細については、「IPv4 ルーターの構成」を参照してください。
次の図は、2 つのルーターにより接続された 3 つのネットワークのネットワークトポロジを示します。
ルーター R1 は、ネットワーク 192.9.200 と 192.9.201 に接続しています。ルーター R2 は、ネットワーク 192.9.201 とネットワーク 192.9.202 と接続しています。ネットワーク 192.9.200 のホスト A がネットワーク 192.9.202 のホスト B にメッセージを送る場合、次のイベントが発生します。
ホスト A は、ネットワーク 192.9.200 にパケットを送り出します。パケットヘッダーには、受信側ホスト B の IPv4 アドレスである 192.9.202.10 が含まれています。
ネットワーク 192.9.200 には、192.9.202.10 の IPv4 アドレスを持つマシンはありません。したがって、ルーター R1 がパケットを受け取ります。
ルーター R1 は自己の経路制御テーブルを調べます。ネットワーク 192.9.201 には、アドレスが 192.9.202.10 であるマシンはありません。ただし、経路制御テーブルにはルーター R2 がリストされています。
R1 は「次のホップ」ルーターとして R2 を選択し、パケットを R2 に送信します。
R2 は、ネットワーク 192.9.201 を 192.9.202 に接続します。R2 は、ホスト B の経路制御情報を持っており、パケットをネットワーク 192.9.202 に転送します。ここで、ホスト B がパケットを受諾します。