Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

DA 通知と検出頻度の変更

次のような場合は、DA 通知と検出要求のタイミングを制御するプロパティーを変更できます。

この節の手順では、次のプロパティーを変更する方法について説明します。

表 9–2 DA 通知タイミングと検出要求のプロパティー

プロパティー 

説明 

net.slp.passiveDADetection

非要請 DA 通知を slpd が待機するかどうかを示すブール値

net.slp.DAActiveDiscoveryInterval

新しい DA に対して slpd が DA の能動的検出を実行する頻度を示す値

net.slp.DAHeartBeat

非要請 DA 通知を DA がマルチキャストする頻度を示す値

UA と SA を静的に構成された DA に限定する

UA と SA が slp.conf ファイル内の静的な構成情報から DA アドレスだけを取得するように制限することが必要な場合があります。次の手順では、slpdnet.slp.DAAddresses プロパティーから DA 情報だけを取得するように 2 つのプロパティーを変更できます。

ProcedureUA と SA を静的に構成された DA に限定する方法

次の手順に従って、net.slp.passiveDADetection および net.slp.DAActiveDiscoveryInterval プロパティーを変更します。


注 –

この手順は、静的な構成を使用するように制限されている UA と SA を実行するホストにだけ使用してください。


  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ホスト上の slpd とすべての SLP 動作を停止します。


    # svcadm disable network/slp
    
  3. 構成の設定を変更する前に、デフォルトの /etc/inet/slp.conf ファイルのバックアップをとります。

  4. slp.conf ファイル内の net.slp.passiveDADetection プロパティーに False を設定して、受動的検出を無効にします。この設定により、slpd は非要請 DA 通知を無視します。


    net.slp.passiveDADetection=False
  5. net.slp.DAActiveDiscoveryInterval-1 を設定して、初期および定期の能動的検出を無効にします。


    net.slp.DAActiveDiscoveryInterval=-1
  6. 変更を保存し、ファイルを閉じます。

  7. 変更を反映するには、slpd を再起動します。


    # svcadm enable network/slp
    

ダイアルアップネットワークに対する DA 検出の構成

UA または SA がダイアルアップネットワークによって DA から切り離されている場合は、DA 検出を構成して、検出要求と DA 通知の数を削減するか、完全になくすことができます。ダイアルアップネットワークでは、通常起動時に課金されます。余分な通話を最小限に抑えることにより、ダイアルアップネットワークの使用コストを削減できます。


注 –

「UA と SA を静的に構成された DA に限定する」で説明している方法で、DA 検出を完全に無効にすることができます。


Procedureダイアルアップネットワークに対する DA 検出の構成方法

次の手順に従って、DA ハートビートの期間と能動的検出の間隔を長くすることで、非要請 DA 通知と能動的検出を削減できます。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ホスト上の slpd とすべての SLP 動作を停止します。


    # svcadm disable network/slp
    
  3. 構成の設定を変更する前に、デフォルトの /etc/inet/slp.conf ファイルのバックアップをとります。

  4. slpd.conf ファイル内の net.slp.DAHeartbeat プロパティーの値を大きくします。


    net.slp.DAHeartbeat=value
    
    value

    DA 通知の受動的ハートビートに対して秒数を設定する、32 ビットの整数

    デフォルト値は、10800 秒 (3 時間) です

    値の範囲は、2000 から 259200000 秒です

    たとえば、DA を実行しているホストに対して、DA のハートビートを約 18 時間に設定できます。


    net.slp.DAHeartbeat=65535
  5. slpd.conf ファイル内の net.slp.DAActiveDiscoveryInterval プロパティーの値を大きくします。


    net.slp.DAActiveDiscoveryInterval value
    
    value

    DA の能動的検出クエリーに対して秒数を設定する、32 ビットの整数

    デフォルトの値は、900 秒 (15 分) です

    値の範囲は、300 から 10800 秒です

    たとえば、UA と SA を実行しているホストに対して、DA の能動的検出の間隔を 18 時間に設定できます。


    net.slp.DAActiveDiscoveryInterval=65535
  6. 変更を保存し、ファイルを閉じます。

  7. 変更を反映するには、slpd を再起動します。


    # svcadm enable network/slp
    

頻繁なパーティション分割に対する DA のハートビートの構成

スコープをサポートするすべての DA に登録するには、SA が必要です。DA は、slpd が能動的検出を行なったあとで現れることがあります。DA が slpd スコープをサポートする場合、SLP デーモンはホスト上のすべての通知を DA に登録します。

slpd が DA を検出する 1 つの方法は、起動時に DA が送り出す初期の非要請通知を使用します。SLP デーモンは定期的な非要請通知 (ハートビート) を使用して、DA がまだアクティブであるかどうかを判断します。ハートビートが出現しない場合、SLP デーモンは自分が使用する DA を削除し、これを UA に申し出ます。

最後に、DA にシャットダウン要求が出されると、DA は特別な DA 通知を転送して、受信中の SA サービスに DA がサービスから抜け出すことを知らせます。SLP デーモンもこの特別な通知を使用して、キャッシュからアクティブでない DA を削除します。

ネットワークが頻繁にパーティション分割を行い、SA の期限が長い場合、ハートビートの通知を受けなければ、slpd はパーティションの分割中に DA をキャッシュから削除できます。ハートビートの頻度を減らすことにより、使用中止になった DA がパーティションの修正後にキャッシュに復元されるまでの遅延時間を縮小できます。

Procedure頻繁なパーティション分割に対して DA のハートビートを構成する方法

次の手順に従って、net.slp.DAHeartBeat プロパティーを変更し、DA のハートビート期間を短くします。


注 –

DA 検出が完全に無効になっている場合、UA と SA を実行しているホストが正しい DA にアクセスするように、そのホストの slp.confnet.slp.DAAddresses プロパティーを設定する必要があります。


  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ホスト上の slpd とすべての SLP 動作を停止します。


    # svcadm disable network/slp
    
  3. 構成の設定を変更する前に、デフォルトの /etc/inet/slp.conf ファイルのバックアップをとります。

  4. net.slp.DAHeartBeat の値を 1 時間 (3600 秒) に短縮します。デフォルトでは、DA のハートビート期間は 3 時間 (10800 秒) に設定されています。


    net.slp.DAHeartBeat=3600
  5. 変更を保存し、ファイルを閉じます。

  6. 変更を反映するには、slpd を再起動します。


    # svcadm enable network/slp
    

ネットワーク輻輳の軽減

ネットワークが非常に混雑している場合、マルチキャストの量を制限できます。ネットワークに DA を配置していない場合は、DA を配置すると SLP 関連のマルチキャストの量を大幅に削減できます。

ただし、DA の配置後でも DA 検出のためのマルチキャストは必要です。DA 検出に必要なマルチキャストの量は、「ダイアルアップネットワークに対する DA 検出の構成方法」で説明している方法で削減できます。「UA と SA を静的に構成された DA に限定する」で説明している方法で、DA 検出のためのマルチキャストを完全になくすことができます。