Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

メールボックスファイル

メールボックス」は、電子メールメッセージの最終的な宛先となるファイルです。メールボックス名には、ユーザー名または postmaster などの特定の機能の名前を指定できます。メールボックスは、ユーザーのローカルシステムかリモートのメールサーバーのいずれかの /var/mail/username ファイルにあります。ただし、いずれの場合でも、メールボックスはメールが配信されるシステム上にあります。

ユーザーエージェントがメールスプールからメールを取り出し、ローカルメールボックスに容易に格納できるように、メールは常にローカルファイルシステムに配信される必要があります。ユーザーのメールボックスの宛先として、NFS でマウントされたファイルシステムを使用しないでください。特にリモートサーバーから /var/mail ファイルシステムをマウントしているメールクライアントには、直接メールを送信しないでください。この場合ユーザー宛てのメールは、クライアントのホスト名ではなく、メールサーバーにアドレス指定する必要があります。NFS でマウントされたファイルシステムは、メールの配信と処理に問題を起こすことがあります。

/etc/mail/aliases ファイルと NIS や NIS+ といったネームサービスを利用すると、電子メールアドレスの別名を作成できます。したがって、ユーザーは、個々のユーザーのメールボックスの正確なローカル名を知る必要はありません。

次の表に、特殊な目的のメールボックスに対する共通の命名規則をいくつか示します。

表 14–8 メールボックス名の書式についての規則

表記形式 

説明 

username

多くの場合、ユーザー名はメールボックス名と同じです。 

Firstname.Lastname Firstname_Lastname Firstinitial.Lastname Firstinitial_Lastname

ユーザー名は、ファーストネームとラストネームをドット (または下線) で区切ったフルネーム。または、ファーストネームをイニシャルにして、イニシャルとラストネームをドット (または下線) で区切ったもの。 

postmaster

ユーザーは、postmaster のメールボックスに質問を送ったり、問題点を報告したりできます。通常は各サイトとドメインに postmaster メールボックスがあります。

MAILER-DAEMON

sendmail は、MAILER-DAEMON 宛てのメールを自動的にポストマスターに送ります。

aliasname-request

-request で終わる名前は、配布リストの管理アドレス。このアドレスは、配布リストを管理する人にメールをリダイレクトします。

owner-aliasname

owner- で始まる名前は、配布リストの管理アドレス。このアドレスは、メールエラーを処理する人にメールをリダイレクトします。

owner-owner

この別名は、エラーを戻す先の owner-aliasname の別名がない場合に使用されます。このアドレスは、メールエラーを処理する人にメールをリダイレクトします。このアドレスは、大量の別名を管理する任意のシステムで定義されます。

local%domain

パーセント記号 (%) は、メッセージがその宛先に着くと展開されるローカルアドレスを示します。ほとんどのメールシステムは、% 記号つきのメールボックス名を全メールアドレスとして翻訳します。%@ と置き換えられ、メールはそれに応じてリダイレクトされます。多くの人が % を使用しますが、これは正式な標準ではありません。この規則は、電子メールの世界では「パーセントハック」と呼ばれています。この機能は、メールに問題が起こった場合にデバッグに使用されることが多いです。

sendmail version 8 より、所有者の別名が存在する場合、グループの別名に送信されるメールの封筒の送信者は、所有者の別名から展開されるアドレスに変更されました。この変更によって、メールエラーは、送信者に返送されるのではなく、別名の所有者に送信されるようになりました。この変更によって、別名に送信されたメールは、別名の所有者から送信されたように見えます。次の別名の書式は、この変更に関連したいくつかの問題に対応します。


mygroup: :include:/pathname/mygroup.list
owner-mygroup: mygroup-request
mygroup-request: sandys, ignatz

この例では、mygroup の別名が、このグループの実際のメール別名です。owner-mygroup の別名は、エラーメッセージを受信します。mygroup-request の別名は、管理の要求に使用してください。この構造は、mygroup の別名に送信されたメールでは、封筒の送信者が mygroup-request に変更されることを意味します。