Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

第 15 章 Solaris PPP 4.0 (概要)

このパートでは、シリアルネットワーキングのトピックについて説明します。シリアルネットワーキングとは、RS-232 ポートや V.35 ポートのようなシリアルインタフェースを使用して、データ転送のために 2 つ以上のコンピュータを接続することをいいます。Ethernet などの LAN インタフェースとは異なり、これらのシリアルインタフェースは、距離の離れたシステムを接続するために使用します。PPP (ポイントツーポイントプロトコル) および UUCP (UNIX 間コピープログラム) は、シリアルネットワークを実装するために使用できる個別の技術です。シリアルインタフェースをネットワーク用に構成すると、複数のユーザーが、Ethernet などのほかのネットワークインタフェースとほぼ同様に使用できるようになります。

この章では、Solaris PPP 4.0 について紹介します。PPP のこのバージョンでは、PPP を使用することで、物理的に離れた場所にある 2 つのコンピュータがさまざまな媒体を介して互いに通信することができます。Solaris 9 リリースより、Solaris PPP 4.0 は基本インストールの一部に組み込まれています。

この章では、次の内容について説明します。

Solaris PPP 4.0 の基本

Solaris PPP 4.0 は、TCP/IP プロトコル群に含まれるデータリンクプロトコルとしてポイントツーポイントプロトコル (PPP) を実装しています。PPP は、2 つの端点にあるマシン間でデータを電話回線などの通信媒体を介して転送する方法について記述しています。

PPP は、1990 年代の初期から、通信リンクを介してデータグラムを送信するために幅広く使用されてきたインターネット標準です。PPP 標準は、Internet Engineering Task Force (IETF) のポイントツーポイントワーキンググループによって RFC 1661 に定義されています。PPP は一般に、リモートコンピュータがインターネットサービスプロバイダ (ISP) を呼び出したり、着呼を受信するように構成されている企業サーバーを呼び出したりするときに使用されます。

Solaris PPP 4.0 は、広く普及している Australian National University (ANU) PPP–2.4 に基づいて PPP 標準を実装しています。PPP リンクは非同期と同期の両方をサポートしています。

Solaris PPP 4.0 の互換性

さまざまなバージョンの PPP 標準がインターネットコミュニティーで広く使用されています。ANU PPP-2.4 は、Linux、Tru64 UNIX、および次の BSD 系統の主要 OS で採用されています。

Solaris PPP 4.0 は、Solaris オペレーティングシステムで実行されているマシンに ANU PPP-2.4 の高度な構成機能を提供します。Solaris PPP 4.0 が実行されているマシンでは、PPP 標準が実行されているマシンに PPP リンクを簡単に設定できます。

ANU ベースの PPP 以外で Solaris PPP 4.0 と正常に相互運用できるものは、次のとおりです。

使用する Solaris PPP のバージョン

Solaris 9 より、Solaris PPP 4.0 がサポート対象の PPP となりました。Solaris 9 および Solaris 10 には、以前の非同期 Solaris PPP (asppp) ソフトウェアは組み込まれていません。詳細は、次を参照してください。

Solaris PPP 4.0 を使用する理由

現在 asppp を使用しているユーザーには、Solaris PPP 4.0 への移行をお薦めします。2 つの Solaris PPP 間の技術的な相違点は次のとおりです。

Solaris PPP 4.0 のアップグレードパス

既存の asppp 構成を Solaris PPP 4.0 に変換する場合は、このリリースが提供する変換スクリプトを使用できます。詳細は、asppp から Solaris PPP 4.0 に変換する方法」を参照してください。

PPP の詳細情報

PPP に関する多くの情報は印刷物やオンラインで入手可能です。参考資料のいくつかを以降で示します。

PPP に関する専門技術者向けのリファレンスブック

ANU PPP など、幅広く使用されている PPP については、次の図書を参照してください。

PPP に関する Web サイト

PPP の一般的な情報については、次の Web サイトを参照してください。

PPP に関する RFC (Requests for Comments)

PPP に関する有用な Internet RFC は次のとおりです。

PPP RFC のコピーを入手するには、IETF RFC の Web ページ (http://www.ietf.org/rfc.html) で RFC の番号を指定してください。

PPP に関するマニュアルページ

Solaris PPP 4.0 の実装については、次のマニュアルページを参照してください。

また、pppdump(1M) のマニュアルページも参照してください。PPP のマニュアルページについては、man コマンドを使用してください。

PPP 構成と用語

この節では、PPP 構成について説明します。また、このマニュアルで使用する用語についても説明します。

Solaris PPP 4.0 は次の構成をサポートします。

図 15–1 PPP リンクの構成要素

この図は、基本的な PPP リンクの構成要素を示しています。このリンクについては次で詳しく説明します。

上図は、基本的な PPP リンクを示しています。リンクの構成要素は、次のようになります。

ダイアルアップ PPP の概要

もっともよく使用される PPP 構成は、ダイアルアップリンクです。ダイアルアップリンクでは、ローカルピアがリモートピアをダイアルアップして接続を確立し、PPP を実行します。ダイアルアッププロセスでは、ローカルピアがリモートピアの電話番号を呼び出してリンクを開始します。

一般的なダイアルアップの使用例では、ユーザーの自宅にあるコンピュータが、着呼を受信するように構成されている ISP 側のピアを呼び出します。別のダイアルアップの使用例では、企業サイトでローカルマシンが PPP リンクを使用して、別の建物内にあるピアにデータを転送します。

このマニュアルでは、ダイアルアップ接続を開始するローカルピアは、ダイアルアウトマシンと呼びます。着呼を受信するピアは、ダイアルインサーバーと呼びます。このマシンは実際にはダイアルアウトマシンがターゲットにするマシンに過ぎず、真の意味でのサーバーではない場合もあります。

PPP はクライアントサーバープロトコルではありません。PPP のドキュメントの中には、通話の確立に言及する場合に「クライアント」や「サーバー」という用語を使っているものもあります。ダイアルインサーバーは、ファイルサーバーやネームサーバーのような真の意味でのサーバーではありません。ダイアルインサーバーという用語は、ダイアルインマシンが複数のダイアルアウトマシンにネットワークでのアクセス可能性を「提供」していることから、PPP 用語として幅広く使用されています。それでもダイアルインサーバーは、現実には、ダイアルアウトマシンのターゲットピアにすぎません。

ダイアルアップ PPP リンクの構成要素

次の図を参照してください。

図 15–2 基本的なアナログダイアルアップ PPP リンク

この図は、場所 1 と場所 2 との基本的なダイアルアップリンクを示しています。このリンクについては次で詳しく説明します。

リンクのダイアルアウト側 (場所 1) の構成は、次の要素から成ります。

リンクのダイアルイン側 (場所 2) の構成は、次の要素から成ります。

ダイアルアウトマシンで ISDN 端末アダプタを使用する

外付けの ISDN TA はモデムよりも高速ですが、両者の構成方法は基本的に同じです。両者の主な相違は chat スクリプト間の構成にあります。ISDN TA の場合、chat スクリプトの記述では、TA の製造元に固有のコマンドが必要になります。ISDN TA 用の chat スクリプトについては、「外部 ISDN TA 用 chat スクリプト」を参照してください。

ダイアルアップ通信中の動作

ダイアルアウトとダイアルインの両方のピアにある PPP 構成ファイルには、リンクを設定するための命令群が含まれています。ダイアルアップリンクが開始されると、次のプロセスが発生します。

  1. ダイアルアウトマシン上のユーザーまたはプロセスは、pppd コマンドを実行してリンクを開始します。

  2. ダイアルアウトマシンは PPP 構成ファイルを読み取ります。次に、シリアル回線を介して、ダイアルインサーバーの電話番号などの命令群をモデムに送信します。

  3. モデムは電話番号をダイアルして、ダイアルインサーバー側のモデムと電話接続を確立します。

    ダイアルアウトマシンが、モデムとダイアルインサーバーに送信する一連のテキスト文字列は、chat スクリプトと呼ばれるファイルに格納されています。ダイアルアウトマシンは、必要に応じて、ダイアルインサーバーにコマンドを送信し、サーバー側の PPP を呼び出します。

  4. ダイアルインサーバーに接続されているモデムは、ダイアルアウトマシン側のモデムとリンクのネゴシエーションを開始します。

  5. モデム同士のネゴシエーションが完了すると、ダイアルアウトマシン側のモデムは「CONNECT」を通知します。

  6. 両方のピア側の PPP は確立フェーズに入ります。このフェーズでは、リンク制御プロトコル (LCP) が基本的なリンクパラメータと認証の使用をネゴシエートします。

  7. ピアは、必要に応じて、互いを認証します。

  8. PPP のネットワーク制御プロトコル (NCP) は、IPv4 や IPv6 などのネットワークプロトコルの使用をネゴシエートします。

ダイアルアウトマシンでは、ダイアルインサーバーを通って到達可能なホストに telnet または類似のコマンドを実行できます。

専用回線 PPP の概要

固定型の専用回線の PPP 構成には、リンクで接続された 2 つのピアが含まれます。リンクは、プロバイダからリースされたスイッチ型または非スイッチ型のデジタルサービスで構成されています。Solaris PPP 4.0 は、全二重でポイントツーポイントの専用回線媒体を介して動作します。通常、会社では、ネットワークプロバイダから専用リンクをレンタルして、ISP またはほかのリモートサイトに接続します。

ダイアルアップリンクと専用回線リンクの比較

ダイアルアップと専用回線のリンクはともに、通信媒体で接続されている 2 つのピアから成っています。次の表は、2 つのリンクタイプの相違をまとめています。

専用回線 

ダイアルアップ回線 

システム管理者による電源切断または電源障害による電源切断がないかぎり常時接続されています。 

ユーザーがリモートピアを呼び出そうとするとき開始されます。 

同期通信と非同期通信を使用します。非同期通信では、多くの場合長距離モデムを使用します。 

非同期通信を使用します。 

プロバイダからレンタルします。 

既存の電話回線を使用します。 

同期装置を必要とします。 

低コストのモデムを使用します。 

ほとんどの SPARC システムで一般的に使用されている同期ポートを必要とします。ただし、同期ポートは、 x86 システムおよび最新の SPARC システムでは通常使用されません。 

通常のコンピュータに組み込まれている標準のシリアルインタフェースを使用します。 

専用回線 PPP リンクの構成要素

次の図を参照してください。

図 15–3 専用回線の基本的な構成

この図は、専用回線リンクの構成要素を示しています。このリンクについては次で詳しく説明します。

専用回線リンクの構成要素は次のとおりです。

専用回線通信中の動作

ほとんどのタイプの専用回線では、ピアは互いにダイアルすることはありません。会社では専用回線サービスを購入して、2 つの定められた場所の間を明示的に接続します。場合によって、専用回線の各端にある 2 つのピアは同じ会社でも物理的に離れた場所に存在することもあります。別の事例では、会社が、ISP に接続されている専用回線上にルーターを設定している場合があります。

専用回線の固定型のリンクは設定が簡単ですが、ダイアルアップリンクほどは普及していません。固定型のリンクは chat スクリプトを必要としません。専用回線の場合、両方のピアは互いを知っているので、認証を使用しないのが普通です。2 つのピアがリンクを介して PPP を開始すると、リンクはアクティブな状態を続けます。専用回線に障害が発生したり、どちらかのピアが明示的にリンクを終了したりしないかぎり、専用回線の固定型のリンクはアクティブな状態を続けます。

Solaris PPP 4.0 が実行されている専用回線上のピアは、ダイアルアップリンクを定義する構成ファイルとほぼ同じものを使用します。

    専用回線を介した通信を開始する場合、次のプロセスが発生します。

  1. 各ピアマシンは、pppd コマンドを起動プロセスや別の管理スクリプトの一部として実行します。

  2. 両方のピアは自分の PPP 構成ファイルを読み取ります。

  3. 両方のピアは通信パラメータをネゴシエートします。

  4. IP リンクが確立されます。

PPP 認証

    認証は、要求しているのがユーザー本人であることを確認するためのプロセスです。UNIX のログインの流れは、次のように簡単な認証形式です。

  1. login コマンドを入力すると、ユーザーに名前とパスワードの入力を求めるプロンプトが表示されます。

  2. 次に login は、ユーザーを認証するために、入力された名前とパスワードをパスワードデータベースから探そうとします。

  3. データベース中にユーザー名とパスワードが存在する場合、ユーザーは認証されて、システムへのアクセスが許可されます。データベース中にユーザー名とパスワードが存在しない場合、ユーザーはシステムへのアクセスを拒否されます。

デフォルトでは、Solaris PPP 4.0 は、デフォルトの経路が指定されていないマシン上では認証を要求しません。したがって、デフォルトの経路が指定されていないローカルマシンはリモート呼び出しを認証しません。逆に、マシンにデフォルトの経路が定義されていれば、マシンは、常にリモート呼び出しを認証します。

必要な場合、自分のマシンに PPP リンクを設定しようとしている呼び出し側の識別情報を、PPP 認証プロトコルを使って確認できます。逆に、呼び出し側を認証するピアをローカルマシンが呼び出す必要がある場合は、PPP 認証情報をローカルマシンに構成しておく必要があります。

認証する側と認証される側

PPP リンク上の呼び出し側マシンは、リモートピアに対して識別情報を示す必要があるので、認証される側とみなされます。ピアは、認証する側とみなされます。認証する側は、呼び出し側の識別情報をセキュリティープロトコル用の適切な PPP ファイルから探し、その呼び出し側を認証したり認証を拒否したりします。

多くの場合、PPP 認証をダイアルアップリンクに構成します。呼び出しが開始されると、ダイアルアウトマシンが認証される側になります。ダイアルインサーバーは認証する側になります。サーバーはデータベースを秘密ファイルの形式で保持します。このファイルには、サーバーに PPP リンクを設定する許可が与えられているすべてのユーザーが記述されています。許可が与えられているユーザーは信頼できる呼び出し側とみなされます。

一部のダイアルアウトマシンには、ダイアルアウトマシンの呼び出しに対する応答でリモートピアに認証情報の提供を要求するものがあります。このような場合は、役割が逆転し、リモートピアは認証される側になり、ダイアルアウトマシンは認証する側になります。


注 –

PPP 4.0 は専用回線でピアによる認証を禁止していませんが、通常は専用回線で認証を使用することはありません。専用回線規約では、回線の両端に存在する両者が互いをよく知っており、信頼していることが特徴となっています。しかし、PPP 認証は管理が簡単なので、専用回線にも認証を実装することをまじめに検討する必要があります。


PPP の認証プロトコル

PPP の認証プロトコルは、パスワード認証プロトコル (PAP) とチャレンジハンドシェーク認証プロトコル (CHAP) です。各プロトコルは、ローカルマシンにリンクする許可が与えられている各呼び出し側に対して、識別情報が格納された「秘密データベース」や「セキュリティー資格情報」を使用します。PAP については、「パスワード認証プロトコル (PAP)」を参照してください。CHAP については、「チャレンジハンドシェーク認証プロトコル (CHAP)」を参照してください。

PPP 認証を使用する理由

PPP リンクでの認証は任意です。また、認証では、ピアが信頼されていることは確認しますが、PPP 認証に機密保護を提供していません。機密保護では、IPsec、PGP、SSL、Kerberos、Solaris セキュアシェルなどの暗号化ソフトウェアを使用します。


注 –

Solaris PPP 4.0 は、RFC 1968 に記述されている PPP Encryption Control Protocol (ECP) を実装していません。


次の場合に、PPP 認証の実装を検討してください。

PPPoE による DSL ユーザーのサポート

多くのネットワークプロバイダと自宅で仕事をしている個人は、デジタル加入者回線 (DSL) 技術を使用して、高速なネットワークアクセスを実現します。DSL ユーザーをサポートするために、Solaris PPP 4.0 は PPP over Ethernet (PPPoE) 機能を組み込んでいます。PPPoE 技術を使用することで、複数のホストが 1 つの Ethernet リンクを介して 1 つ以上の地点に PPP セッションを実行できます。

次の場合に、PPPoE を使用する必要があります。

この節では、PPPoE に関連する用語と基本的な PPPoE 技術の概要について説明します。

PPPoE の概要

PPPoE は、RedBack Networks が生み出した独自のプロトコルです。PPPoE は、別バージョンの標準 PPP ではなく検出プロトコルです。PPPoE のシナリオでは、最初に PPP 通信を開始するマシンが、PPPoE を実行しているピアを検出する必要があります。PPPoE プロトコルは、Ethernet ブロードキャストパケットを使ってピアを検出します。

検出プロセスを終了したら、PPPoE は、開始したホスト (PPPoE クライアント) からピア (PPPoE アクセスサーバー) まで Ethernet ベースのトンネルを設定します。トンネリングとは、あるプロトコルを、別のプロトコルで実行する方法です。PPPoE を使用して、Solaris PPP 4.0 は PPP に Ethernet IEEE 802.2 を介したトンネルを作成します。PPP と Ethernet IEEE 802.2 はともにデータリンクプロトコルです。設定された PPP 接続は、PPPoE クライアントとアクセスサーバーの間で専用リンクのように動作します。PPPoE については、「DSL サポート用の PPPoE トンネルの作成」を参照してください。

PPPoE の構成要素

次の図に示すように、PPPoE 構成には、消費者、電話会社、およびサービスプロバイダという 3 つの関係者が存在します。

図 15–4 PPPoE トンネル内の関係者

この図は、企業、電話会社、およびサービスプロバイダで PPPoE をどのように実装するかを示しています。

PPPoE の消費者

システム管理者として、消費者の PPPoE 構成を助けることがあります。PPPoE 消費者の一般的なタイプは、DSL 回線を介して PPPoE を実行する個人です。別の PPPoE 消費者は、上図に示すように、従業員が PPPoE トンネルを実行できるように DSL 回線を購入する会社です。

企業消費者が PPPoE を使用する主な理由は、高速の DSL 機器を介して多くのホストに PPP 通信を提供するためです。通常、単独の PPPoE クライアントは、個人で DSL モデムを持ちます。また、ハブに接続されているクライアントのグループは、Ethernet 回線によって同じハブに接続されている DSL モデムを共有することがあります。


注 –

DSL 機器は技術的にはモデムではなくブリッジです。ただし、実際にはこれらのデバイスをモデムと呼んでいるので、このマニュアルでは、「DSL モデム」という用語を使用します。


PPPoE は、DSL モデムに接続されている Ethernet 回線上のトンネルを介して PPP を実行します。その回線はスプリッタに接続され、スプリッタは電話回線に接続しています。

電話会社の PPPoE

PPPoE のシナリオでは、電話会社は中間に位置します。電話会社は、電話回線を介して受信する信号を、デジタル加入者線アクセスマルチプレクサ (DSLAM) と呼ばれるデバイスを使って分割します。DSLAM は分割した信号を別の線、電話サービス用アナログ線、および PPPoE 用デジタル線に送り出します。デジタル線は ATM データネットワークを介してトンネルを DSLAM から ISP まで延長します。

サービスプロバイダの PPPoE

ISP は、ATM データネットワークから渡される PPPoE 転送をブリッジを介して受信します。ISP では、PPPoE が実行されているアクセスサーバーが PPP リンクのピアとして機能します。アクセスサーバーは、図 15–2 で紹介したダイアルインサーバーと機能的に類似していますが、アクセスサーバーがモデムを使用しない点が異なります。アクセスサーバーは、個々の PPPoE セッションをインターネットアクセスなどの通常の IP トラフィックに変換します。

ISP のシステム管理者は、アクセスサーバーの構成と維持を行います。

PPPoE トンネルのセキュリティー

PPPoE トンネルは最初からセキュリティー対策が行われていません。PAP または CHAP を使用することで、トンネルを介して実行している PPP リンクにユーザー認証を提供できます。