Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

RDMA 経由の NFS

Solaris 10 リリースでは、RDMA (Remote Direct Memory Access) プロトコルが導入されています。RDMAは、高速ネットワーク上でデータのメモリー間転送を行うテクノロジです。特に、RDMA により、CPU の介入なしでメモリーに遠隔データ転送を直接行えます。また、データを直接配置できます。これは、データのコピーを省略し、さらに CPU の介入も省略します。このように、RDMA はホストの CPU を解放するだけでなく、ホストのメモリーと入出力バスの接続も減らします。この機能を提供するために、RDMA は、SPARC プラットフォーム上の InfiniBand のインターコネクト入出力テクノロジと Solaris オペレーティングシステムを組み合わせます。次の図は、UDP や TCP など、その他のプロトコルとの RDMA の関係を示します。

図 6–1 その他のプロトコルとの RDMA の関係

図については本文で説明します。

RDMA トランスポートをクライアントとサーバーで使用できない場合、TCP トランスポートが初期フォールバックになります。TCP が使用できない場合は UDP がフォールバックになります。ただし、proto=rdma マウントオプションを使用する場合、NFS マウントは強制的に RDMA だけになることに注意してください。

NFS マウントオプションの詳細は、mount_nfs(1M) のマニュアルページおよび mount コマンド」を参照してください。


注 –

InfiniBand の RDMA は、IP アドレス指定形式および IP ルックアップインフラストラクチャーを使用して、ピアを指定します。ただし、RDMA は、独立したプロトコルスタックであるため、すべての IP のセマンティクスを完全には実装しません。たとえば、RDMA はピアと通信するための IP アドレス指定を使用しません。したがって、RDMA は、IP アドレスに基づいたさまざまなセキュリティーポリシーの設定を省略することがあります。ただし、mount 制限や Secure RPC などの NFS と RPC の管理ポリシーは省略されません。