WebNFS サービスとは、あるディレクトリに置かれたファイルを、公開ファイルハンドルを使ってクライアントからアクセスできるようにするものです。ファイルハンドルは、NFS クライアントがファイルを識別できるようにカーネルが生成するアドレスです。公開ファイルハンドルの値はあらかじめ決まっているため、サーバーがクライアントに対してファイルハンドルを生成する必要はありません。定義済みのファイルハンドルを使用するというこの機能によって、MOUNT プロトコルが不要になってネットワークトラフィックが減り、クライアントにとってはプロセスが高速化します。
デフォルトでは、NFS サーバーの公開ファイルハンドルはルートファイルシステムに対して設定されます。このデフォルトのため、サーバーに対してマウント権限を持っているすべてのクライアントに対して WebNFS アクセス権が与えられます。公開ファイルハンドルは、share コマンドによって任意のファイルシステムに切り替えることができます。
あるファイルシステムに対するファイルハンドルをクライアントが持っているとき、アクセスするファイルに対応するファイルハンドルを知るには LOOKUP を実行します。NFS プロトコルでは、パス名の構成要素を 1 度に 1 つしか評価できません。したがって、ディレクトリ階層のレベルが 1 つ増えるたびに 1 回ずつ LOOKUP を実行します。公開ファイルハンドルからの相対パスに対して LOOKUP を実行する場合には、WebNFS サーバーはマルチコンポーネントルックアップによって 1 度にパス名全体を評価できます。マルチコンポーネントルックアップにより、WebNFS サーバーはパス名の中のディレクトリレベルを 1 つずつファイルハンドルに変換しなくても目的のファイルに対するファイルハンドルを配信できます。
また、NFS クライアントは、単一の TCP 接続を介して、複数のファイルを同時にダウンロードすることができます。このようにして接続すると、サーバーに複数の接続を設定することによる負荷をかけることなく、すばやくアクセスすることができます。Web ブラウザアプリケーションも複数ファイルを同時にダウンロードできますが、それぞれのファイルに独自の接続が確立されます。WebNFS ソフトウェアは接続を 1 つしか使用しないため、サーバーに対するオーバーヘッドを軽減できます。
パス名の中の最後の構成要素が他のファイルシステムに対するシンボリックリンクである場合、通常の NFS アクティビティーによってあらかじめそのファイルへのアクセス権を持っていれば、クライアントはそのファイルにアクセスできます。
通常、NFS URL は公開ファイルハンドルからの相対位置として評価されます。パスの先頭にスラッシュを 1 つ追加すると、サーバーのルートファイルシステムからの相対位置に変更できます。次の例では、公開ファイルハンドルが /export/ftp ファイルシステムに設定されていればこの 2 つの NFS URL は同等です。
nfs://server/junk nfs://server//export/ftp/junk |
NFS version 4 プロトコルは、WebNFS サービスに優先します。NFS version 4 は、MOUNT プロトコルと WebNFS サービスに追加されたすべてのセキュリティーネゴシエーションを完全に統合します。