間接マップは、キーの置換値を使ってクライアント上のマウントポイントとサーバー上のディレクトリとを対応させます。間接マップは、ホームディレクトリなどの特定のファイルシステムをアクセスするのに便利です。auto_home マップは間接マップの一例です。
key [ mount-options ] location
key は間接マップでの単純名 (スラッシュなし) です。
mount-options は、このマウントに適用するオプションです。これらのオプションが必要なのは、マップのデフォルトと異なる場合だけです。特定のファイルシステムのマウントオプションについては、各ファイルシステムについてのマニュアルページを参照してください。たとえば、NFS に固有のマウントオプションについては、mount_nfs(1M) のマニュアルページを参照してください。
location はファイルシステムの位置を示します。1 つまたは複数のファイルシステムを server: pathname で指定します。
pathname に自動マウントされたマウントポイントを含めることはできません。pathname は、ファイルシステムの実際の絶対パスにするようにしてください。たとえば、ディレクトリの位置は、server:/net/server/usr/local ではなく、server :/usr/local として指定する必要があります。
マスターマップと同様、# で始まる行はコメントです。その行のテキストの最後まですべて無視されます。長い行を短い行に分割するには、行の最後にバックスラッシュ (\) を入力します。例 6–3 に、次のエントリを含む auto_master マップを示します。
/home auto_home -nobrowse |
auto_home は、/home のもとでマウントされるエントリを含む間接マップの名前です。通常、auto_home マップには、次のパスが含まれています。
david willow:/export/home/david rob cypress:/export/home/rob gordon poplar:/export/home/gordon rajan pine:/export/home/rajan tammy apple:/export/home/tammy jim ivy:/export/home/jim linda -rw,nosuid peach:/export/home/linda |
例として、前のマップがホスト oak にあると想定します。パスワードデータベースに、ユーザー linda のホームディレクトリが /home/linda であることを示すエントリがあるとします。linda がコンピュータ oak にログインするたびに、autofs は、コンピュータ peach にあるディレクトリ /export/home/linda をマウントします。彼女のホームディレクトリは、読み書き可能な nosuid にマウントされます。
次のような状況が発生したと想定してください。 ユーザー linda のホームディレクトリがパスワードデータベースに、/home/linda として表示されます。Linda も含めだれでも、前の例のマップを参照するマスターマップで設定されたどのコンピュータからでも、このパスにアクセスできます。
こうした状況のもとでは、ユーザー linda はこれらのどのコンピュータでも login や rlogin を実行し、代わりに彼女用のホームディレクトリをマウントさせることができます。
さらに、これで linda は次のコマンドも入力できます。
% cd ~david |
autofs は彼女のために David のホームディレクトリをマウントします (すべてのアクセス権で許可されている場合)。
オートマウンタマップの間では、オプションの連結はされません。オートマウンタマップに追加されたどのオプションも、前に検索されたマップに表示されているすべてのオプションを上書きします。たとえば、auto_master マップに含まれているオプションは、他のいずれかのマップの対応するエントリによって上書きされます。
ネームサービスのないネットワークで、Linda が自分のファイルにアクセスするには、ネットワーク上のすべてのシステムで、すべての関連ファイル (/etc/passwd など) を変更する必要があります。NIS では、NIS マスターサーバーで変更を行い、関連するデータベースをスレーブのデータベースに伝達します。NIS+ を稼働中のネットワークでは、変更後に関連データベースがスレーブサーバーに自動的に伝達されます。