Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

メッセージファイルのカスタマイズ

FTP サーバーを構成して、特定のイベントに関連するメッセージを FTP クライアントに返すことができます。ユーザーが FTP サーバーにログインするときに表示される開始メッセージを設定することができます。また、ユーザーが別のディレクトリに移動する場合にメッセージを表示することもできます。

メッセージファイルには、プレーンテキストだけでなく、1 つまたは複数のマジッククッキーを設定できます。マジッククッキーは、% (パーセント記号) と、そのあとに続く 1 文字から構成されます。クッキーをメッセージテキストに組み込む場合、メッセージファイルが呼び出された時点でクッキーに関連付けられた情報が画面に表示されます。

たとえば、メッセージテキストにクッキー %L が含まれているとします。


Welcome to %L! 

メッセージが表示されるとき、マジッククッキー %L は、ftpaccess ファイルの hostname 文で定義されたサーバー名で置き換えられます。サポートされているメッセージクッキーの完全なリストは、ftpaccess(4) のマニュアルページを参照してください。


注 –

ホスト名が ftpaccess ファイルに定義されていない場合、ローカルマシンのデフォルトホスト名が使用されます。


Procedureメッセージファイルのカスタマイズ方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. メッセージファイルを編集して、適宜マジッククッキーを追加します。

    使用できるクッキーのリストは、ftpaccess(4) のマニュアルページを参照してください。


例 28–9 メッセージファイルのカスタマイズ

次に、マジッククッキーを使用するメッセージファイルの例を示します。


Welcome to %L -- local time is %T.
 
You are number %N out of a maximum of %M.
All transfers are logged.
 
If your FTP client crashes or hangs shortly after login 
please try
using a dash (-) as the first character of your password. 
This will
turn off the informational messages that may be confusing 
your FTP
client.
 
Please send any comments to %E.

Procedureユーザーに送信するメッセージの作成方法

ユーザーがログインしたあと、システム関連またはアプリケーション関連のメッセージが画面に表示されます。ftpaccess ファイルには、関連付けられた message 文をトリガするイベントが列挙されています。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 次のエントリを ftpaccess ファイルに追加します。


    message message-file [when [class ...]]
    message

    ユーザーがログインしたとき、または作業ディレクトリを変更するコマンドを実行したときに表示されるメッセージファイルの指定に使用するキーワード

    message-file

    表示するメッセージファイルの名前

    when

    login または cwd=dir と設定されるパラメータ。例を参照すること

    class

    class を指定すると、メッセージの表示を特定のクラスのメンバーに限定できる


例 28–10 ユーザーに送信するメッセージの作成


message	/etc/ftpd/Welcome	login   anon guest
message	.message	cwd=*  

この例では、クラス anon または guest のユーザーがログインするときに /etc/ftpd/Welcome ファイルが表示されることを示します。2 行目では、すべてのユーザーに対して現在の作業ディレクトリにある .message ファイルが表示されることを示します。

メッセージファイルは、ゲストユーザーおよび匿名ユーザーの chroot ディレクトリからの相対位置に作成します。


ProcedureREADME オプションの構成方法

ディレクトリに最初に移動したとき、README ファイルを表示することができます。README オプションを構成するには、次のエントリを ftpaccess ファイルに追加します。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 次のエントリを ftpaccess ファイルに追加します。


    readme message-file [when [class...]]
    readme

    ユーザーがログインするか、作業ディレクトリを変更するときに確認するメッセージファイルの指定に使用されるキーワード。メッセージファイルが存在する場合、ユーザーはその存在を示す通知と、ファイルの更新日付を受け取る

    message-file

    確認するメッセージファイルの名前

    when

    login または cwd=dir と設定されるパラメータ。例を参照すること

    class

    class を指定すると、メッセージの表示を特定のクラスのメンバーに限定できる


    注 –

    greeting キーワードと banner キーワードを使用して、ユーザーにメッセージを送信することもできます。詳細は、ftpaccess(4) のマニュアルページを参照してください。



例 28–11 README オプションの構成


readme  README*     login
readme  README*     cwd=*  

この例では、ログイン時、またはディレクトリ変更時に、README* に一致するファイルをすべて表示することを示します。この例で使用されている設定に基づいたログイン例を次に示します。


% ftp earth
Connected to earth.
220 earth FTP server ready.
Name (earth:rimmer): ftp
331 Guest login ok, send your complete e-mail address as password.
Password: 
230-
230-Welcome to earth -- local time is Thu Jul 15 16:13:24 
1999.
230-
230-You are number 1 out of a maximum of 10.
230-All transfers are logged.
230-
230-If your FTP client crashes or hangs shortly after login 
please try
230-using a dash (-) as the first character of your 
password.  This will
230-turn off the informational messages that may be 
confusing your FTP
230-client.
230-
230-Please send any comments to ftpadmin@earth.
230-
230 Guest login ok, access restrictions apply.
ftp> cd pub
250-Please read the file README
250-  it was last modified on Thu Jul 15 16:12:25 1999 - 0 
days ago
250 CWD command successful.
ftp> get README /tmp/README
200 PORT command successful.
150 Opening ASCII mode data connection for README (0 
bytes).
226 ASCII Transfer complete.
ftp> quit
221 Goodbye.