Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

LDAP クライアントプロファイル

Solaris クライアントのセットアップを容易にし、各クライアントに同じ情報を再入力する手間を省くために、ディレクトリサーバー上に単一のクライアントプロファイルを作成します。この単一のプロファイルに、使用するすべてのクライアントの構成を定義します。プロファイル属性への以降の変更はすべて、定義されたリフレッシュ頻度でクライアントに送信されます。

これらのクライアントプロファイルは、LDAP サーバー上のよく知られた位置に格納されます。指定されたドメインのルート DN は、nisDomainObject のオブジェクトクラス、およびクライアントのドメインを含む nisDomain 属性を保持する必要があります。すべてのプロファイルは、このコンテナと相対的な関係にある ou=profile コンテナ内に配置されます。これらのプロファイルは、匿名で読み取り可能にする必要があります。

クライアントのプロファイル属性

次の表に、Solaris LDAP クライアントのプロファイル属性を示します。このプロファイル属性は、idsconfig の実行時に自動的に設定されます。クライアントプロファイルを手動で設定する方法については、「クライアントを手動で初期設定する」idsconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。

表 9–2 クライアントのプロファイル属性

属性 

説明 

cn

プロファイル名。デフォルト値はありません。必ず指定する必要があります。 

preferredServerList

優先使用されるサーバーのホストアドレスの、空白で区切られたリスト。(ホスト名は使用しない)。defaultServerList 内のサーバーより「前に」、接続が成功するまで、このリスト内のサーバーへの接続が順番に試みられます。デフォルト値はありません。preferredServerList または defaultServerList に 1 つ以上のサーバーを指定する必要があります。

defaultServerList

デフォルトサーバーのホストアドレスの、空白で区切られたリスト。(ホスト名は使用しない)。preferredServerlist 内のサーバーへの接続試行後に、接続が確立されるまで、クライアントのサブネット上のデフォルトサーバーへの接続、続いて残りのデフォルトサーバーへの接続が試みられます。preferredServerList または defaultServerList に 1 つ以上のサーバーを指定する必要があります。このリスト内のサーバーへの接続は、優先サーバーリストのサーバーへの接続試行後に試みられます。デフォルト値はありません。

defaultSearchBase

よく知られたコンテナの検索に使用する相対識別名。デフォルト値はありません。ただしこの値は、serviceSearchDescriptor 属性で指定されたサービスで置き換えることが可能です。

defaultSearchScope

クライアントによるデータベース検索の適用範囲を定義します。この値は、serviceSearchDescriptor 属性で置き換えることが可能です。指定可能な値は one または sub です。デフォルト値は 1 レベルの検索 (値はone) です。

authenticationMethod

クライアントが使用する認証方式を示します。デフォルト値は none (匿名) です。詳細については、「認証方式の選択」を参照してください。

credentialLevel

クライアントが認証に使用する証明書タイプを示します。anonymousproxy、または self (「ユーザー別」とも呼ばれる) を選択できます。デフォルトは anonymous です。

serviceSearchDescriptor

クライアントがネームデータベースを検索する方法および場所を定義します (例、クライアントが DIT 内の 1 つ以上の場所を検索する)。デフォルトでは、SSD は定義されていません。 

serviceAuthenticationMethod

クライアントが特定のサービスで使用する認証メソッド。デフォルトでは、サービス認証メソッドは定義されていません。サービスで serviceAuthenticationMethod が定義されていない場合、authenticationMethod の値がデフォルトになります。

attributeMap

クライアントが使用する属性マッピング。デフォルトでは、attributeMap は定義されていません。

objectclassMap

クライアントが使用するオブジェクトクラスマッピング。デフォルトでは、objectclassMap は定義されていません。

searchTimeLimit

クライアントが許可する、タイムアウトまでの最長検索時間 (秒)。この値は、LDAP サーバーが許可する、検索完了までの時間に影響を与えません。デフォルト値は 30

bindTimeLimit

クライアントがサーバーとのバインドに許可する最長時間 (秒)。デフォルト値は 30 秒です。

followReferrals

クライアントが LDAP 参照に準拠するかどうかを指定します。指定可能な値は TRUE または FALSE です。デフォルト値は TRUE です。

profileTTL

ldap_cachemgr(1M) により実行される、LDAP サーバーからのクライアントプロファイルの更新間隔。デフォルト値は 43200 秒 (12 時間) です。値が 0 の場合、プロファイルは更新されません。

ローカルのクライアント属性

次の表に、ldapclient を使用してローカルに設定可能なクライアント属性を示します。詳細については、ldapclient(1M) のマニュアルページを参照してください。

Solaris 10 10/09 リリース以降では、enableShadowUpdate スイッチが使用できます。詳細は、enableShadowUpdate スイッチ」を参照してください。

表 9–3 ローカルのクライアント属性

属性 

説明 

adminDN

管理者資格の管理者エントリの識別名を指定します。クライアントシステムの enableShadowUpdate スイッチの値が true で、credentialLevel の値が self 以外の場合、adminDN を指定する必要があります。

adminPassword

管理者資格の管理者エントリのパスワードを指定します。クライアントシステムの enableShadowUpdate スイッチの値が true で、credentialLevel の値が self 以外の場合、adminPassword を定義する必要があります。

domainName

クライアントのドメイン名 (クライアントシステムのデフォルトドメインになる) を指定します。デフォルト値はなく、必ず指定する必要があります。 

proxyDN

プロキシの識別名。proxycredentialLevel を使用してクライアントシステムを構成する場合、proxyDN を指定する必要があります。

proxyPassword

プロキシのパスワード。プロキシの credentialLevel を使用してクライアントシステムを構成する場合、proxyPassword を定義する必要があります。

certificatePath

証明書データベースを含む、ローカルファイルシステム上のディレクトリ。TLS を使用し、authenticationMethod または serviceAuthenticationMethod を指定してクライアントシステムを構成する場合、この属性が使用されます。デフォルト値は /var/ldap です。


注 –

SSD 内の BaseDN に「末尾のコンマが含まれる」場合、defaultSearchBase の相対値として処理されます。検索実行前に、defaultSearchBase の値が BaseDN に付加されます。