Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

ASET レポート

ASET タスクから生成されたすべてのレポートファイルは、ディレクトリ /usr/aset/reports の下のサブディレクトリに入っています。この節では、/usr/aset/reports ディレクトリの構造と、レポートファイルを管理するためのガイドラインについて説明します。

ASET は、指定されたサブディレクトリにレポートファイルを格納し、レポートの生成日時を反映させます。この規則によって、ASET を実行するたびに変わるシステムの状態が記録されたレコードを順番に追跡できます。これらのレポートを監視し、比較して、システムセキュリティーの状況を判断できます。

次の図に reports ディレクトリ構造の例を示します。

図 7–1 ASET reports ディレクトリの構造

/usr/aset ディレクトリの下にある reports ディレクトリの例です。

この例では、2 つのレポートサブディレクトリを示しています。

サブディレクトリ名は、レポートの生成日時を示します。各レポートサブディレクトリ名の形式は次のとおりです。


monthdate_hour:minute

この場合、monthdatehourminute は、いずれも 2 桁の数値です。たとえば、0125_01:00 は 1 月 25 日の午前 1 時を表します。

2 つのレポートサブディレクトリには、それぞれ ASET を 1 度実行して、生成されたレポートの集合が含まれています。

latest ディレクトリは、常に最新レポートが入っているサブディレクトリを指すシンボリックリンクです。したがって、/usr/aset/reports/latest ディレクトリに移動すると、ASET で生成された最新レポートを見ることができます。このディレクトリには、最後に ASET を実行した各タスクのレポートファイルが入っています。

ASET レポートファイルの形式

各レポートファイルには、レポートを生成したタスクに基づいて名前が付けられます。次の表にタスクとそのレポートのリストを示します。

表 7–1 ASET のタスクと生成されるレポート

タスク 

レポート 

システムファイルのアクセス権の調整 (tune)

tune.rpt

システムファイルの確認 (cklist)

cklist.rpt

ユーザーとグループの確認 (usrgrp)

usrgrp.rpt

システム構成ファイルの確認 (sysconf)

sysconf.rpt

環境変数の確認 (env)

env.rpt

eeprom の確認 (eeprom)

eeprom.rpt

ファイアウォールの設定 (firewall)

firewall.rpt

各レポートファイル内で、メッセージの前後はバナー行で囲まれています。ASET の構成要素を誤って削除したり損傷したりすると、タスクが途中で終了することがあります。このような場合、通常はレポートファイルの末尾の方に、途中で終了した理由を示すメッセージが記録されています。

次にレポートファイル usrgrp.rpt の例を示します。


*** Begin User and Group Checking ***
 
Checking /etc/passwd ...
Warning! Password file, line 10, no passwd
:sync::1:1::/:/bin/sync
..end user check; starting group check ...
Checking /etc/group...
*** End User And group Checking ***

ASET レポートファイルの検査

ASET を最初に実行したときまたは再構成したときは、レポートファイルを詳細に検査する必要があります。再構成には、asetenv ファイル、masters サブディレクトリのマスターファイルを変更したり、ASET が動作するセキュリティーレベルを変更したりすることが含まれます。

このレポートには、ASET の再構成によって発生したエラーがすべて記録されます。レポートを詳しく確認すると、問題が発生した時点で対処して解決できます。

ASET レポートファイルの比較

構成上の変更やシステム更新がない期間中にレポートファイルを監視すると、レポートの内容が安定することがわかります。予期しなかった情報がレポートに含まれる場合は、diff ユーティリティーを使用してレポートを比較できます。