Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

Procedureファイルを暗号化および復号化する方法

ファイルを暗号化しても、元のファイルが削除されたり変更されたりすることはありません。出力ファイルが暗号化されます。

encrypt コマンドの一般的なエラーを解決するには、例のあとの節を参照してください。

  1. 該当する長さの対称鍵を作成します。

    2 つの選択肢があります。鍵が生成されるパスフレーズを指定することができます。または鍵を指定することができます。

    • パスフレーズを指定する場合、指定したパスフレーズを格納するか覚えておく必要があります。パスフレーズをオンラインで格納する場合、そのパスフレーズファイルは自分だけが読み取ることができるようにします。

    • 鍵を指定する場合、それはメカニズムの現在のサイズである必要があります。手順については、dd コマンドを使用して対称鍵を生成する方法」を参照してください。

  2. ファイルを暗号化します。

    encrypt コマンドで、鍵を指定して対称鍵アルゴリズムを使用します。


    % encrypt -a algorithm  [ -k keyfile ] -i input-file -o output-file
    
    -a algorithm

    ファイルを暗号化するために使用するアルゴリズムです。encrypt -l コマンドの出力のようにアルゴリズムを入力します。

    -k keyfile

    アルゴリズムで指定された長さの鍵を含むファイルです。アルゴリズムごとの鍵の長さが、ビット単位で encrypt -l コマンドの出力に一覧表示されます。

    -i input-file

    暗号化する入力ファイルです。このファイルは、コマンドによって変更されることはありません。

    -o output-file

    入力ファイルと同じ暗号化形式の出力ファイルです。


例 14–11 AES およびパスフレーズで暗号化および復号化する

次の例では、ファイルを AES アルゴリズムで暗号化します。鍵はパスフレーズから生成されます。パスフレーズをファイルに格納する場合、そのファイルはユーザー以外は読み取ることができないようにします。


% encrypt -a aes -i ticket.to.ride -o ~/enc/e.ticket.to.ride
Enter passphrase: <Type passphrase>
Re-enter passphrase: Type passphrase again

入力ファイル ticket.to.ride は、元の形式で存在します。

出力ファイルを復号化するとき、ユーザーはファイルを暗号化したときと同じパスフレーズと暗号化メカニズムを使用します。


% decrypt -a aes -i ~/enc/e.ticket.to.ride -o ~/d.ticket.to.ride
Enter passphrase: <Type passphrase>


例 14–12 AES および鍵ファイルで暗号化および復号化する

次の例では、ファイルを AES アルゴリズムで暗号化します。AES メカニズムでは、128 ビット(16 バイト) の鍵が使用されます。


% encrypt -a aes -k ~/keyf/05.07.aes16 \
-i ticket.to.ride -o ~/enc/e.ticket.to.ride 

入力ファイル ticket.to.ride は、元の形式で存在します。

出力ファイルを復号化するとき、ユーザーはファイルを暗号化したときと同じ鍵と暗号化メカニズムを使用します。


% decrypt -a aes -k ~/keyf/05.07.aes16  \
-i ~/enc/e.ticket.to.ride -o ~/d.ticket.to.ride


例 14–13 ARCFOUR および鍵ファイルで暗号化および復号化する

次の例では、ファイルを ARCFOUR アルゴリズムで暗号化します。ARCFOUR アルゴリズムでは、8 ビット (1 バイト)、64 ビット (8 バイト)、または 128 ビット (16 バイト) の鍵が使用されます。


% encrypt -a arcfour -i personal.txt \
-k ~/keyf/05.07.rc4.8 -o ~/enc/e.personal.txt

出力ファイルを復号化するとき、ユーザーはファイルを暗号化したときと同じ鍵と暗号化メカニズムを使用します。


% decrypt -a arcfour -i ~/enc/e.personal.txt \
-k ~/keyf/05.07.rc4.8 -o ~/personal.txt


例 14–14 3DES および鍵ファイルで暗号化および復号化する

次の例では、ファイルを 3DES アルゴリズムで暗号化します。3DES アルゴリズムでは、192 ビット(24 バイト) の鍵が必要です。


% encrypt -a 3des -k ~/keyf/05.07.des24 \
-i ~/personal2.txt -o ~/enc/e.personal2.txt

出力ファイルを復号化するとき、ユーザーはファイルを暗号化したときと同じ鍵と暗号化メカニズムを使用します。


% decrypt -a 3des -k ~/keyf/05.07.des24 \
-i ~/enc/e.personal2.txt -o ~/personal2.txt

注意事項

次のメッセージでは、encryptコマンドに指定した鍵が、使用しているアルゴリズムで許可されないことが示されます。

アルゴリズムの条件を満たしていない鍵を渡した場合は、条件を満たす鍵を指定する必要があります。