Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

SEAM ツールパネルの説明

この節では、SEAM ツールで指定または表示できる主体とポリシーの属性について説明します。属性は、表示されるパネルごとに分類されています。

表 25–2 SEAM ツールの「Principal Basics」パネルの属性

属性 

説明 

Principal Name 

主体名 (完全指定形式の主体名の primary/instance 部分)。主体は、KDC がチケットを割り当てることができる一意の ID です。

主体を変更しても、主体名は編集できません。 

パスワード 

主体のパスワード。「Generate Random Password」ボタンを使用して、主体のランダムパスワードを作成できます。 

Policy 

主体に使用できるポリシーのメニュー。 

Account Expires 

主体のアカウントが期限切れになる日時。アカウントが期限切れになると、主体はチケット認可チケット (TGT) を取得できず、ログインできなくなります。 

Last Principal Change  

主体の情報が最後に変更された日付。(読み取り専用) 

Last Changed By 

この主体のアカウントを最後に変更した主体名。(読み取り専用) 

Comments 

主体に関連するコメント (「一時アカウント」など)。 

表 25–3 SEAM ツールの「Principal Details」パネルの属性

属性 

説明 

Last Success 

主体が最後に正常にログインした日時。(読み取り専用) 

Last Failure 

主体が最後にログインに失敗した日時。(読み取り専用) 

Failure Count 

主体のログインが失敗した回数。(読み取り専用) 

Last Password Change 

主体のパスワードが最後に変更された日時。(読み取り専用) 

Password Expires 

主体の現在のパスワードが期限切れになる日時。 

Key Version 

主体の鍵のバージョン番号。この属性は通常、パスワードが危険にさらされた場合にだけ変更されます。 

Maximum Lifetime (seconds) 

チケットを主体が使用できる最大期間 (更新しない場合)。 

Maximum Renewal (seconds) 

既存のチケットを主体が更新できる最大期間。 

表 25–4 SEAM ツールの「Principal Flags」パネルの属性

属性 (ラジオボタン) 

説明 

Disable Account 

チェックすると、その主体はログインできなくなります。この属性は、主体のアカウントを一時的に凍結するときに使用します。 

Require Password Change 

チェックすると、主体の現在のパスワードが期限切れとなり、ユーザーは kpasswd コマンドを使用して新しいパスワードを作成しなければなりません。この属性は、セキュリティー侵害が発生し、古いパスワードを置換する必要があるときに使用します。

Allow Postdated Tickets 

チェックすると、主体は遅延チケットを取得できます。  

たとえば、cron ジョブを数時間後に実行する場合は、遅延チケットを使用する必要があります。ただし、チケットの有効期限が短い場合は、事前にチケットを取得できません。

Allow Forwardable Tickets 

チェックすると、主体は転送可能チケットを取得できます。 

転送可能チケットは、遠隔ホストに転送されて、シングルサインオンセッションを実現します。たとえば、転送可能チケットを使用して、ユーザー自身の ftp 認証または rsh 認証が完了すると、NFS サービスなどのほかのサービスを利用するときに、新たにパスワードを要求されません。

Allow Renewable Tickets 

チェックすると、主体が更新可能チケットを取得できます。 

主体は、チケットが更新可能な場合、有効期限日時を自動的に延長することができます。つまり、最初のチケットの期限が切れても、新しいチケットを取得する必要がありません。現在の NFS サービスは、チケットを新しくするチケットサービスです。 

Allow Proxiable Tickets 

チェックすると、主体は代理可能チケットを取得できます。 

代理可能チケットを使用すると、クライアントの代わりにサービスがクライアントの操作を実行できます。代理可能チケットを使用すると、サービスはクライアントの ID を使用して別のサービスのチケットを取得できます。ただし、チケット認可チケット (TGT) を取得することはできません。 

Allow Service Tickets 

チェックすると、サービスチケットを特定の主体に発行できます。 

サービスチケットの発行は、kadmin/hostname および changepw/hostname 主体に許可してはいけません。これらの主体は、KDC データベース以外は更新してはいけません。

Allow TGT-Based Authentication 

チェックすると、このサービス主体は別の主体にサービスを提供できます。つまり、KDC は、サービス主体にサービスチケットを発行できます。 

この属性は、サービス主体にだけ使用できます。チェックを解除すると、サービスチケットをサービス主体に対して発行できません。 

Allow Duplicate Authentication 

チェックすると、このユーザー主体はほかのユーザー主体のサービスチケットを取得できます。 

この属性は、ユーザー主体にだけ使用できます。チェックを解除すると、ユーザー主体はサービス主体のサービスチケットを取得できますが、ほかのユーザー主体のサービスチケットは取得できません。 

Required Preauthentication 

チェックすると、KDC が要求されたチケット認可チケット (TGT) を主体に送信する前に、その主体が TGT を要求している主体であることを KDC のソフトウェアが認証します。この事前認証は通常、DES カードなどの特別のパスワードを使用して行われます。 

チェックを解除すると、KDC は要求された TGT を主体に送信する前に、主体の事前認証を必要としません。 

Required Hardware Authentication 

チェックすると、KDC が要求されたチケット認可チケット (TGT) を主体に送信する前に、その主体が TGT を要求している主体であることを KDC のハードウェアが認証します。ハードウェア事前認証は、たとえば Java リングのリーダー上で行われます。 

チェックを解除すると、KDC は要求された TGT を主体に送信する前に、主体の事前認証を必要としません。 

表 25–5 SEAM ツールの「Policy Basics」区画の属性

属性 

説明 

ポリシー名 

ポリシー名。ポリシーとは、主体のパスワードとチケットを管理する一連のルールのことです。 

ポリシーを変更しても、ポリシー名は編集できません。 

Minimum Password Length 

主体の最小パスワード長。 

Minimum Password Classes 

主体のパスワードに必要な異なる文字タイプの数。 

たとえば、最小クラス値が 2 の場合は、パスワードに 2 種類以上の文字タイプを使用する必要があります。たとえば、英字と数字を使用して「hi2mom」と入力する必要があります。値が 3 の場合は、パスワードに 3 種類以上の文字タイプを使用する必要があります。たとえば、英字、数字、および句読点を使用して「hi2mom!」と入力する必要があります。  

値が 1 の場合は、パスワード文字タイプの数に制限が設定されません。 

Saved Password History 

主体に使用された過去のパスワードの数と、過去のパスワードの一覧。これらのパスワードは再使用できません。 

Minimum Password Lifetime (seconds) 

パスワードの最小使用期間。この期間が経過しないとパスワードを変更できません。 

Maximum Password Lifetime (seconds) 

パスワードの最大使用期間。この期間が経過したらパスワードを変更する必要があります。 

Principals Using This Policy 

このポリシーが現在適用されている主体の数。(読み取り専用)