Solaris の暗号化フレームワークでは、ファイルの整合性の確認、ファイルの暗号化、およびファイルの復号化を行うユーザーレベルコマンドが用意されています。独立したコマンド elfsign によって、フレームワークでの使用のためにプロバイダがバイナリに署名することができます。
digest コマンド – 1 つまたは複数のファイルまたは標準入力のメッセージ要約を計算します。要約は、ファイルの整合性を検証するのに便利です。SHA1 および MD5 は、要約機能の例です。
mac コマンド – 1 つまたは複数のファイルまたは標準入力のメッセージ認証コード (MAC) を計算します。MAC は、データを認証されたメッセージに関連付けます。MAC によって、受信者は、メッセージの送信者、およびメッセージが改ざんされていないことを検証できるようになります。sha1_mac メカニズムおよび md5_hmac メカニズムが MAC を計算します。
encrypt コマンド – 対称暗号でファイルまたは stdin を暗号化します。encrypt -l コマンドは、使用可能なアルゴリズムを一覧表示します。ユーザーレベルライブラリで一覧表示されるメカニズムは、encrypt コマンドで使用可能です。暗号化フレームワークでは、ユーザーの暗号化のために AES、DES、3DES (Triple-DES)、および ARCFOUR メカニズムが用意されています。
decrypt コマンド – encrypt コマンドで暗号化されたファイルまたは stdin を復号化します。decrypt コマンドは、元のファイルの暗号化に使用されたのと同一の鍵とメカニズムを使用します。
elfsign コマンドは、Solaris 暗号化フレームワークでの使用のためにプロバイダに署名する手段です。一般に、このコマンドはプロバイダの開発者によって実行されます。
elfsign コマンドには、Sun の証明書を要求するためのサブコマンドとバイナリ署名を行うためのサブコマンドが用意されています。署名を確認するサブコマンドもあります。署名されていないバイナリは、Solaris の暗号化フレームワークで使用することができません。1 つまたは複数のプロバイダに署名するには、Sun の証明書と、その証明書の要求に使用された非公開鍵が必要です。詳細については、『Oracle Solaris セキュリティーサービス開発ガイド』の付録 F「暗号化プロバイダのパッケージ化と署名」を参照してください。