Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

並列伝播を設定するための構成手順

ここでは、並列伝播の詳細な手順は説明しませんが、並列伝播を有効にする構成手順の概要を示します。手順は次のとおりです。

  1. マスター KDC 上で、cron ジョブ内の kprop_script エントリを変更して、次の伝播先のスレーブ KDC ( 伝播スレーブ) だけを引数に指定します。

  2. 伝播スレーブごとに、kprop_script エントリをその cron ジョブに追加し、伝播先のスレーブを引数に指定します。並列伝播を正しく行うには、伝播スレーブが新しい Kerberos データベースから伝播されたあとに、cron ジョブが実行されるように設定する必要があります。


    注 –

    伝播スレーブにかかる伝播時間は、ネットワークの帯域幅や Kerberos データベースのサイズなどの要因によって異なります。


  3. スレーブ KDC ごとに、伝播に必要なアクセス権を設定します。伝播元の KDC のホスト主体名を各スレーブ KDC の kpropd.acl ファイルに追加します。


例 23–16 並列伝播の設定

図 23–2 の例を使用すると、マスター KDC の kprop_script エントリは、次のようになります。


0 3 * * * /usr/lib/krb5/kprop_script slave-1.example.com slave-4.example.com

slave-1kprop_script エントリは、次のようになります。


0 4 * * * /usr/lib/krb5/kprop_script slave-2.example.com slave-3.example.com

このスレーブの伝播は、マスターからの伝播が完了してから 1 時間後に開始します。

伝播スレーブの kpropd.acl ファイルには、次のエントリが含まれます。


host/master.example.com@EXAMPLE.COM

slave-1 から伝播されるスレーブ KDC の kpropd.acl ファイルには、次のエントリが含まれます。


host/slave-1.example.com@EXAMPLE.COM