Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : NIS+ 編)

資格に関連する情報が格納されている場所

この節では、NIS+ 名前空間のどこに資格関連情報が格納されるのかを説明します。

公開鍵など、資格に関する情報は、名前空間内の様々な場所に保存されています。NIS+ は、情報を格納しているオブジェクトの生存期間に応じてこの情報を定期的に更新しますが、場合によっては、更新の間に同期が失われ、システムが正常に動作しなくなることがあります。 資格関連の情報を格納するすべてのオブジェクト、テーブル、ファイル、および再設定方法を、表 12–2 に示します。


注 –

NIS+ サービスは、サービス管理機能 (SMF) によって管理されます。rpc.nisdkeyservnis_cachemgr などの NIS+ デーモンを有効化、無効化、または再起動するには、svcadm コマンドを使用します。SMF を NIS+ で使用する方法については、「NIS+ とサービス管理機能」を参照してください。SMF の概要については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「サービスの管理 (概要)」を参照してください。詳細については、svcadm(1M)svcs(1) の各マニュアルページも参照してください。


表 12–2 資格に関連する情報が格納されている場所

項目 

保存対象 

リセットおよび更新の方法 

cred テーブル

NIS+ 主体の秘密非公開鍵と公開鍵。これらの鍵のマスターコピーとなる 

nisaddcred を使用して新しい資格を作成する。これによって既存の資格が更新されるchkey を使用しても同様のことが行える

ディレクトリオブジェクト 

個々のサーバーの公開鍵のコピー 

ディレクトリオブジェクトに対して /usr/lib/nis/nisupdkeys コマンドを実行する

キーサーバー 

その時点でログインされている NIS+ 主体の非公開鍵 

主体ユーザーに対して keylogin を実行する。または主体マシンに対して keylogin -r を実行する

NIS+ デーモン 

ディレクトリオブジェクトのコピー (そのサーバーの公開鍵のコピーが含まれる) 

NIS+ サービスを無効にすることにより rpc.nisd デーモンとキャッシュマネージャを停止し、/var/nis から NIS_SHARED_DIRCACHE を削除する。その後、NIS+ サービスを再起動する

ディレクトリキャッシュ 

ディレクトリオブジェクトのコピー (そのサーバーの公開鍵のコピーが含まれる) 

-i オプションを指定して NIS+ キャッシュマネージャを再起動する

コールドスタートファイル 

ディレクトリオブジェクトのコピー (そのサーバーの公開鍵のコピーが含まれる) 

NIS+ サービスを停止する。/var/nis から NIS_COLD_START ファイルと NIS_SHARED_DIRCACHE ファイルを削除する。NIS+ サービスを再起動する

passwd テーブル

ユーザーのパスワード 

passwd -r nisplus コマンドを使用するこれによって、NIS+ passwd テーブル、cred テーブルの中でパスワードが更新される

passwd ファイル

ユーザーのパスワードまたはマシンのスーパーユーザーのパスワード 

passwd -r nisplus コマンドを使用する。スーパーユーザーとしてログインしていても、自分のユーザー名でログインしていてもよい

passwd

マップ (NIS) 

ユーザーのパスワード 

passwd -r nisplus コマンドを使用する