Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : NIS+ 編)

passwd テーブル

passwd テーブルには、ドメイン内のユーザーのアカウントに関する情報が入っています。これらのユーザーは、一般的には NIS+ 主体ですが、必ずしもその必要はありません。ただし、ユーザーが NIS+ 主体である場合、それらの資格はここには収められず、ドメインの cred テーブルに格納されることに注意してください。passwd テーブルは、その他 (または未認証) に対して通常読み取り権を与えます。


注 –

スーパーユーザー (ユーザー ID = 0) のエントリをこのテーブルに入れることはできません。ルートのパスワード情報は、/etc ディレクトリ上のファイルに格納してください。


passwd テーブル内の情報は、ユーザーのアカウントが作成されたときに追加されます。

passwd テーブルには次の列があります。

表 23–12 passwd テーブル

列 

説明 

名前 

ユーザーのログイン名であり、ユーザーのアカウントが作成されたときに割り当てられる。この名前には大文字を含める必要はない。最大 8 文字まで 

パスワード 

ユーザーの暗号化されたパスワード 

UID 

ユーザーの ID 番号であり、ユーザーのアカウントが作成されたときに割り当てられる 

グループ ID 

ユーザーのデフォルトグループの ID 番号 

GCOS 

ユーザーの実名と、ユーザーがメールメッセージ見出しの「From:」 フィールドに入れたい情報。この列が「“&”」の場合、単にユーザーのログイン名を使用する 

ホーム 

ユーザーのホームディレクトリのパス名 

シェル 

ユーザーの初期シェルプログラム。デフォルトは Bourne シェル : /usr/bin/sh

シャドウ 

(表 23–13 を参照)

passwd テーブルには、さらにシャドウ列があります。この列には、ユーザーアカウントに関して、次に示すような制限情報が格納されています。

表 23–13 passwd テーブルのシャドウ列

項目 

説明 

最終変更日 

1970 年 1 月 1 日からパスワードの最終変更日までの日数 

最小値 

推奨されるパスワード変更間隔の最小日数 

最大値 

パスワードが有効な最大日数 

警告 

ユーザーパスワードが期限切れになる前にユーザーが警告を受ける日数 

間隔 

ユーザーに許される休止日数 

期限 

ユーザーのアカウントが無効となる絶対日付 

未使用 

将来のために獲保。現在は 0 に設定されている 

Solaris の以前のリリースでは、ローカル /etc/passwd ファイル内で +/- 構文を使って、NIS パスワードマップ内のエントリを統合または上書きしました。Solaris 2x リリースではネームサービススイッチファイルを使用してマシンの情報ソースを指定するため、この仕様は不要になります。Solaris 2.x システムで必要なのは、クライアントの /etc/nsswitch.conf ファイルを編集して files を指定し、それに続けて passwd 情報のソースとして nisplus を指定することです。これによって、passwd テーブルの内容が /etc/passwd ファイルの内容に効果的に追加されます。

しかし、それでも +/- 方式を使用したい場合は、クライアントの nsswitch.conf ファイルを編集します。NIS を使用している場合、passwd のソースに compat を指定します。NIS+ を使用している場合は、passwd_compat: nisplus を追加してください。