NIS+ 名前空間を構成する前に、次の作業を行う必要があります。
NIS+ を使用するすべてのマシンの nsswitch.conf ファイルを正しく構成します。詳細は、第 1 章「ネームサービススイッチ」を参照してください。
NIS+ 名前空間のレイアウトを設計します。レイアウトを設計する際、次の点を考慮してください。
名前空間の設計。どんなドメイン名を付けるか。サブドメインを作るか。サブドメインを作るとしたら、それらをどのように編成するか。どのマシンをどのドメインに入れるか。ドメインを上位のドメインあるいはインターネットに接続するか。
サーバー要件の確認。各ドメインに複製サーバーをいくつ置くか。必要なサーバーの種類、処理速度、メモリー容量はサーバーのディスク容量はどれくらい必要か。
上記およびほかの設計上の考慮事項、および推奨ガイドラインの詳細については本書をよくお読みください。
名前空間がすでに存在している場合、NIS+ に移行するための準備をします。「名前空間がすでに存在する場合の設定」を参照してください。
ルートサーバーマシンを選択します。
ルートマスターサーバーとして使用できるシステムが少なくとも 1 つは稼働していることを確認します。ルートマスターサーバーでは、/etc/passwd などのシステム情報ファイルに少なくとも 1 人のユーザー (root) が登録されていなければなりません 。通常のマシンのシステム情報ファイルには root が存在しますので、これが問題となることはないはずです。
NIS とNIS+ は、いくつかの同じ作業を行います。ただし NIS+ では、NIS で提供されない階層ドメイン、名前空間セキュリティなどの機能が使用できます。NIS と NIS+ の相違点の詳細は、「NIS+ と NIS の違い」を参照してください。
NIS 管理者は、以下に示す原則および条件下で NIS を NIS+ とともに使用できます。
同一ドメインに NIS サーバーと NIS+ サーバーの両方が存在する。NIS 管理者は、同一ドメインで NIS サーバーと NIS+ サーバーの両方を動作させることは可能ですが、このような動作を長時間行わせることは望ましくありません。一般に、同一ドメイン内での NIS サーバーと NIS+ サーバーを両方使用するのは、NIS から NIS+ への短い移行期間だけに制限するべきです。クライアントから NIS サービスの要求があった場合に、NIS 管理者は、NIS+ を NIS 互換モードで動作させることができます。詳細は、「Solaris 1.x と NIS 互換モード」を参照してください。
サブドメイン。NIS 管理者のルートドメインのマスターサーバーで NIS+ が動作している場合は、NIS 管理者は、すべてのサーバーで NIS が動作しているサブドメインを設定できます。NIS 管理者のルートドメインのマスターサーバーで NIS が動作している場合は、NIS 管理者はサブドメインの設定はできません。この操作は、NIS 管理者が NIS から NIS+ に移行する際に便利な場合があります。たとえば、互いに独立した複数の NISドメイン (ドメインは地理的に別々のサイトに置かれていることもある) を持った会社の中で、NIS 管理者がそれらのドメインをすべてリンクさせて NIS+ の下に 1 つの階層型マルチドメイン名前空間を構築するケースを考えてみます。 この場合、NIS 管理者はまずルートドメインを NIS+ 下に設定し、次に従来の NISドメインをサブドメインとして指定できます。これらのサブドメインでは、NIS+ へ切り換える準備ができるまで NIS が継続して動作します。
同一ドメインに複数のマシンが存在する。
同一ドメイン内のサーバーで NIS+ が動作している場合は、NIS+、NIS、または /etc ファイルを使ってネームサービス情報を取得するように、ドメイン内の各マシンを設定できます。NIS+ サーバーが NIS クライアントのニーズを満たすには、この NIS+ サーバーが NIS 互換モードで動作している必要があります。「Solaris 1.x と NIS 互換モード」を参照してください。
同一ドメイン内のサーバーで NIS が動作している場合は、NIS または /etc ファイルを使ってネームサービス情報を取得するように、このドメイン内の各マシンを設定できます (各マシンは NIS+ を使用することはできません) 。