NIS ドメインが NIS 名前空間にすでに存在する場合は、そのドメインを NIS+ 名前空間に同じフラット構造で移行できます。移行したドメインは、あとで階層構造に変更できます。 NIS から NIS+ への移行を始める前に、計画および準備に関する重要な情報について、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : NIS+ 編)』の「スクリプトを使用した NIS+ の設定」を参照してください。NIS+ のスクリプトを使用すると、NIS マップのデータを利用して簡単に NIS+ を起動できます。第 4 章「スクリプトを使用した NIS+ の設定」で、NIS+ スクリプトを使用してシステムファイルや NIS マップから NIS+ 名前空間を作成する方法を説明します。
ただし、名前空間がすでに存在している場合、スクリプトをスムーズに実行するため NIS+ への移行用の設定が必要です。
準備に関する主な注意事項は次のとおりです。
「ドメイン名とホスト名」。ドメイン名とホスト名は、同じにならないようにする必要があります。たとえば、sales ドメインがある場合は、ホスト名に sales を使用することはできません。同様に、home というホスト名がある場合には、ドメイン名に home を使用できません。これはサブドメインの場合も同様です。たとえば、マシンに west という名前を付けている場合、sales.west.doc.com というサブディレクトリを作成しないでください。
「ホスト名にはドットを使用しない」。NIS+ では、マシン名とドメイン名の間や、親とサブドメインの間の区切りにドット (ピリオド) を使用します。このため、マシン名の中ではドットを使用できません。使用している場合は、NIS+ に移行する前に (スクリプトを実行する前に) 必ず変更してください。ホスト名中のドットは、ハイフンに置き換えます。たとえば、sales.alpha というマシン名を付けることはできません。この名前は、sales-alpha に置き換えることができます (使用可能なホスト名の詳細については、 hosts のマニュアルページを参照してください)。
「ルートサーバーが動作していることを確認する」。ルートサーバーになるマシンが起動されていることを確認します。また、スーパーユーザーとしてアクセスできることも確認します。
データのロード元のローカル /etc ファイル、または NIS マップのエントリを確認する。不正なエントリがないことを確認します。正しいデータが、所定の場所に正しい書式で記録されていることを確認します。エントリのうち、古いもの、無効なもの、破損しているものは削除します。また、不完全なエントリや一部のみのエントリも削除します。構成完了後は、いつでもエントリを追加できます。必要なエントリをあとから追加する方が、不完全なエントリや破損しているエントリを読み込もうとするよりも簡単です。
Solaris 2.4 以前では、 /var/nis ディレクトリに hostname.dict、hostname.log という 2 つのファイルが含まれていました。また、/var/nis/hostname というサブディレクトリも含まれていました。Solaris 2.5 で NIS+ をインストールした場合、2 つのファイル名は trans.log、data.dict、サブディレクトリ名は /var/nis/data となります。Solaris 2.5 ではこれらのファイルの内容も変更されており、Solaris 2.4 以前との互換性はなくなっています。したがって、これらのファイルやディレクトリを Solaris 2.4 での名前にしてしまうと、Solaris 2.4、2.5 双方の rpc.nisd で機能しなくなります。ディレクトリ名もファイル名も変更しないでください。