Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris コンテナ : 資源管理と Oracle Solaris ゾーン)

非大域ゾーンの状態モデル

非大域ゾーンの状態は、次の 6 つのいずれかになります。

構成済み

ゾーンの構成は完了し、安定した記憶領域に確定されています。ただし、ゾーンのアプリケーション環境の要素のうち、最初の起動後に指定する必要のあるものは、まだ含まれていません。

不完全

インストール処理やアンインストール処理の途中は、zoneadm によってターゲットゾーンの状態が「不完全」に設定されます。処理が正常に完了すると、適切な状態に設定されます。

インストール済み

ゾーンの構成はシステム上でインスタンス化されています。zoneadm コマンドにより、指定された Solaris システムでその構成を正常に使用できるかどうかが確認されます。パッケージはゾーンのルートパスにインストールされます。この状態では、ゾーンに関連付けられた仮想プラットフォームはありません。

準備完了

ゾーンの仮想プラットフォームが確立されています。カーネルにより zsched プロセスが作成され、ネットワークインタフェースが設定されてゾーンで使用可能になり、ファイルシステムがマウントされ、デバイスの構成が完了しています。システムにより、一意のゾーン ID が割り当てられます。この状態では、ゾーンに関連付けられたプロセスは起動されていません。

稼働

ゾーンのアプリケーション環境に関連付けられたユーザープロセスが稼働状態です。アプリケーション環境に関連付けられた最初のユーザープロセス (init) が作成されるとすぐに、ゾーンの状態は「稼働」になります。

停止処理中および停止

これらは、ゾーンの停止処理の間に見られる遷移状態です。ただし、なんらかの理由でゾーンを停止処理できない場合は、ゾーンがどちらかの状態で停止します。

zoneadm コマンドを使用してこれらの状態間の遷移を開始する方法については、第 20 章非大域ゾーンのインストール、起動、停止、アンインストール、および複製 (手順)および zoneadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

表 16–1 ゾーンの状態に影響を与えるコマンド

ゾーンの現在の状態 

適用できるコマンド 

構成済み 

zonecfg -z zonename verify

zonecfg -z zonename commit

zonecfg -z zonename delete

zoneadm -z zonename attach

zoneadm -z zonename verify

zoneadm -z zonename install

zoneadm -z zonename clone

zonecfg を使用して、構成済みまたはインストール済みの状態にあるゾーンの名前を変更することもできます。

不完全 

zoneadm -z zonename uninstall

インストール済み 

zoneadm -z zonename ready (省略可能)

zoneadm -z zonename boot

zoneadm -z zonename uninstall は、指定されたゾーンの構成をシステムからアンインストールします。

zoneadm -z zonename move path

zoneadm -z zonename detach

zonecfg -z zonename を使用すると、attrbootargscapped-memorydatasetdedicated-cpudevicefsip-typelimitprivnetrctl、または scheduling-class プロパティーを追加または削除することができます。インストール済み状態のゾーンの名前を変更することもできます。inherit-pkg-dir 資源は変更できません。

準備完了 

zoneadm -z zonename boot

zoneadm halt とシステム再起動を実行すると、準備完了状態のゾーンがインストール済み状態に戻ります。

zonecfg -z zonename を使用すると、attrbootargscapped-memorydatasetdedicated-cpudevicefsip-typelimitprivnetrctl、または scheduling-class プロパティーを追加または削除することができます。inherit-pkg-dir 資源は変更できません。

稼働 

zlogin options zonename

zoneadm -z zonename reboot

zoneadm -zzonename halt を実行すると、準備完了状態のゾーンがインストール済み状態に戻ります。

zoneadm halt とシステムの再起動を実行すると、稼働状態のゾーンがインストール済み状態に戻ります。

zonecfg -z zonename を使用すると、attrbootargscapped-memorydatasetdedicated-cpudevicefsip-typelimitprivnetrctl、または scheduling-class プロパティーを追加または削除することができます。zonepath 資源と inherit-pkg-dir 資源は変更できません。


注 –

zonecfg 経由で変更されたパラメータは、稼働中のゾーンには影響しません。変更を適用するには、ゾーンを再起動する必要があります。