Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris コンテナ : 資源管理と Oracle Solaris ゾーン)

資源タイプのプロパティー

資源には、構成可能なプロパティーもあります。資源タイプとそれに関連付けられるプロパティーは次のとおりです。

dedicated-cpu

ncpusimportance

Solaris 10 8/07: CPU の数を指定し、必要に応じてプールの相対的な重要性も指定します。次の例では、ゾーン my-zone で使用する CPU の範囲を指定します。importance も設定します。


zonecfg:my-zone> add dedicated-cpu
zonecfg:my-zone:dedicated-cpu> set ncpus=1-3
zonecfg:my-zone:dedicated-cpu> set importance=2
zonecfg:my-zone:dedicated-cpu> end
capped-cpu

ncpus

CPU の数を指定します。次の例では、ゾーン my-zone の CPU 数のキャップを 3.5 に指定します。


zonecfg:my-zone> add capped-cpu
zonecfg:my-zone:capped-cpu> set ncpus=3.5
zonecfg:my-zone:capped-cpu> end
capped-memory

physicalswaplocked

ゾーン my-zone のメモリー制限を指定します。各制限は省略可能ですが、少なくとも 1 つは設定する必要があります。


zonecfg:my-zone> add capped-memory
zonecfg:my-zone:capped-memory> set physical=50m
zonecfg:my-zone:capped-memory> set swap=100m
zonecfg:my-zone:capped-memory> set locked=30m
zonecfg:my-zone:capped-memory> end
fs

dirspecialrawtypeoptions

fs 資源のパラメータは、ファイルシステムをマウントする方法と場所を決定する値を指定します。fs のパラメータは次のように定義されています。

dir

ファイルシステムのマウントポイントを指定します

special

大域ゾーンからマウントするブロック型特殊デバイスの名前またはディレクトリを指定します

raw

ファイルシステムをマウントする前に fsck を実行する、raw デバイスを指定します

type

ファイルシステムのタイプを指定します

options

mount コマンドで使用されるオプションに似たマウントオプションを指定します

次の例では、大域ゾーンの /dev/dsk/c0t0d0s2 を、構成中のゾーンに /mnt としてマウントするように指定します。raw プロパティーでデバイスを指定する (任意) と、ファイルシステムのマウントを実行する前に、そのデバイスに対して fsck コマンドが実行されます。使用するファイルシステムの種類は UFS です。nodevices オプションと logging オプションも追加します。


zonecfg:my-zone> add fs
zonecfg:my-zone:fs> set dir=/mnt
zonecfg:my-zone:fs> set special=/dev/dsk/c0t0d0s2
zonecfg:my-zone:fs> set raw=/dev/rdsk/c0t0d0s2
zonecfg:my-zone:fs> set type=ufs
zonecfg:my-zone:fs> add options [nodevices,logging]
zonecfg:my-zone:fs> end

詳細は、-o nosuid オプション」「セキュリティーの制限およびファイルシステムの動作」、および fsck(1m)mount(1M) のマニュアルページを参照してください。また、セクション 1M のマニュアルページには、特定のファイルシステムに固有のマウントオプションに関するものがあります。このようなマニュアルページの名前は、mount_ filesystem という形式です。


注 –

fs 資源プロパティーを使用して ZFS ファイルシステムを追加する方法については、『Oracle Solaris ZFS 管理ガイド』「ZFS ファイルシステムを非大域ゾーンに追加する」を参照してください。


dataset

name

次の例では、データセット sales を非大域ゾーンでマウントして可視にし、大域ゾーンでは不可視にするように指定します。


zonecfg:my-zone> add dataset
zonecfg:my-zone> set name=tank/sales
zonecfg:my-zone> end
inherit-pkg-dir

dir

次の例では、大域ゾーンから /opt/sfw をループバックマウントするように指定します。


zonecfg:my-zone> add inherit-pkg-dir
zonecfg:my-zone:inherit-pkg-dir> set dir=/opt/sfw
zonecfg:my-zone:inherit-pkg-dir> end
net

addressphysicaldefrouter


注 –

共有 IP ゾーンの場合は、IP アドレスとデバイスの両方を指定します。必要に応じて、デフォルトのルーターを設定できます。

  • 大域ゾーンで構成されていないサブネット上に非大域ゾーンがある場合、defrouter プロパティーを使用してデフォルト経路を設定できます。

  • defrouter プロパティーを設定したゾーンは、大域ゾーンで構成されていないサブネット上にある必要があります。

共有 IP ゾーンがそれぞれ異なるサブネット上にある場合は、大域ゾーンでデータリンクを構成しないでください。

排他的 IP ゾーンの場合は、物理インタフェースだけを指定します。physical プロパティーは VNIC でもかまいません。


次に示す共有 IP ゾーンの例では、IP アドレス 192.168.0.1 をゾーンに追加します。物理インタフェースとして hme0 カードを使用します。どの物理インタフェースを使用するかを決定するには、システムで ifconfig -a と入力します。出力の各行は、ループバックドライバの行を除き、システムにインストールされているカードの名前で始まります。説明に LOOPBACK が含まれている場合、その行はカードに関するものではありません。


zonecfg:my-zone> add net
zonecfg:my-zone:net> set physical=hme0
zonecfg:my-zone:net> set address=192.168.0.1
zonecfg:my-zone:net> end

次に示す排他的 IP ゾーンの例では、物理インタフェースとして bge32001 リンクを使用します。使用可能なデータリンクを調べるには、dladm show-link を使用してください。排他的 IP ゾーンで使用するデータリンクは GLDv3 でなければならず、GLDv3 以外のデータリンクは dladm show-link の出力に type: legacy と表示されます。ip-type=exclusive も指定する必要があります。


zonecfg:my-zone> set ip-type=exclusive
zonecfg:my-zone> add net
zonecfg:my-zone:net> set physical=bge32001
zonecfg:my-zone:net> end
device

match

次の例では、/dev/pts デバイスをゾーンに追加します。


zonecfg:my-zone> add device
zonecfg:my-zone:device> set match=/dev/pts*
zonecfg:my-zone:device> end
rctl

namevalue

Solaris 10 8/07: このリリースで新しく追加された資源制御は、zone.max-locked-memoryzone.max-msg-idszone.max-sem-idszone.max-shm-idszone.max-shm-memory、および zone.max-swap です。

使用可能なゾーン規模の資源制御は次のとおりです。

  • zone.cpu-shares (推奨: cpu-shares )

  • zone.max-locked-memory

  • zone.max-lwps (推奨: max-lwps)

  • zone.max-msg-ids (推奨: max-msg-ids )

  • zone.max-sem-ids (推奨: max-sem-ids )

  • zone.max-shm-ids (推奨: max-shm-ids )

  • zone.max-shm-memory (推奨: max-shm-memory )

  • zone.max-swap

ゾーン規模の資源制御を設定する場合に望ましい、より簡単な方法は、rctl 資源の代わりにプロパティー名を使用する方法です。詳細は、「ゾーンの構成方法」を参照してください。add rctl を使ってゾーン内のゾーン規模の資源制御エントリを構成する場合、その形式は project データベース内の資源制御エントリの形式とは異なります。ゾーン構成では、rctl 資源タイプは、名前と値の対 3 つから成ります。これらの名前は、privlimit、および action です。これらの名前には、単純な値がそれぞれ設定されます。


zonecfg:my-zone> add rctl
zonecfg:my-zone:rctl> set name=zone.cpu-shares
zonecfg:my-zone:rctl> add value (priv=privileged,limit=10,action=none)zonecfg:my-zone:rctl> end

zonecfg:my-zone> add rctl
zonecfg:my-zone:rctl> set name=zone.max-lwps
zonecfg:my-zone:rctl> add value (priv=privileged,limit=100,action=deny)
zonecfg:my-zone:rctl> end

資源制御と属性の概要については、第 6 章資源制御 (概要)および 「非大域ゾーンで使用される資源制御」を参照してください。

attr

nametypevalue

次の例では、ゾーンに関するコメントを追加します。


zonecfg:my-zone> add attr
zonecfg:my-zone:attr> set name=comment
zonecfg:my-zone:attr> set type=string
zonecfg:my-zone:attr> set value="Production zone"
zonecfg:my-zone:attr> end

export サブコマンドを使用すると、ゾーン構成を標準出力に出力できます。構成は、コマンドファイルに使用できる形式で保存されます。