ゾーン内部から特定のファイルシステムをマウントする場合、適用されるセキュリティーの制限が存在します。ほかのファイルシステムは、ゾーン内でマウントされたときに特有の動作を行います。変更されたファイルシステムの一覧を、次に示します。
autofs は、自動的に適切なファイルシステムをマウントするためのクライアント側のサービスです。クライアントが現在マウントされていないファイルシステムにアクセスしようとすると、AutoFS ファイルシステムはその要求に介入し、automountd を呼び出して要求されたディレクトリをマウントします。ゾーン内で確立された AutoFS マウントは、そのゾーンだけで有効です。大域ゾーンを含むほかのゾーンからそのマウントにアクセスすることはできません。ゾーンが停止または再起動すると、マウントは削除されます。AutoFS の詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)』の「autofs のしくみ」を参照してください。
各ゾーンは、automountd の独自コピーを実行します。自動マップおよびタイムアウトは、ゾーン管理者により制御されます。大域ゾーンから非大域ゾーンの AutoFS マウントポイントを横断的に使用して、別のゾーン内でマウントを始動させることはできません。
別のマウントが始動する際、カーネル内で特定の AutoFS マウントが作成されます。この種のマウントは、一括してマウントまたはマウント解除する必要があるため、通常の umount インタフェースを使用して削除することはできません。この機能は、ゾーンの停止処理用であることに注意してください。
MNTFS は、ローカルシステムのマウント済みファイルシステムのテーブルに読み取り専用アクセスを提供する仮想ファイルシステムです。非大域ゾーン内から mnttab を使用して表示可能なファイルシステムのセットは、ゾーン内でマウントされたファイルシステムセットおよびルート (/) のエントリで構成されます。/dev/rdsk/c0t0d0s0 などの、ゾーン内からアクセス不可能な特殊なデバイスを保持するマウントポイントは、マウントポイントと同じ特殊なデバイスセットを保持します。システム内のすべてのマウントが、大域ゾーンの /etc/mnttab テーブルから表示可能になります。MNTFS の詳細は、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 18 章「ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)」を参照してください。
ゾーン内部で確立された NFS マウントは、そのゾーンでのみ有効です。大域ゾーンを含むほかのゾーンからそのマウントにアクセスすることはできません。ゾーンが停止または再起動すると、マウントは削除されます。
mount_nfs(1M) のマニュアルページに記載されているように、NFS サーバーが独自のファイルシステムのマウントを試みることはできません。このため、大域ゾーンによりエクスポートされたファイルシステムを、ゾーンが NFS マウントしてはいけません。ゾーンを NFS サーバーにすることはできません。ゾーン内部からの NFS マウントは、nodevices オプションを使用してマウントされたかのように動作します。
nfsstat コマンドの出力は、コマンドが実行されたゾーンにのみ関係があります。たとえば、コマンドが大域ゾーン内で実行される場合、大域ゾーンに関する情報だけが出力されます。nfsstat コマンドの詳細は、nfsstat(1M) のマニュアルページを参照してください。
開かれているファイルのいずれか、またはそのアドレス空間のいずれかの部分が NFS 上に存在する場合、zlogin コマンドは失敗します。詳細は、「zlogin コマンド」を参照してください。
PROCFS とも呼ばれる /proc ファイルシステムは、プロセスの可視性とアクセス制限、およびプロセスのゾーン関連性に関する情報を提供します。/proc では、同じゾーン内のプロセスだけを表示できます。
大域ゾーン内のプロセスから、非大域ゾーン内のプロセスおよびほかのオブジェクトを監視できます。これにより、この種のプロセスがシステム規模の監視機能を備えることが可能になります。
ゾーン内部からは、procfs マウントは nodevices オプションを使用してマウントされたかのように動作します。procfs の詳細は、proc(4) のマニュアルページを参照してください。
LOFS でマウント可能なファイルシステムの範囲は、ゾーンで表示可能なファイルシステム部分に限定されています。このため、ゾーン内での LOFS マウントには制限はありません。
zonecfg コマンドを使用して、UFS などの fsck バイナリを保持するストレージに基づいたファイルシステムを構成する場合、ゾーン管理者は raw パラメータを指定する必要があります。このパラメータは、/dev/rdsk/c0t0d0s7 などの raw (文字) デバイスを示します。zoneadmd は、このデバイス上で fsck コマンドを非対話型の検査専用モード (fsck -m) で自動実行してから、ファイルシステムをマウントします。fsck が失敗した場合、zoneadmd を使用してゾーンを準備完了状態にすることはできません。raw により指定されるパスを、相対パスにするこ とはできません。
/usr/lib/ fstype/fsck 内で fsck バイナリを提供しないファイルシステムで、デバイスを fsck に指定するのは誤りです。また、そのファイルシステムに fsck バイナリが存在する場合に、デバイスを fsck に指定しないことも誤りです。
詳細は、「zoneadmd デーモン」および fsck(1m) のマニュアルページを参照してください。
zonecfg コマンドに add dataset 資源を指定して実行することにより、非大域ゾーンに ZFS データセットを追加できます。データセットは非大域ゾーンでマウントされ可視になり、大域ゾーンでは不可視になります。ゾーン管理者は、そのデータセット内のファイルシステムの作成と破棄、クローンの作成と破棄、およびデータセットのプロパティーの変更を行うことができます。
zfs の zoned 属性は、データセットが非大域ゾーンに追加されたかどうかを示します。
# zfs get zoned tank/sales NAME PROPERTY VALUE SOURCE tank/sales zoned on local |
大域ゾーンのデータセットを共有する場合は、zonecfg コマンドとともに add fs サブコマンドを使用して、LOFS マウントした ZFS ファイルシステムを追加できます。大域管理者は、データセットのプロパティーの設定および制御を担当します。
ZFS の詳細については、『Oracle Solaris ZFS 管理ガイド』の第 10 章「Oracle Solaris ZFS の高度なトピック」を参照してください。