この章では、次の内容について説明します。
システムへの lx ゾーンのインストール
ゾーンの停止、再起動、およびアンインストール
システムでのゾーンの複製
zoneadm コマンド (zoneadm(1M) のマニュアルページを参照) は、非大域ゾーンをインストールおよび管理するための主要なツールです。zoneadm コマンドを使用する操作は、大域ゾーンから実行する必要があります。zoneadm コマンドを使用すると、次の作業を実行できます。
ゾーンを検証します
ゾーンをインストールします
ゾーンを起動します。
稼働中のゾーンに関する情報を表示します
ゾーンを停止します
ゾーンを再起動します
ゾーンをアンインストールします
同じシステム上で、ゾーンを別の場所へ再配置します
同一システムの既存ゾーンの構成に基づいて、新しいゾーンをプロビジョニングします
ゾーンを移行します。zonecfg コマンドとともに使用します
ゾーンのインストールおよび検証手順については、第 35 章lx ブランドゾーンのインストール、起動、停止、アンインストール、および複製 (手順)および zoneadm(1M) のマニュアルページを参照してください。zoneadm list コマンドでサポートされるオプションについては、zoneadm(1M) のマニュアルページも参照してください。ゾーンの構成手順については、第 33 章lx ブランドゾーンの構成 (手順)および zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。ゾーンの状態については、「非大域ゾーンの状態モデル」を参照してください。
ゾーンの Solaris 監査レコードの生成を計画している場合は、非大域ゾーンをインストールする前に 「ゾーン内での Solaris 監査の使用」を参照してください。
ゾーンのインストール後は、ソフトウェアの構成と管理はすべて、ゾーン管理者がゾーン内から Linux ツールを使用して行う必要があります。
lx ブランドゾーンのインストールには、tarball、CD-ROM または DVD ディスク、または ISO イメージを使用できます。ディスクまたは ISO イメージからインストールする場合は、Sun パッケージクラスタのカテゴリを指定できます。カテゴリは累積されたものです。クラスタを指定しないと、デフォルトで desktop になります。
表 34–1 パッケージクラスタのカテゴリ
Sun カテゴリ |
内容 |
---|---|
core |
ゾーンの構築に必要なパッケージの最小セット。 |
サーバー |
core のパッケージに httpd、mailman、imapd、spam-assassin などのサーバー向けパッケージを加えたもの。 |
desktop |
server のパッケージに evolution、gimp、mozilla、openoffice などのユーザー向けパッケージを加えたもの。 |
developer |
desktop のパッケージに bison、emacs、gcc、vim-X11 などの開発者パッケージと多くのライブラリ開発パッケージを加えたもの。 |
all |
インストールメディアに含まれているもので、ゾーンの動作に干渉しないことがわかっているものすべて。一部のパッケージは、Linux ゾーンで機能しない場合があります。 |
構成済みの lx ブランドゾーンをインストールする方法については、「lx ブランドゾーンをインストールする方法」を参照してください。
この節の内容は、既存のゾーンの複製にではなく、初期のゾーン構築だけに適用されます。
非大域ゾーンを構成したあとで、システムの構成にゾーンを安全にインストールできることを確認してください。その後、ゾーンをインストールできます。ゾーンのルートファイルシステムに必要とされるファイルは、システムによりゾーンのルートパス内にインストールされます。Linux ゾーンは、CD、ISO イメージ、または tarball から生成されます。詳細は、「lx ブランドゾーンをインストールする方法」を参照してください。
ゾーンの状態がインストール済みから準備完了に移行する際、構成ファイルで指定された資源セットが追加されます。システムにより、一意のゾーン ID が割り当てられます。ファイルシステムがマウントされ、ネットワークインタフェースが設定され、デバイスが構成されます。準備完了状態に移行すると、仮想プラットフォームでユーザープロセスを開始する準備が整います。
準備完了状態のゾーンには、稼働中のユーザープロセスは存在しません。準備完了状態のゾーンと稼働中のゾーンの主な違いは、稼働中のゾーンでは 1 つ以上のプロセスが稼働している点です。詳細は、init(1M) のマニュアルページを参照してください。
準備完了状態では、仮想プラットフォームを管理するため、zsched および zoneadmd プロセスが開始されます。
ゾーン管理デーモン zoneadmd は、ゾーンの仮想プラットフォーム管理用の主要なプロセスです。詳細は、「zoneadmd デーモン」を参照してください。
アプリケーション環境を管理するプロセス zsched については、「zsched ゾーンスケジューラ」を参照してください。
ゾーンアプリケーション環境の作成には、zoneadm コマンドが使用されます。
追加の構成はすべて、ゾーン管理者がゾーン内から Linux ツールを使用して行います。
ゾーンを Sun tarball からインストールすると、root (スーパーユーザー) パスワードは root になります。ゾーンを ISO イメージまたは CD からインストールすると、root (スーパーユーザー) パスワードは未設定 (空白) になります。
ここでは、ゾーンの停止、再起動、アンインストール、および複製手順の概要について説明します。
ゾーンのアプリケーション環境および仮想プラットフォームの両方を削除する場合に、zoneadm halt コマンドを使用します。これにより、ゾーンはインストール済みの状態に戻されます。すべてのプロセスが終了し、デバイスが構成解除され、ネットワークインタフェースが破棄され、ファイルシステムのマウントが解除され、カーネルデータ構造が破棄されます。
halt コマンドにより、ゾーン内部の停止処理スクリプトが実行されることはありません。ゾーンの停止処理を行う方法については、「zlogin を使用してゾーンを停止処理する方法」を参照してください。
停止操作に失敗する場合は、「ゾーンが停止しない」を参照してください。
zoneadm reboot コマンドを使用してブランドゾーンを再起動します。ゾーンは停止し、その後再起動します。ゾーンの再起動時に、ゾーン ID が変更されます。
ゾーンでは、次のブート引数を zoneadm boot および reboot コマンドに使用できます。
-i altinit
-s
次の定義が適用されます。
最初のプロセスとなる代替実行可能ファイルを選択します。altinit は実行可能ファイルへの有効なパスでなければなりません。デフォルトの最初のプロセスについては、init(1M) のマニュアルページを参照してください。
ゾーンを init のレベル s に起動します。
使用例については、「lx ブランドゾーンを起動する方法」および 「lx ブランドゾーンをシングルユーザーモードで起動する方法」を参照してください。
init コマンドの詳細は、init(1M) のマニュアルページを参照してください。
ゾーンの構成内で autoboot 資源プロパティーを true に設定すると、大域ゾーンの起動時にそのゾーンが自動的に起動します。デフォルトの設定は false です。
ゾーンを自動的に起動するには、ゾーンサービス svc:/system/zones:default も有効になっている必要があります。
zoneadm uninstall コマンドは、ゾーンのルートファイルシステム内のすべてのファイルを削除します。-F (force) オプションを合わせて指定しない限り、処理を続行する前に、コマンドプロンプトにより実行の確認が求められます。実行した操作を元に戻すことはできないため、uninstall コマンドは慎重に使用してください。
クローンを使用すると、システムの既存の構成済みおよびインストール済みゾーンをコピーして、新しいゾーンを同一のシステム上に迅速にプロビジョニングできます。複製処理の詳細については、「同一システム上での lx ブランドゾーンの複製」を参照してください。
ゾーンの起動および再起動の手順については、「lx ブランドゾーンを起動する方法」および 「lx ブランドゾーンを再起動する方法」を参照してください。