カーネルは、プラットフォーム固有の構成要素を備えた汎用コアと、一連のモジュールから成ります。カーネルは Solaris リリースで自動的に構成されます。
「カーネルモジュール」とは、システムで固有の作業を実行するために使用されるハードウェアまたはソフトウェアの構成要素のことです。「ロード可能」なカーネルモジュールの例としては、デバイスのアクセス時にロードされるデバイスドライバがあげられます。
プラットフォームに依存しないカーネルは /kernel/genunix です。プラットフォーム固有の構成要素は、/platform/`uname -m`/kernel/unix です。
カーネルモジュールについては、次の表で説明します。
表 5–2 Solaris カーネルモジュール
場所 |
内容 |
---|---|
/platform/`uname -m`/kernel |
プラットフォーム固有のカーネル構成要素 |
/kernel |
システムのブートに必要なすべてのプラットフォームに共通のカーネル構成要素 |
/usr/kernel |
特定の命令セット内にあるすべてのプラットフォームに共通のカーネル構成要素 |
システムは、ブート時にどのデバイスが接続されるかを判断します。さらに、カーネルは、それ自体を動的に構成して、必要なモジュールだけをメモリーにロードします。ディスクデバイスやテープデバイスなどのデバイスがはじめてアクセスされると、対応するデバイスドライバがロードされます。このプロセスは、「自動構成」と呼ばれます。これは、すべてのカーネルモジュールが、必要に応じて自動的にロードされるためです。
/etc/system ファイルを修正することによって、カーネルモジュールがロードされる方法をカスタマイズできます。このファイルを修正する方法については、system(4) のマニュアルページを参照してください。
自動構成の利点は次のとおりです。
モジュールが必要に応じてロードされるため、主メモリーをより効率的に使用できます。
新しいデバイスがシステムに追加されるときに、カーネルを再構成する必要がありません。
カーネルを再構成しないでドライバをロード、テストして、システムをリブートできます。
自動構成プロセスは、新しいデバイス (およびドライバ) をシステムに追加するときに使用されます。デバイスがホットプラグ対応でない場合は、システムの再構成ブートを実行して、システムに新しいデバイスを認識させる必要があります。ホットプラグ対応デバイスについては、第 6 章デバイスの動的構成 (手順)を参照してください
Solaris リリースには、各種の標準デバイスをサポートするために必要なデバイスドライバが組み込まれています。これらのドライバは、/kernel/drv および /platform/`uname -m`/kernel/drv ディレクトリにあります。
ただし Solaris で標準にサポートされていないデバイスを購入した場合は、その製造元から、デバイスを正しくインストール、保守、管理するために必要なソフトウェアを提供してもらう必要があります。
そのようなデバイス用ソフトウェアには、少なくともデバイスドライバとその関連設定 (.conf) ファイルが含まれます。.conf ファイルは、drv ディレクトリにもあります。また、サポートされていないデバイスは、Solaris で提供されるユーティリティーと互換性を持たないので、保守および管理用のユーティリティーが必要になる場合があります。
サポートされていないデバイスに必要な対策については、デバイスのご購入先にお問い合わせください。