Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

ファイルシステムをコピーするためのコマンド

UFS ファイルシステム全体をバックアップして復元する必要があるときは、第 27 章UFS バックアップおよび復元コマンド (参照情報)で説明されている ufsdump および ufsrestore コマンドを使用します。個々のファイル、ファイルシステムの一部、またはファイルシステム全体をコピーまたは移動する場合は、ufsdumpufsrestore コマンドの代わりに、この章で説明する手順を使用できます。

次の表に、各種バックアップコマンドの用途を示します。

表 28–1 バックアップコマンドの用途

作業 

コマンド 

参照先 

UFS ファイルシステムをテープにバックアップします。 

ufsdump

「UFS ファイルシステムのバックアップをテープに作成する方法」

ファイルシステムのスナップショットを作成します。 

fssnap

第 25 章UFS スナップショットの使用 (手順)

UFS ファイルシステムをテープから復元します。 

ufsrestore コマンド

「UFS ファイルシステム全体を復元する方法」

ファイルをほかのシステムに転送します。 

paxtar、または cpio

「ファイルとファイルシステムをテープにコピーする」

ファイルまたはファイルシステムをディスク間でコピーします。 

dd

「ディスクをコピーする方法 (dd)」

ファイルをフロッピーディスクにコピーします。 

tar

「ファイルを 1 枚のフォーマット済みフロッピーディスクにコピーする方法 (tar)」

次の表に、各種のバックアップおよび復元コマンドを示します。

表 28–2 バックアップコマンドの概要

コマンド名 

ファイルシステム境界の認識 

複数ボリュームバックアップのサポート 

物理コピー / 論理コピー 

volcopy

はい 

はい 

物理 

tar

いいえ 

いいえ 

論理 

cpio

いいえ 

はい 

論理 

pax

はい 

はい 

論理 

dd

はい 

いいえ 

物理 

ufsdump/ufsrestore

はい 

はい 

論理 

fssnap

なし 

なし 

論理 

次の表では、これらのコマンドの一部の長所と短所を説明します。

表 28–3 tarpaxcpio コマンドの長所と短所

コマンド 

機能 

長所 

短所 

tar

ファイルやディレクトリサブツリーを 1 本のテープにコピーする場合に使用します。 

  • ほとんどの UNIX オペレーティングシステムで利用できます

  • パブリックドメインバージョンもすぐに利用できます

  • ファイルシステムの境界を認識しません

  • 完全パス名は最大 255 文字です

  • 複数のテープボリュームを作成する場合は使用できません

pax

複数のテープボリュームを必要とするファイル、特殊ファイル、またはファイルシステムをコピーする場合に使用します。または、POSIX 準拠システムとの間でファイルをコピーする場合に使用します。 

  • POSIX 準拠システムに対する、tar コマンドや cpio コマンドよりも高い互換性

  • 複数のベンダーサポート

tar コマンドの短所を参照してください。ただし、pax は、複数のテープボリュームを作成できます。

cpio

複数のテープボリュームを必要とするファイル、特殊ファイル、またはファイルシステムをコピーする場合に使用します。または、最新の Solaris リリースを実行しているシステムから SunOS 4.0/4.1 リリースを実行しているシステムへファイルをコピーする場合に使用します。 

  • tar コマンドよりも効率的に、データをテープに書き込みます

  • 復元時、テープ中の不良箇所をスキップします

  • 異なるシステムタイプ間の互換性のために、異なるヘッダー形式 (tarustarcrcodcbar など) でファイルを書き込むオプションを提供します

  • 複数のテープボリュームを作成します

コマンド構文が tar コマンドや pax コマンドよりも難解です。

次の節では、これらのコマンドの使用例を紹介します。