Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

iSCSI の一般的なエラーメッセージ

この節では、/var/adm/messages ファイルに見つかる可能性のある iSCSI メッセージと、回復のために適用できる解決方法について説明します。

メッセージの形式は次のとおりです。


iscsi TYPE (OID) STRING (STATUS-CLASS#/STATUS-DETAIL#)
TYPE

接続 (connection)、セッション (session) のいずれかです。

OID

接続またはセッションのオブジェクト ID です。この ID は、OS インスタンスに一意です。

STRING

状態の説明です。

STATUS-CLASS#/STATUS-DETAIL#

これらの値は、RFC 3720 で定義されている iSCSI ログイン応答として返されます。


iscsi connection(OID) login failed - Miscellaneous iSCSI initiator errors.

原因:

何らかのイニシエータエラーにより、デバイスログインが失敗しました。


iscsi connection(OID) login failed - Initiator could not be successfully authenticated.

原因:

デバイスによるイニシエータの認証が成功しませんでした。

対処方法:

該当する場合には、CHAP 名、CHAP パスワード、または RADIUS サーバーの設定が正しいことを確認します。


iscsi connection(OID) login failed - Initiator is not allowed access to the given target.

原因:

イニシエータが iSCSI ターゲットデバイスにアクセスすることを、デバイスが許可できません。

対処方法:

イニシエータ名を確認するとともに、その名前がストレージデバイスによって正しくマスクまたはプロビジョニングされていることを確認します。


iscsi connection(OID) login failed - Requested ITN does not exist at this address.

原因:

ユーザーが要求する iSCSI ターゲット名 (ITN) へのアクセスを、デバイスが提供しません。

対処方法:

イニシエータの発見情報が正しく指定されており、ストレージデバイスが正しく構成されていることを確認します。


iscsi connection(OID) login failed - Requested ITN has been removed and no forwarding address is provided.

原因:

ユーザーが要求する iSCSI ターゲット名 (ITN) へのアクセスを、デバイスが提供しなくなりました。

対処方法:

イニシエータの発見情報が正しく入力されており、ストレージデバイスが正しく構成されていることを確認します。


iscsi connection(OID) login failed - Requested iSCSI version range is not supported by the target.

原因:

イニシエータの iSCSI バージョンがストレージデバイスによってサポートされていません。


iscsi connection(OID) login failed - No more connections can be accepted on this Session ID (SSID).

原因:

ストレージデバイスは、このイニシエータノードから iSCSI ターゲットデバイスへの接続をこれ以上受け入れることができません。


iscsi connection(OID) login failed - Missing parameters (e.g., iSCSI initiator and/or target name).

原因:

ストレージデバイスが、イニシエータ名またはターゲット名が正しく指定されていないと報告しています。

対処方法:

iSCSI のイニシエータ名またはターゲット名を正しく指定します。


iscsi connection(OID) login failed - Target hardware or software error.

原因:

ストレージデバイスでハードウェアエラーまたはソフトウェアエラーが発生しました。

対処方法:

ストレージのマニュアルを参照するか、ストレージのベンダーに連絡して必要なサポートを受けます。


iscsi connection(OID) login failed - iSCSI service or target is not currently operational.

原因:

ストレージデバイスが現在動作していません。

対処方法:

ストレージのマニュアルを参照するか、ストレージのベンダーに連絡して必要なサポートを受けます。


iscsi connection(OID) login failed - Target has insufficient session, connection or other resources.

原因:

ストレージデバイスのリソースが不足しています。

対処方法:

ストレージのマニュアルを参照するか、ストレージのベンダーに連絡して必要なサポートを受けます。


iscsi connection(OID) login failed - unable to initialize authentication


iscsi connection(OID) login failed - unable to set authentication


iscsi connection(OID) login failed - unable to set username


iscsi connection(OID) login failed - unable to set password


iscsi connection(OID) login failed - unable to set ipsec


iscsi connection(OID) login failed - unable to set remote authentication

原因:

イニシエータが認証の初期化または設定を正しく行えませんでした。

対処方法:

イニシエータの認証が正しく設定されていることを確認します。


iscsi connection(OID) login failed - unable to make login pdu

原因:

イニシエータが、イニシエータまたはストレージデバイスの設定に基づいてログインのペイロードデータユニット (PDU) を作成できませんでした。

対処方法:

任意のターゲットログインパラメータやその他のデフォルト以外の設定値のリセットを試みます。


iscsi connection(OID) login failed - failed to transfer login


iscsi connection(OID) login failed - failed to receive login response

原因:

イニシエータが、ログインのペイロードデータユニット (PDU) をネットワーク接続経由で転送または受信できませんでした。

対処方法:

ネットワーク接続が到達可能であることを確認します。


iscsi connection(OID) login failed - received invalid login response (OP CODE)

原因:

ストレージデバイスがログインに対して予想外の応答を返しました。


iscsi connection(OID) login failed - login failed to authenticate with target

原因:

イニシエータがストレージデバイスを認証できませんでした。

対処方法:

イニシエータの認証が正しく設定されていることを確認します。


iscsi connection(OID) login failed - initiator name is required

原因:

どのアクションを実行する場合も、イニシエータ名が構成されている必要があります。

対処方法:

イニシエータ名が構成されていることを確認します。


iscsi connection(OID) login failed - authentication receive failed


iscsi connection(OID) login failed - authentication transmit failed

原因:

イニシエータが認証情報を転送または受信できませんでした。

対処方法:

状況に応じて、ストレージデバイスまたは RADIUS サーバーとのネットワーク接続を確認します。


iscsi connection(OID) login failed - login redirection invalid

原因:

ストレージデバイスが、イニシエータを無効な宛先にリダイレクトしようとしました。

対処方法:

ストレージのマニュアルを参照するか、ストレージのベンダーに連絡して必要なサポートを受けます。


iscsi connection(OID) login failed - target protocol group tag mismatch, expected <TPGT>, received <TPGT>

原因:

イニシエータとターゲットの TPGT (ターゲットポータルグループタグ、Target Portal Group Tag) が一致しません。

対処方法:

イニシエータ上またはストレージデバイス上の TPGT 発見設定を確認します。


iscsi connection(OID) login failed - can't accept PARAMETER in security stage

原因:

ログインのセキュリティーフェーズで、デバイスがサポートされていないログインパラメータで応答しました。

対処方法:

パラメータ名が参考のため記載されています。ストレージのマニュアルを参照するか、ストレージのベンダーに連絡して必要なサポートを受けます。


iscsi connection(OID) login failed - HeaderDigest=CRC32 is required, can't accept VALUE


iscsi connection(OID) login failed - DataDigest=CRC32 is required, can't accept VALUE

原因:

このターゲットに対して、CRC32 に設定された HeaderDigest または DataDigest のみを受け入れるようにイニシエータが構成されています。デバイスは値 VALUE を返しました。

対処方法:

イニシエータとデバイスのダイジェスト設定に互換性があることを確認します。


iscsi connection(OID) login failed - HeaderDigest=None is required, can't accept VALUE


iscsi connection(OID) login failed - DataDigest=None is required, can't accept VALUE

原因:

このターゲットに対して、NONE に設定された HeaderDigest または DataDigest のみを受け入れるようにイニシエータが構成されています。デバイスは値 VALUE を返しました。

対処方法:

イニシエータとデバイスのダイジェスト設定に互換性があることを確認します。


iscsi connection(OID) login failed - can't accept PARAMETER

原因:

イニシエータはこのパラメータをサポートしません。


iscsi connection(OID) login failed - can't accept MaxOutstandingR2T VALUE

原因:

イニシエータは、記載された VALUEMaxOutstandingR2T を受け入れません。


iscsi connection(OID) login failed - can't accept MaxConnections VALUE

原因:

イニシエータは、記載された VALUE の最大接続数を受け入れません。


iscsi connection(OID) login failed - can't accept ErrorRecoveryLevel VALUE

原因:

イニシエータは、記載された VALUE のエラー回復レベルを受け入れません。


iscsi session(OID) NAME offline

原因:

このターゲット NAME のすべての接続が、削除されたか、または失敗しました。


iscsi connection(OID) failure - unable to schedule enumeration

原因:

イニシエータがこのターゲットの LUN を列挙できませんでした。

対処方法:

LUN の列挙を強制実行するには、devfsadm -i iscsi コマンドを実行します。詳細は、devfsadm(1M) のマニュアルページを参照してください。


iscsi connection(OID) unable to connect to target NAME (errno: ERRNO )

原因:

イニシエータによるネットワーク接続の確立が失敗しました。

対処方法:

接続エラーに関する特定の ERRNO については、/usr/include/sys/errno.h ファイルを参照してください。