Solaris WBEM 開発ガイド

付録  A Solaris プラットフォームスキーマ

デフォルトでは、Solaris プラットフォームスキーマおよび CIM スキーマは、CIM オブジェクトマネージャで使用できます。Solaris プラットフォームスキーマおよび CIM スキーマをコンパイルした MOF ファイルは、/usr/sadm/mof/ で確認できます。CIM のコアモデルおよび共通モデルを実装した CIM スキーマファイルのファイル名には、「CIM」が使用されています。Solaris プラットフォームスキーマファイルのファイル名には、「Solaris」が使用され、Sun が CIM 用に定めた一意の拡張子が付けられます。/usr/sadm/mof/ 内の MOF ファイルは、システムのインストールクラスタと、インストールされているパッケージによって異なります。

この章に一覧を表示した Solaris プラットフォームプロバイダのマニュアルは、指定されたプロバイダの MOF ファイルに含まれています。

Solaris プラットフォームスキーマファイル

次の表では、/usr/sadm/mof の Solaris プラットフォームスキーマファイルの概要について説明します。

表 A–1 Solaris プラットフォームスキーマファイル

Solaris プラットフォームスキーマファイル 

説明 

Solaris_Acl.mof

WBEM アクセス制御リスト (ACL) セキュリティのクラスを含む 

Solaris_Application.mof

Solaris ソフトウェアパッケージおよびパッチを CIM でモデル化する 

Solaris_CIMOM.mof

CIM オブジェクトマネージャの構成情報が含まれる 

Solaris_Core.mof

コンピュータシステムの情報や統計情報を格納したコアクラスのクラス定義が含まれる 

Solaris_Device.mof

コンピュータが CIM オブジェクトマネージャと共に動作するように、システムのプロセッサ、シリアルポート、出力デバイス、および時刻設定について記述する。 

Solaris_DMGT1.0.mof

ディスク、ディスクパーティション、およびその他のデバイス管理クラスを表すクラスを含む 

Solaris_Event.mof

一意の Solaris プラットフォームインジケーションハンドラを定義する。このファイルに定義されたクラスは、管理クライアントへのインジケーションの配信を円滑に行う。この配信に使用されるプロトコルは、Sun Microsystems の CIM RMI (Remote Method Invocation) の実装である 

Solaris_Network.mof

ネットワークドメイン、IP サブネット、およびネームサービス (NIS、NIS+、LDAP、DNS、およびサーバー /etc ファイルなど) に関連するクラスを定義する

Solaris_Performance.mof

個々のユーザーおよびプロジェクトのコンピューティングリソースの用途やパフォーマンスに関連するクラスを定義する 

Solaris_Project.mof

Solaris プラットフォームプロジェクトデータベースをモデル化するクラスを定義する 

Solaris_Schema.mof

Solaris プラットフォームスキーマのすべての MOF ファイルを一覧表示し、MOF ファイルの読み取りとコンパイルの順番を指定する 

Solaris_SNMP.mof

SNMP プロバイダの構成に使用するクラスと、SNMP プロバイダとその他のシステム上の SNMP エージェントの通信の構成に使用するクラスを含む 

Solaris_System.mof

オペレーティングシステムおよびシステムプロセスなど、システムの Solaris プラットフォームスキーマ構成要素をモデル化する 

Solaris_Users.mof

ユーザーアカウントを使用するクラスを定義する 

Solaris_VM2.0.mof

記憶デバイスに関連するクラスを定義する 

WBEMServices.mof

クライアントとプロバイダの両方について、CIM オブジェクトマネージャとそのプロトコルアダプタのクラスパスを構成するクラスを含む 

次の節では、各スキーマの内容について詳しく説明します。

Solaris_Acl.mof ファイル

Solaris_Acl.mof ファイルは、Solaris WBEM サービス内のセキュリティクラスを指定します。このファイルでは、アクセス制御リスト (ACL)、ユーザー、および名前空間の次の基底クラスが定義されます。

Solaris_Application.mof ファイル

Solaris_Application.mof ファイルを使用すると、Solaris プラットフォームスキーマを拡張するパッケージやパッチをアプリケーションに設定できます。Solaris_Application.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

また Solaris_Application.mof ファイルでは、次の関連クラスが定義されます。

Solaris_CIMOM.mof ファイル

Solaris_CIMOM.mof ファイルには、CIM オブジェクトマネージャが使用するすべてのシステムプロパティが含まれます。Solaris_CIMOM.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

さらに、Solaris_CIMOM.mof ファイルでは、関連クラスの CIM_CommMechanismForManager が定義されます。

Solaris_Core.mof ファイル

Solaris_Core.mof ファイルは、Solaris_Schema.mof ファイルの次に最初にコンパイルされる Solaris プラットフォームスキーマファイルです。このファイルによって、Solaris プラットフォームプロバイダの Solaris_ComputerSystem クラスを定義できます。Solaris_Core.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

また Solaris_Core.mof ファイルでは、次の関連クラスが定義されます。

Solaris_Device.mof ファイル

Solaris_Device.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

また Solaris_Device.mof ファイルでは、次の関連クラスが定義されます。

Solaris_DMGT1.0.mof ファイル

Solaris_DMGT1.0.mof ファイルには、ディスク、ディスクパーティション、およびその他のデバイス管理クラスを表すクラスが含まれます。Solaris_DMGT1.0.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

また Solaris_DMGT1.0.mof ファイルでは、次の関連クラスが定義されます。

Solaris_Event.mof ファイル

Solaris_Event.mof ファイルには、Solaris プラットフォーム固有のインジケーションハンドラを処理するクラスが含まれます。これらの Solaris プラットフォームインジケーションハンドラは、CIM_IndicationHandler のサブクラスです。これらのサブクラスには、Solaris_RMIDelivery および Solaris_JAVAXRMIDelivery が含まれます。クライアント RMI プロトコルでは、Solaris_JAVAXRMIDelivery ハンドラが使用されます。Solaris_Event.mof ファイルには、以前のバージョンの WBEM と互換性を保つために Solaris_RMIDelivery が含まれます。

Solaris_Network.mof ファイル

Solaris_Network.mof ファイルでは、ネットワークドメイン、IP サブネット、ネーミングサービス関連のクラスが定義されます。これらのネーミングサービスには、NIS、NIS+、LDAP、DNS、およびサーバーの /etc ファイルが含まれます。Solaris_Network.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

Solaris_Performance.mof ファイル

Solaris_Performance.mof ファイルでは、コンピューティングリソースの測定値関連のクラスが定義されます。これらのクラスは、個々のユーザーおよびプロジェクトのコンピューティングリソースの用途とパフォーマンスに関連しています。Solaris_Performance.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

また Solaris_Performance.mof ファイルでは、次の関連クラスが定義されます。

Solaris_Project.mof ファイル

Solaris_Project.mof ファイルでは、Solaris プラットフォームプロジェクトデータベースを表すクラスが定義されます。Solaris_Project.mof ファイルでは、Solaris_Project クラスが定義されます。また、関連クラス Solaris_ProjectGroup および Solaris_ProjectUser が定義されます。

Solaris_Schema.mof ファイル

Solaris_Schema.mof ファイルは、Solaris プラットフォームスキーマを構成する、他のすべての MOF ファイルのハイレベルコンテナです。このファイルには、MOF ファイルがコンパイルされる順番で一覧表示されます。

コンパイルのたびに Java クラスが生成され、CIMOM に送信されます。CIMOM では、クラスはイベントとして定義されるか、オブジェクトとして CIM オブジェクトマネージャリポジトリに送信され、保存されます。次の Solaris_Schema.mof ファイルリストには、Include 文がコンパイルされる順番で一覧表示されています。

/*
Solaris Schema
Copyright   (c) 2002 Sun Microsystems, Inc. All Rights Reserved.
*/
#pragma Include ("Solaris_Core.mof")
#pragma Include ("Solaris_Application.mof")
#pragma Include ("Solaris_System.mof")
#pragma Include ("Solaris_Device.mof")
#pragma Include ("Solaris_Network.mof")
#pragma Include ("Solaris_Users.mof")
#pragma Include ("Solaris_Project.mof")
#pragma Include ("Solaris_Event.mof")
#pragma Include ("Solaris_CIMOM.mof")
#pragma Include ("Solaris_SNMP.mof")

// 最後のインクルード。ここで CIM 名前空間を変更する 
#pragma Include ("Solaris_Acl.mof")

コンパイラは、Solaris_Schema.mof ファイルの行の構文解析を行い、Include 文に指定されたファイルをコンパイルします。インクルードされたすべてのファイルのコンパイルが完了するまで、このプロセスが繰り返されます。

Solaris_SNMP.mof ファイル

Solaris_SNMP.mof ファイルでは、SNMP デバイスの構成情報に関連するクラスが定義されます。Solaris_SNMP.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

Solaris_System.mof ファイル

Solaris_System.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

また Solaris_System.mof ファイルでは、次の関連クラスが定義されます。

Solaris_Users.mof ファイル

Solaris_Users.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

Solaris_VM2.0.mof ファイル

Solaris_VM2.0.mof ファイルでは、次のような記憶デバイスに関連するクラスが定義されます。

Solaris_VM2.0.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。

また Solaris_VM2.0.mof ファイルでは、次の関連クラスが定義されます。

WBEMServices.mof ファイル

WBEMServices.mof ファイルには、クライアントとプロバイダの両方について、CIM オブジェクトマネージャとそのプロトコルアダプタのクラスパスを構成するクラスが含まれます。WBEMServices.mof ファイルでは、次のクラスが定義されます。