Oracle Solaris セキュリティーサービス開発ガイド

GSS-API におけるピア間での相互認証の実行

ftp サイトにファイルを転送するユーザーは通常、そのサイトの身元についての証明を必要としません。これに対し、アプリケーションからクレジットカード番号の提供を求められたユーザーは、その受信側の身元についての確実な証明を得たいはずです。そうした場合に「相互認証」が必要になります。コンテキストの起動側と受け入れ側の両方が、自身の身元を証明する必要があります。

コンテキスト起動側が相互認証を要求するには、gss_init_sec_context()req_flags 引数に値 GSS_C_MUTUAL_FLAG を設定します。相互認証が承認されると、この関数はそのことを示すために、ret_flags 引数にこの値を設定します。相互認証が要求されたが使用できない場合、適切な対処を行うのは起動側のアプリケーションの責任です。相互認証が要求されたが使用できない場合でも、GSS-API は自動的にコンテキストを終了しません。また、機構の中には、特に要求がなくても相互認証を常に実行するものもあります。