Java Desktop System Release 3 ユーザーズガイド

PDA デバイスの設定

PDA デバイス設定ツールにアクセスするには、「起動」をクリックし、「設定」-> 「デスクトップの設定」-> 「PDA デバイス」の順に選択します。

PDA (携帯情報端末) は、個人用の整理手帳として利用できるハンドヘルドコンピュータです。PDA には、アポイント、タスク、連絡先などの情報を保存できます。これらの情報を、PDA と Java Desktop System のアプリケーションの間で転送することもできます。たとえば、カレンダのアポイントを PDA から Ximian Evolution に、および Evolution から PDA にコピーすることができます。

PDA とコンピュータ間でデータの転送を行う場合、ユーザーは HotSync 処理を行います。HotSync 処理時に発生すアクションは、コンジットによって制御されます。コンジットは、コンピュータと PDA 間でデータの転送を行うアプリケーションです。

コンジットに指定可能なアクションの 1 つとして、PDA とコンピュータ間でデータを結合します。これは、同期アクションと呼ばれます。たとえば、連絡先情報を PDA に追加し、Evolution には別の連絡先情報を追加することがあります。この場合、PDA 上の連絡先情報を Evolution に追加し、Evolution 上の連絡先情報を PDA に追加する必要が生じます。そのためには、PDA と Evolution 間でデータを同期させる必要があります。

PDA デバイス設定ツールでは、PDA が Java Desktop System と連動するように設定したり、設定済みの PDA を変更したりできます。PDA デバイス設定ツールで、以下のタスクを実行できます。

バックグラウンドアプリケーションは、PDA がコンピュータと同期をとるための試行を待機します。このようなバックグラウンドアプリケーションは、PDA デーモンと呼ばれます。PDA がコンピュータとの同期とりを試みると、PDA デーモンが PDA 上のデータをコンピュータ上のデータと同期させます。


ヒント –

GNOME パイロットには、PDA デーモンの動作が表示されます。GNOME パイロットをパネルに追加するには、 パネル上を右クリックして、「パネルに追加」-> 「ユーティリティ」-> 「PDA モニター」 の順に選択します。GNOME パイロットの詳細については、『GNOME パイロットアプレットのマニュアル』を参照してください。


PDA を設定する

PDA は、次のいずれかの方法で設定できます。

アシスタントを使用して PDA を設定する

PDA を設定するには、以下の操作を実行します。

  1. PDA をコンピュータに接続します。PDA にクレードルが付いている場合は、PDA をクレードルにセットします。

  2. 「起動」をクリックし、「設定」-> 「PDA デバイス」を選択して、PDA デバイス設定ツールを起動します。GNOME パイロットの設定アシスタントが表示されます。「進む」ボタンをクリックして構成プロセスを開始します。

  3. PDA がコンピュータに接続する方法に関する情報を、「クレードルの設定」ページに入力します。次の表に、「クレードルの設定」ページの設定を示します。

    要素 

    説明 

    「名前」

    テキストボックスに接続の名前を入力する 

    「ポート」

    ドロップダウンコンビネーションボックスに、接続用のポートを入力する。たとえば、PDA が USB (Universal Serial Bus) ポートを使用する場合、このフィールドに /dev/ttyUSB1 と入力する。PDA が正常に接続しない場合、ほかのポートで試行する

    「ポート」フィールドのデフォルト値は、/dev/pilot。このフィールドのデフォルト値を変更しない場合は、PDA が使用するポートから /dev/pilot へのシンボリックリンクを作成できる。たとえば、PDA が USB ポートを使用する場合は、次の例のようなコマンドを実行する

    # ln -s /dev/ttyUSB1 /dev/pilot


    注 –

    指定したポートにアクセスするには、適切な権限が必要になる。適切な権限を与えられていない場合は、システム管理者に問い合わせる


    「速度」

    ドロップダウンリストから、接続の速度を選択する 


    ヒント –

    最も遅い速度を選択する。最も遅い速度でも PDA への接続が確実に確立される場合は、その次に速い速度を選択する。これを、PDA への接続が確実に確立される最も速い速度が判明するまで繰り返す


    タイムアウト

    スピンボックスを使用して、接続が切断される前にアイドル状態で維持される時間を分単位で指定する 

    「タイプ」

    ポートのタイプをラジオボタンから選択する。次のオプションがあります。 

    • 「シリアル」: シリアルポートの場合に選択

    • 「USB」: USB ポートの場合に選択

    • 「IrDA」: 赤外線ポートの場合に選択

    • 「ネットワーク」: ネットワーク接続ポートの場合に選択

    接続情報の指定が完了したら、「進む」ボタンをクリックします。

  4. 「パイロットの識別情報」ページに PDA の識別情報を入力します。次の表に、「パイロットの識別情報」ページの要素を示します。

    要素 

    説明 

    「はい。このパイロットを用いて以前に同期を行ったことがあります。」

    この PDA にユーザー名と識別子を設定済みである場合に選択する。コンピュータで PDA を設定した場合、ユーザー名と ID は PDA に設定される 

    「いいえ。このパイロットで同期を行うのは初めてです。」

    この PDA にユーザー名と識別子を設定していない場合に選択する 

    「ユーザー名」

    この PDA にユーザー名と識別子を設定していない場合、このテキストボックスにユーザー名を入力する 

    「ID」

    この PDA にユーザー名と識別子を設定していない場合、このテキストボックスに識別子を入力する。この識別子は、使用するすべての PDA で一意である必要がある 

    識別情報の入力を完了したら、「進む」ボタンをクリックします。「最初の同期」ページが表示されます。

  5. PDA 上の「HotSync」ボタンを押します。「パイロットの識別情報」ページで選択したオプションに応じて、GNOME パイロットの設定アシスタントが次のいずれかの処理を実行します。

    • 「はい。このパイロットを用いて以前に同期を行ったことがあります。」オプションを選択した場合、GNOME パイロットの設定アシスタントは、PDA に現在登録されているユーザー名と識別子を取得する

    • 「いいえ。このパイロットで同期を行うのは初めてです。」オプションを選択した場合、GNOME パイロットの設定アシスタントは、PDA のユーザー名と識別子を「ユーザー名」テキストボックスと「ID」テキストボックスの値に設定する

    最初の同期が完了したら、「進む」ボタンをクリックします。「パイロットの属性」ページが表示されます。

  6. 「パイロットの属性」ページに、PDA の名前とディレクトリ情報を入力します。次の表に、「パイロットの属性」ページの設定を示します。

    要素 

    説明 

    「パイロットの名前」

    PDA の名前を入力する。この名前は、ユーザーインターフェイスで PDA を識別するために使用される 

    「ローカルベースディレクトリ」

    PDA データを保存するディレクトリを入力する 

    名前とディレクトリ情報の入力を完了したら、「進む」ボタンをクリックします。

  7. 「成功」ページで「適用」ボタンをクリックして、GNOME パイロットの設定アシスタントを閉じます。

    または、「取り消し」ボタンをクリックして、PDA の設定を取り消します。

PDA デバイス設定ツールを使用して PDA を設定する

次の手順を実行します。

  1. 「起動」をクリックし、「設定」-> 「PDA デバイス」を選択して、PDA デバイス設定ツールを起動します。

  2. 「パイロットの設定」ダイアログの「パイロット」タブセクションで、「追加」ボタンをクリックします。「パイロットの設定」ダイアログが表示されます。

  3. PDA からユーザー名と識別子を取得するには、「パイロットから取得」ボタンをクリックします。ユーザー名と識別子を PDA に割り当てるには、テキストボックスにユーザー名と識別子を入力して、「パイロットに送信」ボタンをクリックします。

  4. 「パイロットの名前」フィールドおよび「ローカルベースディレクトリ」フィールドに、PDA の名前とディレクトリ情報を入力します。これらのフィールドの詳細については、「アシスタントを使用して PDA を設定する」を参照してください。

PDA を変更する

次の手順を実行します。

  1. 「起動」をクリックし、「設定」-> 「PDA デバイス」を選択して、PDA デバイス設定ツールを起動します。

  2. 「パイロットの設定」ダイアログの「パイロット」タブセクションで、変更したい PDA を選択して「編集」ボタンをクリックします。「パイロットの設定」ダイアログが表示されます。

  3. PDA からユーザー名と識別子を取得するには、「パイロットから取得」ボタンをクリックします。ユーザー名と識別子を PDA に割り当てるには、テキストボックスにユーザー名と識別子を入力して、「パイロットに送信」ボタンをクリックします。

  4. 「パイロットの名前」フィールドおよび「ローカルベースディレクトリ」フィールドに、PDA の名前とディレクトリ情報を入力します。これらのフィールドの詳細については、「アシスタントを使用して PDA を設定する」を参照してください。

  5. 「パイロットの設定」ダイアログの「了解」をクリックします。

PDA がコンピュータに接続する方法を設定する

次の手順を実行します。

  1. 「起動」をクリックし、「設定」-> 「PDA デバイス」を選択して、PDA デバイス設定ツールを起動します。

  2. 「パイロットの設定」ダイアログの「デバイス」タブセクションで、「追加」ボタンをクリックします。

  3. 「デバイスの設定」ダイアログに、PDA の接続情報を入力します。「デバイスの設定」ダイアログ内の要素の詳細については、「アシスタントを使用して PDA を設定する」を参照してください。

PDA がコンピュータに接続する方法を変更する

次の手順を実行します。

  1. 「起動」をクリックし、「設定」-> 「PDA デバイス」を選択して、PDA デバイス設定ツールを起動します。

  2. 「パイロットの設定」ダイアログの「デバイス」タブセクションで、変更したいハードウェア設定を選択して「編集」ボタンをクリックします。

  3. 「デバイスの設定」ダイアログに、PDA のハードウェア設定を入力します。「デバイスの設定」ダイアログ内の要素の詳細については、「アシスタントを使用して PDA を設定する」を参照してください。

PDA とアプリケーション間でデータを転送する方法を指定する

次の手順を実行します。

  1. 「起動」をクリックし、「設定」-> 「PDA デバイス」を選択して、PDA デバイス設定ツールを起動します。

  2. PDA デーモンが有効であり、正常に動作することを確認します。そのためには、GNOME パイロットアプレットをパネルに追加します。GNOME パイロットアプレットのアイコンが白黒で表示される場合、PDA デーモンは有効です。

  3. 「パイロットの設定」ダイアログの「コンジット」タブセクションで、設定したいコンジットが含まれる PDA を「パイロットの名前」ドロップダウンリストから選択します。

  4. コンジットを有効にするには、表からコンジットを選択して「有効」ボタンをクリックします。

  5. コンジットを無効にするには、表からコンジットを選択して「無効」ボタンをクリックします。

  6. コンジットを設定するには、表からコンジットを選択して、「設定」ボタンをクリックします。「コンジットの設定」ダイアログに、コンジットの設定に関する詳細情報を入力します。「コンジットの設定」ダイアログ内の要素は、次の表のとおりです。

    要素 

    説明 

    「アクション」

    HotSync 処理時に実行されるアクションを選択する 

    次のオプションの中からいずれか 1 つを選択する 

    • 「無効」: このコンジットに対してアクションを実行しない

    • 「同期」: PDA 上のデータをコンピュータ上のデータと同期させる

    • 「パイロットからコピー」: PDA からコンピュータにデータをコピーし、コンピュータ上の元のデータを上書きする

    • 「パイロットへコピー」: コンピュータから PDA にデータをコピーし、PDA 上の元のデータを上書きする

    「一回だけの操作」

    1 回だけ実行するアクションを選択する。このアクションは、次の HotSync 処理時に実行される。次のオプションの中からいずれか 1 つを選択する 

    • 「なし」: 1 回だけのコンジットアクションを設定しない

    • 「同期」: PDA 上のデータをコンピュータ上のデータと同期させる

    • 「パイロットからコピー」: PDA からコンピュータにデータをコピーし、コンピュータ上の元のデータを上書きする

    • 「パイロットへコピー」: コンピュータから PDA にデータをコピーし、PDA 上の元のデータを上書きする

    「バックアップディレクトリ」

    PDA のバックアップデータを保存するディレクトリを入力する 

    バックアップコンジットのみ

    「変更があったものだけを保存する」

    最後のバックアップ後に変更されたデータのみをバックアップする。変更されていないデータはバックアップディレクトリから削除されない 

    バックアップコンジットのみ

    「パイロットで削除したら、ローカルのディレクトリも削除する」

    PDA から削除されたデータをコンピュータからも削除する 

    バックアップコンジットのみ

    「# 保持するための古いバックアップ」

    スピンボックスを使用して、コンピュータに保持する過去のバックアップの数を指定する 

    バックアップコンジットのみ

    「プライベートレコードの同期」

    HotSync 処理の実行時に、プライベートとしてマークが付けられたデータを含める 

    このオプションは、以下のコンジットのみに適用される 

    • 「EAddress」

    • 「ECalendar」

    • 「EToDo」

    「デフォルトで同期するアドレス」

    1 つの連絡先に複数のアドレスが設定されていることがある。たとえば、1 つの連絡先にビジネス用アドレスと自宅用アドレスが設定されている場合がある。PDA の連絡先マネージャは、複数アドレスをサポートしていない 

    同期させるアドレスのカテゴリをドロップダウンリストから選択する。たとえば、ビジネス用アドレスのみを同期させる場合は、「ビジネス」を選択する

    EAddressコンジットのみ

    「複数日のイベントに分割」

    複数の日に渡って発生するアポイントを分割して別々のアポイントにする 

    ECalendarコンジットのみ

    「デフォルトの優先度」

    スピンボックスを使用して、優先度が割り当てられていないタスクに適用されるデフォルトの優先度を指定する 

    EToDoコンジットのみ

  7. 「了解」をクリックして、「コンジットの設定」ダイアログを閉じます。

PDA のデータをコンピュータにバックアップする

PDA に問題が発生した場合のデータの消失を避けるために、PDA のデータをコンピュータにバックアップすることがあります。PDA のデータをコンピュータにバックアップするには、以下の操作を実行します。

  1. 「起動」をクリックし、「設定」-> 「PDA デバイス」を選択して、PDA デバイス設定ツールを起動します。

  2. PDA デーモンが有効であり、正常に動作することを確認します。そのためには、GNOME パイロットアプレットをパネルに追加します。GNOME パイロットアプレットのアイコンが白黒で表示される場合、PDA デーモンは有効です。

  3. 「パイロットの設定」ダイアログの「コンジット」タブセクションで、バックアップしたいデータが含まれる PDA を「パイロットの名前」ドロップダウンリストから選択します。

  4. 表から「バックアップ」コンジットを選択し、「有効」ボタンをクリックします。

  5. 「コンジットの設定」ダイアログに、「バックアップ」コンジットの設定に関する詳細情報を入力します。「コンジットの設定」ダイアログ内の要素の詳細については、「PDA とアプリケーション間でデータを転送する方法を指定する」を参照してください。

  6. PDA 上の「HotSync」ボタンを押します。

バックアップデータを復元する方法については、『GNOME パイロットアプレットのマニュアル』を参照してください。