Java Desktop System Release 3 システム管理

第 1 章 GConf の使用方法

この章では、GConf を使用してユーザーの設定を管理する方法について説明します。

GConf の概要

GConf は、Java Desktop System でのユーザーの設定の管理を簡素化します。システム管理者は、GConf を使用して次のことが可能になります。

設定値がローカルに、またはネットワークを介して変更されると、GConf はアプリケーションに設定値の変更を通知します。このため、設定を変更すると、その設定を使用するすべてのアプリケーションがただちに更新されます。

GConf には、次のコンポーネントがあります。

GConf リポジトリ

GConf リポジトリ内の各設定は、キーと値のペアで構成されます。GConf 設定キーは、アプリケーション設定に対応するリポジトリ内の要素です。たとえば、/apps/gnome-session/options/show_splash_screen 設定キーは、セッション設定ツールの 「ログイン時にスプラッシュ画面を表示する」オプションに対応します。Java Desktop System のユーザーインタフェースには、GConf リポジトリ内のすべての設定キーが含まれるわけではありません。たとえば、Panel 設定ツールには /apps/panel/global/tooltips_enabled キーに対応するオプションは含まれていません。

リポジトリは、単純な階層ファイルシステムのように構成されています。リポジトリには、次のものが含まれます。

通常、設定キーは、次の単純なデータ型を持ちます。

リポジトリ内の設定キーの形式は、リポジトリの読み取りに使用されるバックエンドモジュールに依存します。次は、リポジトリの読み取りに XML (Extensible Markup Language) が使用される場合の /desktop/gnome/interface/font_name 設定キーの例です。

<entry name="font_name" mtime="1038323555" muser="user123" type="string">
<stringvalue>Sans 10</stringvalue></entry>

注 –

このマニュアルでは、設定キーを参照するときに、キーのパス名をそのキーの名前に追加しています。たとえば、/desktop/gnome/interface サブディレクトリ内の font_name 設定キーは、/desktop/gnome/interface/font_name と示されます。


GConf 構成ソース

GConf リポジトリは、「構成ソース」と呼ばれる一連の保存場所を記述した設定ファイルを含んでいます。構成ソースは、「GConf パスファイル」に記述されます。GConf パスファイルの場所は、/etc/gconf/gconf-version-number/path です。各ユーザーは、パスファイルを持っています。このパスファイルは、各構成ソースに対して次の情報を指定します。

GConf パスファイルには、include 命令も含まれています。デフォルトでは、GConf パスファイルの内容は次のようになります。

xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory
include /etc/gconf/2/local-mandatory.path
apoc:readonly:mandatory@
include "$(HOME)/.gconf.path"
xml:readwrite:$(HOME)/.gconf
apoc:readonly:@
include /etc/gconf/2/local-defaults.path
xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.defaults

GConf が設定値を検索する場合、GConf は、パスファイル内で指定された順に構成ソースを読みます。次の表は、パスファイル内の構成ソースです。

構成ソース 

説明 

必須 (xml:readonly:/etc/gconf/ gconf.xml.mandatory) 

この構成ソースのアクセス権は、読み取り専用に設定されます。ユーザーは、このソースの値を上書きすることができません。したがって、そのソースの設定は必須です 

ユーザー 

この構成ソースは、ユーザーのホームディレクトリ内の .gconf ディレクトリに格納されます。ユーザーが環境を設定すると、新しい設定情報がこの場所に追加されます

ユーザー構成ソースは、GConf エディタで変更できます。

標準 

この構成ソースには、デフォルトの設定が含まれています 

パスファイル内の構成ソースの順序では、必須の設定がユーザーの設定よりも優先されます。また、デフォルト設定よりもユーザーの設定が優先されます。つまり、GConf は、次の優先順位で設定を適用します。

  1. 必須の設定

  2. ユーザー指定の設定

  3. デフォルトの設定

システム管理者は、GConf パスファイル内の include 命令を使って、別の構成ソースを指定できます。

インクルードされる構成ソース 

説明 

/etc/gconf/2/local-mandatory.path

この構成ソースは、特定のシステムの必須設定を格納するために使用します。 

$(HOME)/.gconf.path

ユーザーは、構成ソースの場所をホームディレクトリ内の .gconf.path というファイルに指定します。

/etc/gconf/2/local-defaults.path

この構成ソースは、特定のシステムのデフォルトの設定値を格納するために使用します。 

GConf パスファイル内の apoc 設定を使用して、Sun Java Desktop System Configuration Manager のバックエンドモジュールを指定します。Sun Java Desktop System Configuration Manager については、 http://docs.sun.com にある Sun Java Desktop System Configuration Manager に関するドキュメントを参照してください。

GConf スキーマ

GConf スキーマ」は、「 GConf スキーマキー」と「GConf スキーマオブジェクト」の総称です。次の表は、スキーマキー、スキーマオブジェクト、およびこれらの項目と設定キーとの関連性について説明しています。

項目 

説明 

設定キー 

アプリケーション設定に対応する GConf リポジトリ内の要素

スキーマキー 

設定キーのスキーマオブジェクトを格納するキー 

スキーマオブジェクト 

次のような設定キー用の情報を含む構成ソース内の要素 

  • 設定キーを使用するアプリケーションの名前

  • 設定キーに必要な値の型 (たとえば、int、bool など)

  • 設定キーのデフォルト値

  • 設定キーについての簡単な記述

次の表は、設定キー、スキーマキー、およびスキーマオブジェクトの例を示しています。

項目 

例 

設定キー 

/desktop/gnome/interface/font_name

スキーマキー 

/schemas/desktop/gnome/interface/font_name

スキーマオブジェクト 

<schema>
  <applyto>/desktop/gnome/interface/font_name</applyto>
  <key>/schemas/desktop/gnome/interface/font_name</key>
  <owner>gnome</owner>
  <type>string</type>
  <default>Sans 10</default>
  <locale name="C">
    <short>Default font</short>
      <long>Name of the default font used by gtk+.</long>
  </locale>
</schema>

設定キーにスキーマキーを関連付けることができます。たとえば、/desktop/gnome/interface/font_name キーは次のスキーマキーを含んでいます。

<entry name="font_name" mtime="1034873859" 
schema="/schemas/desktop/gnome/interface/font_name"/>

設定キーにスキーマキーを関連付けると、設定は、そのスキーマキーのスキーマオブジェクト内で指定されている推奨値を使用します。推奨値は、スキーマオブジェクトの <default> 要素に含まれています。デフォルトでは、デフォルト構成ソース内のすべての設定キーが、スキーマキーと関連付けられます。

通常、スキーマはデフォルト構成ソースに格納されます。

GConf スキーマ定義ファイル

スキーマは、「スキーマ定義ファイル」から生成されます。スキーマ定義ファイルは、特定のアプリケーションにおけるすべてのキーの特性を定義します。スキーマ定義ファイルには、.schemas 拡張子が付きます。

スキーマ定義ファイルは、/etc/gconf/schemas ディレクトリに含まれています。スキーマ定義ファイルを使用して、新しい構成ソースを作成できます。

いくつかのスキーマ定義ファイルは、Java Desktop System のユーザーインターフェイスの一部と緊密に対応しています。たとえば、system_http_proxy.schemas は、 Internet 設定ツールに対応します。ほかのスキーマ定義ファイルは、Java Desktop System のユーザーインタフェースにはない設定キーを含んでいることがあります。たとえば、/apps/panel/global/tooltips_enabled キーはユーザーインターフェイスにはありません。

Java Desktop System のユーザーインターフェイスのいくつかは、複数のスキーマ定義ファイルの設定キーを表す設定を含んでいます。たとえば、キーボードショートカット設定ツールは、panel-global-config.schemas および metacity.schemas ファイルのキーを表す設定を含んでいます。

GConf デーモン

GConf デーモンは、gconfd-2 です。GConf デーモンは、設定の値が変更されると、アプリケーションに通知します。たとえば、メニューとツールバー設定ツールでツールバーのアイコンのみを表示するように選択するとします。設定ツールでこのオプションを選択すると、開いているすべてのアプリケーションのツールバーがただちに更新されます。GConf デーモンは、ローカルでも、ネットワークを介してでも動作することができます。

GConf デーモンのインスタンスは、ユーザーごとに起動されます。ユーザーが複数のシステムにログインする場合、GConf デーモンのインスタンスはセッションごとに起動されます。この場合、GConf デーモンのインスタンスを 1 つだけ使用するように Java Desktop System を設定することもできます。この方法については、「1 つの GConf デーモンのインスタンスを使用するように Java Desktop System を設定する」を参照してくください。

GConf デーモンでは、認証やデータのセキュリティなどの複雑な問題の処理はしません。GConf デーモンは、起動するときにGConf パスファイルを読み取ります。GConf デーモンは、アプリケーションと構成ソース間のすべてのアクセスを管理します。

アプリケーションが設定キーの値を要求すると、デーモンは次のようにして構成ソースを検索します。

  1. パスファイルに指定された順に、各構成ソース内の設定キーの値を検索します。値が見つかると、その値を返します。

  2. 値が見つからない場合は、パスファイルに指定された順に、各構成ソース内の設定キーに対応するスキーマキーを検索します。

  3. スキーマキーが見つかると、スキーマキーの値を調べます。

  4. スキーマキーの値がスキーマオブジェクトの場合、そのスキーマオブジェクトの <default> 要素内の推奨値を返します。

GConf デーモンは、設定キーの値をキャッシュに入れます。すべてのアプリケーションがこのキャッシュを使用するため、アプリケーションが構成ソースにアクセスするのは一度だけです。

GConf デーモンを終了するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --shutdown

1 つの GConf デーモンのインスタンスを使用するように Java Desktop System を設定する

Java Desktop System では、ユーザーが複数のシステムにログインする場合、デフォルトで GConf デーモンの複数のインスタンスが作成されます。この場合、GConf デーモンのインスタンスを 1 つだけ使用するように Java Desktop System を設定することもできます。そのユーザーは Network File System (NFS) 上のホームディレクトリが必要です。

ユーザーが複数のシステム上で GConf デーモンのインスタンスを 1 つ使用し、設定の値を変更すると、ユーザーがログインしているすべてのセッションに変更が適用されます。たとえば、1 つのセッションのメニューとツールバー設定ツールでツールバーのアイコンのみを表示するように選択した場合、ユーザーがログインしているすべてのセッションで、開いているすべてのアプリケーションのツールバーがただちに更新されます。


注 –

すべてのセッションがユーザーのホームディレクトリにアクセス可能な場合のみ、ユーザーは GConf デーモンのインスタンスを 1 つだけ使用できます。


Java Desktop System では、Common Object Request Broker Architecture (CORBA) が使用されます。CORBA によって、アプリケーションオブジェクトは、作成に使用されたプログラミング言語や実行されているオペレーティングシステムにかかわらず、互いに通信することが可能になります。

CORBA 上で、Object Request Broker (ORB) がサーバーとクライアント間で通信を行います。Java Desktop System の ORB の 1 つが ORBit2 です。GConf は、ORBit2 の TCP プロトコルを使用して、GConf デーモンとユーザーがログインしているセッションの間で通信を行います。

ユーザーごとに GConf デーモンのインスタンスが 1 つ使用されるようにシステムを設定するには、次の手順を実行します。

  1. ユーザーがログインするすべてのシステムで、/etc/orbitrc ファイルに次の行が含まれていることを確認します。

    ORBIIOPIPv4=1
  2. GCONF_GLOBAL_LOCKS 環境変数の値を 1 に設定します。この結果、GConf によって、ローカルシステムのディレクトリではなく、ユーザーのホームディレクトリにロックが作成されます。

  3. GConf デーモンを再起動します。

各ユーザーに対して GConf デーモンのインスタンスが複数使用されるようにシステムを設定するには、GCONF_GLOBAL_LOCKS 環境変数の値を設定解除します。その後 GConf デーモンを再起動します。


注意 – 注意 –

ORBit2 の TCP プロトコルは、サーバーとクライアント間の通信が暗号化されていないため、完全に安全ではありません。


GConf コマンドラインツール

GConf は、コマンドラインツールの gconftool-2 を含んでいます。gconftool–2 コマンドを使用して、次の作業を実行できます。

たとえば、次のコマンドを使用して /desktop/gnome ディレクトリおよびサブディレクトリ内のすべてのキー値を表示することができます。

# gconftool-2 --recursive-list /desktop/gnome

表 1–1 は、gconftool-2 コマンドに使用できるオプションを示しています。

表 1–1 gconftool-2 コマンドオプション

オプション 

機能 

--all-dirs

指定したディレクトリ内のすべてのサブディレクトリをリストする 

--all-entries

指定したディレクトリ内のすべてのキー値を表示する 

--config-source=

configuration-source

--direct オプションと共に使用して、使用する構成ソースを指定する。このオプションで構成ソースを指定しない場合、パスファイル内のすべての構成ソースでコマンドが実行される

--direct

--config-source オプションと共に使用して、構成ソースに直接アクセスする。このオプションを使用する場合、GConf はサーバーを省略する。このオプションを使用する前に、GConf デーモンの gconfd-2 が実行されていないことを確認する必要がある

--dump

ユーザーが指定した GConf リポジトリディレクトリ内に、すべての設定キーを含む一覧を生成する。一覧には、すべてのキーの XML 記述が含まれる。一覧は、<gconfentryfile> 要素内に含まれている

たとえば、このオプションからの出力をリダイレクトして、ユーザーのパネル設定に関係のあるキーをすべて含むファイルを生成できる。このファイルでは --load オプションが使用できる

--get

指定した設定キーの値を表示する。また、指定したスキーマキーのスキーマオブジェクト内の要素の値も表示する 

--help

gconftool-2 コマンドに関するヘルプメッセージと、gconftool-2 コマンドに使用できるオプションを表示する

--load=filename

構成ソースの現在のディレクトリ内にある設定キーの値を、指定したファイル内の値に設定できる。<gconfentryfile> 要素にキーの XML 記述を含むファイルを指定すること

--long-desc=description

--set-schema オプションと共に使用して、スキーマキーの説明を指定する

--makefile-install-rule

スキーマ定義ファイルをアプリケーションにインストールする 

--owner=owner

--set-schema オプションと共に使用して、スキーマキーの所有者を指定する

--recursive-list

指定したディレクトリ内のすべてのサブディレクトリにあるすべての設定キーの値を表示する 

--recursive-unset

ディレクトリ内のすべてのサブディレクトリで、ユーザー設定からデフォルト構成ソースの設定までを含む、すべての設定キーの値をリセットする 

--set

設定キーの値を設定し、その値をユーザー構成ソースに書き込む。--type オプションは --set オプションと共に使用して、設定する値のデータ型を指定する。たとえば、次のコマンドは、ユーザー構成ソースの /apps/gnome-terminal/profiles/Default/background_color キーの値を設定する

# gconftool-2 --set "/apps/gnome-terminal/profiles/Default/background_color" --type string "#000000"

--direct オプションと --config-source オプションを --set オプションと共に使用して、値を別の構成ソースに書き込むこともできる

--set-schema

スキーマキーの属性の値を設定し、その値をデフォルト構成ソースに書き込む 

次のオプションを --set-schema オプションと共に使用して、更新する属性を指定する

  • --type

  • --short-desc

  • --long-desc

  • --owner

次のコマンドは /apps/gnome-terminal/profiles/Default/background_color キーに対して、スキーマキーの短い説明を設定する

# gconftool-2 --set-schema "/schemas/apps/gnome-terminal/profiles/Default/background_color" --short-desc "Default background color of terminal"

--short-desc=description

--set-schema オプションと共に使用して、スキーマキーの短い説明を指定する

--shutdown

GConf デーモンを終了する

--type=data-type

設定キーの値を設定する場合にデータ型を指定する。スキーマキーの属性値を設定する場合にもこのオプションを使用できる。次のような有効なデータ型がある 

  • bool

  • float

  • int

  • list

  • pair

  • string

--unset

ユーザー設定からデフォルト構成ソースの設定までを含む、設定キーの値をリセットする 

--usage

gconftool-2 コマンドに関する簡単なヘルプメッセージと、gconftool-2 コマンドに使用できるオプションを表示する

設定値の設定

設定キーに対して、必須値またはデフォルト値を設定できます。ユーザーの必須設定値またはデフォルト設定値を変更する前に、GConf デーモンがどのユーザーに対しても実行されていないことを確認する必要があります。また、すべてのユーザーがログアウトしていることを確認してから、ユーザーの設定値を変更してください。

設定キーの必須値またはデフォルト値を設定するには、gconftool-2 コマンドを次のように使用します。

# gconftool-2 --direct --config-source configuration-source --type data-type --set preference-key value

たとえば、wwwproxy.xyz.com を必須の HTTP プロキシホストとして設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /system/http_proxy/host wwwproxy.xyz.com

通常ユーザーは、この設定値を上書きできません。

gconftool-2 コマンドを使用して、デフォルト値を設定することもできます。たとえば、ワークスペースのデフォルト数を 5 に設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type int --set /apps/metacity/general/num_workspaces 5

ユーザーは、この設定値を変更できます。


注意 – 注意 –

ユーザーの必須設定値またはデフォルト設定値を変更する前に、すべてのユーザーがログアウトしていることを確認してください。


一般的な環境の設定

この節では、必須値またはデフォルト値を一般的な設定に割り当てる方法を説明します。

HTTP プロキシの設定

HTTP プロキシを設定するには、/system/http_proxy/ の設定キーの値を変更します。たとえば、HTTP プロキシホストに必須値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /system/http_proxy/host proxy-name

HTTP プロキシホストにデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type string --set /system/http_proxy/host proxy-name

ほかの HTTP プロキシ関連の環境を設定することもできます。ほかの HTTP プロキシ設定に関する情報については、system_http_proxy.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

ワークスペース数の設定

ワークスペースの必須の数を設定するには、次のコマンドを使用します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type int --set /apps/metacity/general/num_workspaces integer

ワークスペースのデフォルトの数を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type int --set /apps/metacity/general/num_workspaces integer

ほかのウィンドウマネージャの環境を設定することもできます。ほかのウィンドウマネージャの設定に関する情報については、metacity.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

キーボードアクセシビリティの設定

キーボードアクセシビリティを設定するには、 /desktop/gnome/accessibility/keyboard の設定キーの値を変更します。たとえば、キーボードアクセシビリティ機能が有効になるように必須値を設定したい場合は、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type bool --set /desktop/gnome/accessibility/keyboard/enable true

この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type bool --set /desktop/gnome/accessibility/keyboard/enable false

ほかのキーボードアクセシビリティ環境を設定することもできます。ほかのキーボードアクセシビリティ設定に関する情報については、desktop_gnome_accessibility_keyboard.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

キーボードショートカットの設定

キーボードショートカット設定を行うには、/apps/metacity/global_keybindings/panel_run_dialog にある設定キーの値を変更します。たとえば、「アプリケーションの実行」ダイアログを開くときに、ユーザーが Alt + F3 キーボードショートカットのみを使用するように設定したい場合があります。この必須値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /apps/metacity/global_keybindings/panel_run_dialog '<Alt>F3'

ほかのキーボードショートカット環境を設定することもできます。ほかのキーボードショートカットの設定に関する情報については、metacity.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

パネルとパネルオブジェクトの設定

panel-default-setup.entries ファイルは、Java Desktop System 内のパネルについて、次の内容を指定します。

パネルおよびパネルオブジェクトを個別に設定するのは、複雑な作業になります。パネルやパネルオブジェクトを個別に設定するには、まず panel-default-setup.entries ファイルの構造を理解する必要があります。panel-default-setup.entries ファイルについては、「パネル構成ファイルの構造」を参照してください。

パネルおよびパネルオブジェクトの環境を個別に設定するには、構成ソース内の多数の設定値を設定する必要があります。パネル設定の値を設定する一番簡単な方法は、--dump および --load オプションを指定して、gconftool-2 コマンドを使用することです。パネルおよびパネルオブジェクトの設定方法については、「パネルおよびパネルオブジェクトの環境を個別に設定」を参照してください。

パネル構成ファイルの構造

panel-default-setup.entries ファイルには、パネルおよびパネルの内容を指定する部分があります。また panel-default-setup.entries ファイルは、スキーマキーの値を指定します。panel-default-setup.entries ファイルは、/etc/gconf/schemas ディレクトリ内にあります。

panel-default-setup.entries ファイルの構造は、次のとおりです。

  1. ファイル内のすべてのキーのベースパスを指定する entrylist 要素。たとえば、次の要素 (panel-default-setup.entries の抜粋) は、キーのベースパスとして /apps/panel/default_setup を指定します。

    <entrylist base="/apps/panel/default_setup">

    たとえば、キー general/toplevel_id_listpanel-default-setup.entries 内で参照されている場合、キーのフルパスは /apps/panel/default_setup/general/toplevel_id_list です。

  2. デスクトップ内のパネル、パネルアプリケーション、およびその他のパネルオブジェクトの一般的な構造を指定するキー。次のキーが、デスクトップ内に表示されるパネル、パネルオブジェクト、およびパネルアプリケーションの数を指定します。

    • general/toplevel_id_list

    • general/object_id_list

    • general/applet_id_list

    これらのキーは、各パネル、パネルオブジェクト、およびパネルアプリケーションに識別子も割り当てます。たとえば、次の panel-default-setup.entries のサンプルでは、デスクトップに表示されるパネルは 1 つです。

    <entry>
          <key>general/toplevel_id_list</key>
          <schema_key>/schemas/apps/panel/general/toplevel_id_list</schema_key>
          <value>
            <list type="string">
              <value>
                <string>bottom_panel</string>
              </value>
            </list>
          </value>
        </entry>

    panel-default-setup.entries ファイルでは、識別子 bottom_panel が画面の最下部のパネルを識別します。

  3. パネルのプロパティを指定するキー。パネル設定キーは、次のように設定されています。

    toplevels/panel-name/panel-property-key
    

    たとえば、toplevels/bottom_panel/size のキーはボトムパネルのサイズを指定します。

  4. パネルオブジェクト、パネルオブジェクトプロパティ、およびオブジェクトが存在するパネルを指定するキー。たとえば、次の panel-default-setup.entries のサンプルでは、メインメニュー オブジェクトがボトムパネルの左側に表示されます。

    <entry>
          <key>objects/main_menu/object_type</key>
          <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/object_type</schema_key>
          <value>
            <string>menu-object</string>
          </value>
        </entry>
        <entry>
          <key>objects/main_menu/toplevel_id</key>
          <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/toplevel_id</schema_key>
          <value>
            <string>bottom_panel</string>
          </value>
        </entry>
        <entry>
          <key>objects/main_menu/position</key>
          <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/position</schema_key>
          <value>
            <int>0</int>
          </value>
        </entry>
  5. パネルアプリケーション、パネルアプリケーション設定、およびパネルアプリケーションが存在するパネルを指定するキー。たとえば、次の panel-default-setup.entries のサンプルでは、Window List パネルアプリケーションがボトムパネルに表示されます。

    <entry>
          <key>applets/window_list/object_type</key>
          <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/object_type</schema_key>
          <value>
            <string>bonobo-applet</string>
          </value>
        </entry>
        <entry>
          <key>applets/window_list/toplevel_id</key>
          <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/toplevel_id</schema_key>
          <value>
            <string>bottom_panel</string>
          </value>
        </entry>
        <entry>
          <key>applets/window_list/position</key>
          <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/position</schema_key>
          <value>
            <int>3</int>
          </value>
        </entry>
    .
    .
    .
        <entry>
          <key>applets/window_list/bonobo_iid</key>
          <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/bonobo_iid_type</schema_key>
          <value>
            <string>OAFIID:GNOME_WindowListApplet</string>
          </value>
        </entry>

    OAFIID は、パネルアプリケーションの一意の識別子です。特定のパネルアプリケーションの OAFIID を検索するには、/usr/lib/bonobo/servers ディレクトリ内にあるそのパネルアプリケーションの .server ファイルを参照します。たとえば、次の GNOME_Wncklet_Factory.server の抜粋では、Window List パネルアプリケーションの OAFIID が示されます。

    <oaf_server iid="OAFIID:GNOME_WindowListApplet" 
    type="factory" location="OAFIID:GNOME_Wncklet_Factory">

パネルおよびパネルオブジェクトの環境を個別に設定

パネルやパネル内のオブジェクトの設定を行うには、次の手順を実行します。

  1. テストユーザーアカウントでセッションにログインします。

  2. 必要に応じてパネルを設定します。

  3. --dump オプションを指定して gconftool-2 コマンドラインツールを使用し、使用しているパネル設定の XML 記述を含むファイルを生成します。--dump オプションは、ユーザーが指定した GConf リポジトリディレクトリ内にあるすべての設定キーを含む一覧を生成します。

    たとえば、次のコマンドはデフォルトパネル設定の XML 記述を my-panel-setup.entries というファイルに作成します。

    # gconftool-2 --dump /apps/panel/profiles/default > my-panel-setup.entries

  4. my-panel-setup.entries ファイルをテキストエディタで開き、必要に応じて修正します。

    たとえば、デスクトップエントリファイルの場所を変更します。次に、--dump オプションで生成されたファイルの抜粋を示します。

    <entry>
          <key>objects/object_16/launcher_location</key>
          <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/launcher_location</schema_key>
          <value>
            <string>hadjaha-00adce02f7.desktop</string>
          </value>
        </entry>

    上のサンプルで、hadjaha-00adce02f7.desktop への参照を、広く使用可能な別のデスクトップエントリファイルに変更することも考えられます。

    --dump オプションでパネル設定を生成すると、パネルオブジェクトの位置は絶対的な位置になります。パネルオブジェクトの位置を絶対的な位置から相対的な位置に変更したい場合もあります。パネルの一番左端のオブジェクトの position 値は 0 です。その次のオブジェクトの position 値は 1 という具合になっています。オブジェクトをパネルの右側と相対する位置に置くには、right_stick キーを true に設定します。

  5. --load オプションを指定して gconftool-2 コマンドラインツールを使用し、デフォルトの構成ソースの値を my-panel-setup.entries ファイル内の値に設定します。たとえば、次のコマンドは、デフォルトの構成ソースのキー値を my-panel-setup.entries 内の対応するキーの値に設定します。

    # gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --load my-panel-setup.entries

  6. テストユーザーアカウントからログアウトします。

ルック&フィールの設定

この節では、ルック&フィールの設定に必須値またはデフォルト値を割り当てる方法を説明します。

フォントの設定

フォントを設定するには、2 つの設定キーの値を変更します。次の表は、変更するキーと、そのキーに対応するユーザーインターフェイス部分を示しています。

GConf の場所 

ユーザーインターフェイスコンポーネント 

/desktop/gnome/interface/font_name 

フォント設定ツールの「アプリケーション用フォント」オプション

/apps/nautilus/preferences/desktop_font 

フォント設定ツールの「デスクトップ用フォント」オプション

たとえば、Sans 12 を必須アプリケーション用フォントとして設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /desktop/gnome/interface/font_name “Sans 12”

palatino 12 をデフォルトのデスクトップオブジェクトフォントとして設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type string --set /apps/nautilus/preferences/desktop_font “palatino 12”

背景の設定

デスクトップ背景の設定を行うには、/desktop/gnome/background にある設定キーの値を変更します。たとえば、背景に必須イメージを設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type string --set /desktop/gnome/background/picture_filename filename.png

この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type string --set /desktop/gnome/background/picture_filename filename.png

ほかの背景を設定することもできます。ほかの背景設定に関する情報については、desktop_gnome_background.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

スプラッシュイメージの設定

スプラッシュイメージを設定するには、/apps/gnome-session/options/ の設定キーの値を変更します。たとえば、スプラッシュイメージを表示しないように設定するには、必須値を次のように設定します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory --type bool --set /apps/gnome-session/options/show_splash_screen false

この設定にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults --type bool --set /apps/gnome-session/options/show_splash_screen false

ほかのスプラッシュイメージを設定することもできます。ほかのスプラッシュイメージ設定に関する情報については、gnome-session.schemas スキーマ定義ファイルを参照してください。

デフォルト設定値の復元

ユーザーのデフォルト設定値を復元するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --direct --config-source user-configuration-source --recursive-unset

ユーザーのホームディレクトリ内にある .gconf ディレクトリ構成ファイルの user-configuration-source をデフォルト値にします。次に例を示します。

# gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:$(HOME)/.gconf --recursive-unset

このコマンドは、すべてのサブディレクトリで、ユーザー設定からデフォルト構成ソースの設定までを含むすべての設定キーの値をリセットします。