6


DR の内部

この章では、DR の単なるユーザの視点からではなく、技術ユーザの視点から考えたとき有用な DR の機能について説明します。

この章では、以下のトピックについて説明します。


ドメイン上のソフトウェアコンポーネント

この節では、DR 操作を遂行する、ドメイン上の DR 関連のソフトウェアコンポーネントについて説明します。

ドメイン構成サーバー (ハイエンドシステムのみ)

ドメイン構成サーバー (DCS) は、ハイエンドシステムドメインで実行されるデーモンプロセスであり、最初のリモート DR 要求を受け取った時点で inetd(1M) によって起動されます。各ドメインで、DCS が 1 つずつ実行されます。DCS は、SC で実行されるドメイン構成エージェント (DCA) から DR 要求を受け入れます。DCS は、DR 操作を受け入れると要求を実行して結果を DCA に渡します。ドメイン構成エージェント (DCA)を参照してください。



注 - Solaris 10 OS が動作しているドメインでは、inetd.conf ファイルに DCS のエントリはありません。それ以前のバージョンの Solaris が動作しているドメインでは、inetd.conf ファイルに DCS の エントリが 1 つあります。後者の場合、inetd.conf ファイルの sun-dr エントリを変更または削除するときは、ipsecinit.conf ファイルの sun-dr エントリにも同じ変更を加えてください。



DR ドライバ

ハイエンドシステム上の DR ドライバは、プラットフォームに依存しないドライバ dr とプラットフォーム固有のモジュール drmach からなります。ミッドレンジシステムの DR ドライバは sbd で、プラットフォーム固有のモジュールは sbdp です。DR ドライバは、DR 操作の制御が可能な場合には Solaris ソフトウェアの標準機能を使用し、必要に応じてプラットフォーム固有のモジュールを呼び出します。DR ドライバは、DR 操作の接続点として使用される、ファイルシステム内のマイナーノードを作成します。

Reconfiguration Coordination Manager (RCM)

Reconfiguration Coordination Manager (RCM) は、ドメイン内のリソースに対する DR 操作を調整するデーモンプロセスです。RCM デーモンは、汎用アプリケーションプログラムインタフェース (API) を使って、DR 開始元と RCM クライアント間で DR 操作を調整します。

RCM コンシューマは、DR 操作を要求する DR 開始元と、DR 要求に応答する DR クライアントからなります。通常、DR 開始元は構成管理コマンド cfgadm(1M) です。しかし、Sun Management Center などの GUI の場合もあります。

DR クライアントは以下のいずれかになります。

システムイベントフレームワーク

DR は、Solaris システムイベントフレームワークを使って、ほかのソフトウェアエンティティーに対して、DR 操作による変更の発生を通知します。この操作では、まず、DR からシステムイベントデーモン syseventd に DR イベントが送信され、次にこのデーモンから DR イベントの加入者にイベントが送信されます。システムイベントデーモンについては、syseventd(1M) のマニュアルページを参照してください。


SC 上のソフトウェアコンポーネント
(ハイエンドシステムのみ)

この節では、DR 操作を遂行する、ハイエンドシステムの SC 上の DR 関連のソフトウェアコンポーネントについて説明します。

DR 管理モデル

使用可能なコンポーネントのリストは、ユーザーの名前とグループ識別子に基づいて、実行可能な管理タスクを制御します。各 DR 操作の特権モデルの概要は、SC からの SMS DR 操作 (ハイエンドシステムのみ)に記載されています。各 SMS コマンドを実行するために必要な特権については、『System Management Services (SMS) 1.4 管理者マニュアル』を参照してください。

DR プロセスとデーモン

DR 操作は、Sun Fire high-end serverコントローラ (SC) 上のさまざまなプロセスやデーモンの連携によって行われます。どのプロセス、どのデーモンが使用されるかは、どこから DR 操作を実行するかによって決定されます。たとえば、SC から DR 操作を実行する場合、システムは、ドメインから DR 操作を実行する場合より多くのプロセスまたはデーモンを使用します。

ドメイン上のプロセスとデーモンについては、このマニュアルのほかの章で詳しく説明しています。SC 上の SMS ソフトウェア内のプロセスとデーモンについては、『System Management Services (SMS) 1.4 管理者マニュアル』を参照してください。

ドメイン構成エージェント (DCA)

ドメイン構成エージェント (DCA) は、Sun Management Center、SMS などのアプリケーションが、Sun Fire high-end serverドメインで DR 操作を開始できるようにします。DCA は SC 上で実行され、SC 上で実行中のソフトウェアアプリケーションとドメイン上のドメイン構成サーバー間の DR 通信を管理します。DCA は、Sun Fire high-end serverの各ドメインの SC で 1 つずつ実行されます。DCA については、『System Management Services (SMS) 1.4管理者マニュアル』を参照してください。



注 - inetd.conf ファイルの sun-dr エントリを変更または削除するときは、ipsecinit.conf ファイルの sun-dr エントリにも同じ変更を加えてください。



プラットフォーム構成デーモン (PCD) (ハイエンドシステムのみ)

プラットフォーム構成デーモン (PCD) は、PCD データベースを構成するいくつかのフラットファイルを使って、個々の Sun Fire high-end serverの構成を管理します。Sun Fire high-end serverの構成の変更は、すべて PCD から行う必要があります。PCD については、『System Management Services (SMS) 1.4管理者マニュアル』を参照してください。

ドメイン X サーバー (DXS)

ドメイン X サーバー (DXS) は、ドメインの SC と DR モジュール (drmach) 間の通信を管理します。DXS は、Sun Fire high-end serverの各ドメインの SC で 1 つずつ実行されます。DXS については、『System Management Services (SMS) 1.4管理者マニュアル』を参照してください。