前述の例では、ZFS の操作が簡単であることを示しました。この章の残りの部分では、実際の環境に近い、より詳細な例を提供します。最初に、ストレージ要件を確認して、ストレージプールを作成します。プールによって、ストレージの物理的な特性が決まります。どのようなファイルシステムを作成する場合にも、最初にプールを作成する必要があります。
ストレージプールに使用可能なデバイスを決定します。
ストレージプールを作成する前に、データを格納するデバイスを決定する必要があります。デバイスのサイズは、128M バイト以上にしてください。オペレーティングシステムのほかの部分で使われていてはいけません。事前にフォーマットされているディスク上のスライスを個別に選択するか、1 つの大きなスライスとしてフォーマットされたディスク全体を選択することができます。
「ZFS ストレージプールを作成する方法」のストレージ例では、ディスク /dev/dsk/c1t0d0 および /dev/dsk/c2t0d0 の全体が使用されることを前提としています。
ディスクの詳細、および使用方法と名前の付け方については、「ZFS ストレージプール内でディスクを使用する」を参照してください。
データの複製を選択します。
ZFS では、複数の種類のデータ複製がサポートされます。プールが対応できるハードウェア障害の種類は、データ複製の種類によって決まります。ZFS では、非冗長 (ストライプ) 構成、ミラー構成、および RAID-Z (RAID-5 の一種) がサポートされます。
「ZFS ストレージプールを作成する方法」のストレージ例では、使用可能な 2 台のディスクを基本的な方法でミラー化しています。
ZFS の複製機能の詳細については、「ZFS ストレージプールの複製機能」を参照してください。
root になるか、適切な ZFS 権利プロファイルが割り当てられた root と同等の役割を引き受けます。
ZFS 権利プロファイルの詳細については、「ZFS 権利プロファイル」を参照してください。
ストレージプールの名前を選択します。
この名前は、zpool または zfs コマンドの使用時にストレージプールを識別するために使用されます。ほとんどのシステムに必要なプールは 1 つだけです。任意の名前を選択できますが、「ZFS コンポーネントに名前を付けるときの規則」の名前の付け方の規則に準拠している必要があります。
プールを作成します。
たとえば次のコマンドは、tank という名前のミラープールを作成します。
# zpool create tank mirror c1t0d0 c2t0d0 |
1 つ以上のデバイスに別のファイルシステムが含まれる場合、または 1 つ以上のデバイスが使用中である場合は、このコマンドを使ってプールを作成することはできません。
ストレージプールの作成方法の詳細については、「ZFS ストレージプールを作成する」を参照してください。デバイスの使用状況を確認する方法の詳細については、「使用中のデバイスを検出する」を参照してください。
結果を確認します。
プールが正常に作成されたかどうかは、zpool list コマンドを使って確認できます。
# zpool list NAME SIZE ALLOC FREE CAP HEALTH ALTROOT tank 80G 137K 80G 0% ONLINE - |
プールの状態を確認する方法の詳細については、「ZFS ストレージプールの状態のクエリー検索を行う」を参照してください。