ストレージプールを作成してデータを格納したあとで、ファイルシステムの階層を作成できます。階層を利用すれば、情報を簡単かつ強力に編成することができます。ファイルシステムを使用したことがあれば、階層も同じように操作できます。
ZFS では、ファイルシステムを階層に編成できます。各ファイルシステムの親は 1 つだけです。階層のルートは常にプールの名前です。ZFS では、この階層を利用してプロパティーを継承することができるので、ファイルシステムのツリー全体に共通のプロパティーをすばやく簡単に設定できます。
ファイルシステムの構造を選択します。
ZFS の管理は、ファイルシステムに基づいて行います。このファイルシステムは、軽量で、簡単に作成できます。ファイルシステムは、ユーザーまたはプロジェクトごとに作成することをお勧めします。このモデルを使えば、プロパティー、スナップショット、およびバックアップをユーザーまたはプロジェクト単位で制御することができます。
「ZFS ファイルシステムを作成する方法」で、2 つの ZFS ファイルシステム bonwick および billm が作成されます。
ファイルシステムの管理方法の詳細については、第 6 章Oracle Solaris ZFS ファイルシステムの管理を参照してください。
属性が似ているファイルシステムをグループにまとめます。
ZFS では、ファイルシステムを階層に編成できます。そのため、属性が似ているファイルシステムをグループにまとめることがきます。このモデルを利用すれば、プロパティーの制御やファイルシステムの管理を一箇所で行うことができます。属性が似ているファイルシステムは、共通の名前の階層下に作成するようにしてください。
「ZFS ファイルシステムを作成する方法」の例では、2 つのファイルシステムが home という名前のファイルシステムの下に配置されます。
ファイルシステムのプロパティーを選択します。
ファイルシステムの特性のほとんどは、プロパティーによって制御されます。ファイルシステムがマウントされる場所、共有される方法、圧縮を使用するかどうか、割り当て制限が有効かどうかなど、さまざまな動作がこれらのプロパティーによって制御されます。
「ZFS ファイルシステムを作成する方法」の例では、すべてのホームディレクトリが /export/zfs/ user にマウントされ、NFS を使って共有され、圧縮が有効になっています。さらに、ユーザー bonwick には 10G バイトの割り当て制限が適用されます。
プロパティーの詳細については、「ZFS のプロパティーの紹介」を参照してください。
root になるか、適切な ZFS 権利プロファイルが割り当てられた root と同等の役割を引き受けます。
ZFS 権利プロファイルの詳細については、「ZFS 権利プロファイル」を参照してください。
必要な階層を作成します。
この例では、各ファイルシステムのコンテナとして機能するファイルシステムが作成されます。
# zfs create tank/home |
継承されるプロパティーを設定します。
ファイルシステムの階層が確立されたら、すべてのユーザーの間で共有すべきプロパティーをすべて設定します。
# zfs set mountpoint=/export/zfs tank/home # zfs set sharenfs=on tank/home # zfs set compression=on tank/home # zfs get compression tank/home NAME PROPERTY VALUE SOURCE tank/home compression on local |
ファイルシステムの作成時にファイルシステムのプロパティーを設定できます。次に例を示します。
# zfs create -o mountpoint=/export/zfs -o sharenfs=on -o compression=on tank/home |
プロパティーおよびプロパティーの継承の詳細については、「ZFS のプロパティーの紹介」を参照してください。
次に、各ファイルシステムが、プール tank の home ファイルシステムの下にグループとしてまとめられます。
ファイルシステムを個別に作成します。
ファイルシステムが作成されている場合があり、それからプロパティーが home レベルで変更されている場合があります。すべてのプロパティーは、ファイルシステムの使用中に動的に変更できます。
# zfs create tank/home/bonwick # zfs create tank/home/billm |
これらのファイルシステムは、親ファイルシステムからプロパティー値を継承します。このため、/export/zfs/user に自動的にマウントされ、NFS を使って共有されます。/etc/vfstab や /etc/dfs/dfstab ファイルを編集する必要はありません。
ファイルシステムの作成方法の詳細については、「ZFS ファイルシステムを作成する」を参照してください。
ファイルシステムのマウントおよび共有の詳細については、「ZFS ファイルシステムをマウントおよび共有する」を参照してください。
ファイルシステム固有のプロパティーを設定します。
この例では、ユーザー bonwick に 10G バイトの割り当て制限が適用されます。このプロパティーを設定すると、プールで消費できる容量に関係なく、ユーザーが使用できる容量に制限が適用されます。
# zfs set quota=10G tank/home/bonwick |
結果を確認します。
zfs list コマンドを使用して、利用できるファイルシステムの情報を確認します。
# zfs list NAME USED AVAIL REFER MOUNTPOINT tank 92.0K 67.0G 9.5K /tank tank/home 24.0K 67.0G 8K /export/zfs tank/home/billm 8K 67.0G 8K /export/zfs/billm tank/home/bonwick 8K 10.0G 8K /export/zfs/bonwick |
ユーザー bonwick が使用できる容量は 10G バイトだけですが、ユーザー billm はプール全体 (67G バイト) を使用できます。
ファイルシステムの状態の詳細については、「ZFS ファイルシステムの情報のクエリー検索を行う」を参照してください。
ディスク領域がどのように使用および計算されるかの詳細については、「ZFS のディスク領域の計上」を参照してください。