zpool replace コマンドを使用して、ストレージプール内のデバイスを置き換えることができます。
冗長プール内の同じ場所にある別のデバイスでデバイスを物理的に置き換える場合は、置き換えられるデバイスを特定するだけで済むことがあります。ZFS はそのデバイスを、同じハードウェア上の同じ場所にある別のディスクであると認識します。たとえば、障害の発生したディスク (c1t1d0) を置き換える場合、そのディスクを取り除き、同じ場所でそれを置き換えるには、次の構文を使用します。
# zpool replace tank c1t1d0 |
ストレージプール内のデバイスを、物理的に異なる場所にあるディスクに置き換えようとしている場合は、両方のデバイスを指定する必要があります。次に例を示します。
# zpool replace tank c1t1d0 c1t2d0 |
ZFS ルートプールのディスクを置き換える場合は、「ZFS ルートプールのディスクを置き換える方法」を参照してください。
ディスクを置き換えるための基本的な手順は次のとおりです。
必要に応じて、zpool offline コマンドでディスクをオフラインにします。
置き換えるディスクを取り外します。
交換用ディスクを挿入します。
zpool replace コマンドを実行します。次に例を示します。
# zpool replace tank c1t1d0 |
zpool online コマンドでディスクをオンラインに戻します。
Sun Fire x4500 などの一部のシステムでは、ディスクをオフラインにする前に構成解除する必要があります。このシステム上の同じスロット位置にあるディスクを置き換えようとしている場合は、この節の最初の例で説明したように zpool replace コマンドを実行するだけで置き換えを実行できます。
Sun Fire X4500 システムでディスクを置き換える例については、例 11–1 を参照してください。
ZFS ストレージプール内のデバイスを置き換えるときは、次のことを考慮します。
プールの autoreplace プロパティーをオンに設定した場合、そのプールに以前属していたデバイスと物理的に同じ位置に新しいデバイスが検出されると、そのデバイスが自動的にフォーマットされて置き換えられます。このプロパティーが有効なときは、zpool replace コマンドを使用する必要はありません。ハードウェアの種類によっては、この機能を使用できない場合があります。
交換用デバイスの容量が、ミラー化構成または RAID-Z 構成内でもっとも容量の小さいディスク以上である必要があります。
置き換える前のデバイスよりもサイズが大きい交換デバイスをプールに追加しても、プールは自動的にその最大サイズにまで拡張されません。プールの autoexpand プロパティーの値は、ディスクをプールに追加したときに、置き換え後の LUN がその最大サイズにまで拡張されるかどうかを決定します。デフォルトでは、autoexpand プロパティーは無効になっています。容量の大きい LUN をプールに追加する前後どちらでも、このプロパティーを有効にすることで LUN のサイズを拡張できます。
次の例では、ミラー化プール内の 16G バイトのディスク 2 台を 72G バイトのディスク 2 台で置き換えます。ディスクの置き換え後に autoexpand プロパティーを有効にして、LUN をその最大サイズにまで拡張します。
# zpool create pool mirror c1t16d0 c1t17d0 # zpool status pool: pool state: ONLINE scrub: none requested config: NAME STATE READ WRITE CKSUM pool ONLINE 0 0 0 mirror ONLINE 0 0 0 c1t16d0 ONLINE 0 0 0 c1t17d0 ONLINE 0 0 0 zpool list pool NAME SIZE ALLOC FREE CAP HEALTH ALTROOT pool 16.8G 76.5K 16.7G 0% ONLINE - # zpool replace pool c1t16d0 c1t1d0 # zpool replace pool c1t17d0 c1t2d0 # zpool list pool NAME SIZE ALLOC FREE CAP HEALTH ALTROOT pool 16.8G 88.5K 16.7G 0% ONLINE - # zpool set autoexpand=on pool # zpool list pool NAME SIZE ALLOC FREE CAP HEALTH ALTROOT pool 68.2G 117K 68.2G 0% ONLINE - |
大規模プール内で多数のディスクを置き換える場合は、新しいディスク上にデータを再同期化するために時間がかかります。また、ディスクの置き換えの合間に zpool scrub コマンドを実行して、置き換えたあとのデバイスが動作可能なこと、およびデータが正しく書き込まれることを確認することもできます。
障害の発生したディスクがホットスペアに自動的に置き換えられた場合は、障害の発生したディスクが置き換えられたあとでスペアの切り離しが必要になることがあります。ホットスペアの切り離しについては、「ストレージプール内のホットスペアをアクティブにする/非アクティブにする」を参照してください。
デバイスの置き換えの詳細については、「見つからないデバイスに関する問題を解決する」および「破損したデバイスを交換または修復する」を参照してください。