ファイルまたはディレクトリが破壊されても、破壊の種類によってはシステムがそのまま動作する場合があります。データの正常なコピーがシステムに存在しなければ、どの損傷も事実上修復できません。貴重なデータの場合は、影響を受けたデータをバックアップから復元する必要があります。このような場合でも、プール全体を復元しなくても破壊から回復できる場合があります。
ファイルデータブロックの中で損傷が発生した場合は、ファイルを安全に削除することができるため、システムのエラーを解消できます。永続的なエラーが発生しているファイル名のリストを表示するには、zpool status -v コマンドを使用します。次に例を示します。
# zpool status -v pool: monkey state: ONLINE status: One or more devices has experienced an error resulting in data corruption. Applications may be affected. action: Restore the file in question if possible. Otherwise restore the entire pool from backup. see: http://www.sun.com/msg/ZFS-8000-8A scrub: scrub completed after 0h0m with 8 errors on Tue Jul 13 13:17:32 2010 config: NAME STATE READ WRITE CKSUM monkey ONLINE 8 0 0 c1t1d0 ONLINE 2 0 0 c2t5d0 ONLINE 6 0 0 errors: Permanent errors have been detected in the following files: /monkey/a.txt /monkey/bananas/b.txt /monkey/sub/dir/d.txt monkey/ghost/e.txt /monkey/ghost/boo/f.txt |
永続的なエラーが発生しているファイル名のリストは、次のようになります。
ファイルへの完全なパスが見つかり、データセットがマウントされている場合は、ファイルへの完全なパスが表示されます。次に例を示します。
/monkey/a.txt |
ファイルへの完全なパスは見つかったが、データセットがマウントされていない場合は、前にスラッシュ (/) が付かず、後ろにファイルへのデータセット内のパスが付いたデータセット名が表示されます。次に例を示します。
monkey/ghost/e.txt |
エラーにより、または dnode_t の場合のようにオブジェクトに実際のファイルパスが関連付けられていないことにより、ファイルパスに対するオブジェクト番号を正常に変換できない場合は、後ろにオブジェクト番号の付いたデータセット名が表示されます。次に例を示します。
monkey/dnode:<0x0> |
メタオブジェクトセット (MOS) のオブジェクトが破壊された場合は、後ろにオブジェクト番号の付いた <metadata> という特別なタグが表示されます。
ディレクトリまたはファイルのメタデータの中で破壊は発生している場合には、そのファイルを別の場所に移動するしかありません。任意のファイルまたはディレクトリを不便な場所に安全に移動することができ、そこで元のオブジェクトを復元することができます。