Solaris Live Upgrade で使用する JumpStart プロファイルを作成することができます。ユーザーがカスタム JumpStart プログラムに精通しているのであれば、これはカスタム JumpStart で使用するものと同じプロファイルです。次の手順により、luupgrade コマンドに -j オプションを指定して使用して、プロファイルの作成、プロファイルのテスト、および インストールを行うことができます。
Solaris OS を Solaris フラッシュアーカイブとともにインストールする場合は、アーカイブおよびインストール用メディアに同一の OS バージョンが含まれている必要があります。たとえば、アーカイブが Solaris 10 オペレーティングシステムで、DVD メディアを使用している場合は、Solaris 10 DVD メディアを使用してアーカイブをインストールする必要があります。OS バージョンが一致しないと、ターゲットシステムへのインストールは失敗します。次のキーワードまたはコマンドを使用する場合は、同一のオペレーティングシステムが必要です。
プロファイルの archive_location キーワード
-s、- a、-j、および -J オプションを指定した luupgrade コマンド
詳細については、以下を参照してください。
「プロファイルを使用して Solaris Live Upgrade でアップグレードする (コマンド行インタフェース)」
JumpStart プロファイルの作成については、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「プロファイルの作成」を参照してください。
ここでは、Solaris Live Upgrade で使用されるプロファイルの作成方法について説明します。luupgrade コマンドに -j オプションを指定してこのプロファイルを使用し、非アクティブブート環境をアップグレードできます。
このプロファイルの使用方法については、次の 2 つの節を参照してください。
プロファイルを使用したアップグレードについては、「プロファイルを使用して Solaris Live Upgrade でアップグレードする (コマンド行インタフェース)」を参照してください。
プロファイルを使用した Solaris フラッシュのインストールについては、「プロファイルを使用した Solaris フラッシュアーカイブのインストール (コマンド行インタフェース)」を参照してください。
テキストエディタを使用してテキストファイルを作成します。
ファイルにわかりやすい名前を付けます。プロファイルの名前は、システムに Solaris ソフトウェアをインストールするためにそのプロファイルをどのように使用するかを示すものにしてください。たとえば、このプロファイルに upgrade_Solaris_10_606 という名前を付けます。
プロファイルにプロファイルキーワードと値を追加します。
Solaris Live Upgrade プロファイルで使用できるのは、次の表に示されたアップグレードキーワードだけです。
次の表に、Install_type キーワードの値 upgrade または flash_install とともに使用できるキーワードを示します。
初期アーカイブ作成のキーワード |
説明 |
参照 |
---|---|---|
(必須) Install_type |
システムの既存の Solaris 環境をアップグレードするか、システムに Solaris フラッシュアーカイブをインストールするかを定義します。このキーワードには、次の値を使用します。
|
このキーワードで使用可能なすべての値の説明は、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「install_type プロファイルキーワード」を参照してください。 |
(Solaris フラッシュアーカイブの場合は必須) archive_location |
指定された位置から Solaris フラッシュアーカイブを取得します。 |
このキーワードで使用可能な値のリストについては、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「archive_location プロファイルキーワード」を参照してください。 |
(省略可能) cluster (クラスタの追加または削除) |
システムにインストールされるソフトウェアグループに対してクラスタを追加するか、または削除するかを指定します。 |
このキーワードで使用可能な値のリストについては、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「cluster プロファイルキーワード (ソフトウェアグループの追加)」を参照してください。 |
(省略可能) geo |
システムにインストールする地域ロケールか、あるいはシステムのアップグレード時に追加する地域ロケールを指定します。 |
このキーワードで使用可能な値のリストについては、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「geo プロファイルキーワード」を参照してください。 |
(省略可能) local_customization |
クローンシステムに Solaris フラッシュアーカイブをインストールする前に、カスタムスクリプトを作成して、クローンシステム上のローカル構成を保存できます。local_customization キーワードは、これらのスクリプトの格納先ディレクトリを示します。この値は、クローンシステム上のスクリプトへのパスです。 |
配備前および配備後スクリプトの詳細は、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)』の「カスタムスクリプトの作成」を参照してください。 |
(省略可能) locale |
インストールまたはアップグレード時に追加するロケールパッケージを指定します。 |
このキーワードで使用可能な値のリストについては、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「locale プロファイルキーワード」を参照してください。 |
(省略可能) package |
システムにインストールされるソフトウェアグループに対してパッケージを追加するか、または削除するかを指定します。 |
このキーワードで使用可能な値のリストについては、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「package プロファイルキーワード」を参照してください。 |
次の表に、Install_type キーワードの値 flash_update とともに使用できるキーワードを示します。
差分アーカイブ作成のキーワード |
説明 |
参照 |
---|---|---|
(必須) Install_type |
システムに Solaris フラッシュアーカイブをインストールすることを指定します。差分アーカイブを表す値は flash_update です。 |
このキーワードで使用可能なすべての値の説明は、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「install_type プロファイルキーワード」を参照してください。 |
(必須) archive_location |
指定された位置から Solaris フラッシュアーカイブを取得します。 |
このキーワードで使用可能な値のリストについては、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「archive_location プロファイルキーワード」を参照してください。 |
(省略可能) forced_deployment |
ソフトウェアで想定されているものとは異なるクローンシステムに、Solaris フラッシュ差分アーカイブを強制的にインストールします。forced_deployment を使用すると、クローンシステムを期待される状態にするために、新規ファイルがすべて削除されます。ファイルを削除して良いかどうか判断できない場合には、デフォルトを使用してください。デフォルトでは、新規ファイルが削除されそうになると、インストールが停止します。 |
このキーワードの詳細は、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「forced_deployment プロファイルキーワード (Solaris フラッシュ差分アーカイブのインストール)」を参照してください。 |
(省略可能) local_customization |
クローンシステムに Solaris フラッシュアーカイブをインストールする前に、カスタムスクリプトを作成して、クローンシステム上のローカル構成を保存できます。local_customization キーワードは、これらのスクリプトの格納先ディレクトリを示します。この値は、クローンシステム上のスクリプトへのパスです。 |
配備前および配備後スクリプトの詳細は、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)』の「カスタムスクリプトの作成」を参照してください。 |
(省略可能) no_content_check |
Solaris フラッシュ差分アーカイブを使用してクローンシステムをインストールする場合、no_content_check キーワードを使用してファイルごとの検証を省略できます。ファイルごとの検証により、クローンシステムがマスターシステムの複製であることが保証されます。クローンシステムが元のマスターシステムの複製であることが確実である場合を除き、このキーワードの使用は避けてください。 |
このキーワードの詳細は、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「no_content_check プロファイルキーワード (Solaris フラッシュアーカイブのインストール)」を参照してください。 |
(省略可能) no_master_check |
Solaris フラッシュ差分アーカイブを使用してクローンシステムをインストールする場合、no_master_check キーワードを使用してファイルの検証を省略できます。クローンシステムのファイルの検証は行われません。この検証により、クローンシステムが元のマスターシステムから構築されていることが保証されます。クローンシステムが元のマスターシステムの複製であることが確実である場合を除き、このキーワードの使用は避けてください。 |
このキーワードの詳細は、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「no_master_check プロファイルキーワード (Solaris フラッシュアーカイブのインストール)」を参照してください。 |
プロファイルをローカルシステムのディレクトリに保存します。
プロファイルの所有者が root で、そのアクセス権が 644 に設定されていることを確認します。
(省略可能) プロファイルをテストします。
プロファイルのテスト方法については、「Solaris Live Upgrade で使用されるプロファイルをテストする」を参照してください。
この例では、プロファイルはアップグレードパラメータを提供します。このプロファイルでは、Solaris Live Upgrade の luupgrade コマンドに -u および -j オプションを指定して、非アクティブなブート環境をアップグレードします。このプロファイルでは、パッケージおよびクラスタを追加します。地域ロケールおよび追加ロケールも、プロファイルに追加されます。プロファイルにロケールを追加する場合、ブート環境がディスク容量に余裕を持って作成されていることを確認してください。
# profile keywords profile values # ---------------- ------------------- install_type upgrade package SUNWxwman add cluster SUNWCacc add geo C_Europe locale zh_TW locale zh_TW.BIG5 locale zh_TW.UTF-8 locale zh_HK.UTF-8 locale zh_HK.BIG5HK locale zh locale zh_CN.GB18030 locale zh_CN.GBK locale zh_CN.UTF-8 |
次のプロファイルの例は、Solaris Live Upgrade でクローンシステムに差分アーカイブをインストールするためのものです。差分アーカイブで指定されているファイルだけが、追加、削除、または変更されます。Solaris フラッシュアーカイブは、NFS サーバーから取得されます。イメージは元のマスターシステムから構築されたものなので、クローンシステムのイメージの妥当性検査は行われません。このプロファイルは、Solaris Live Upgrade の luupgrade コマンドの -u オプションと -j オプション で使用します。
# profile keywords profile values # ---------------- ------------------- install_type flash_update archive_location nfs installserver:/export/solaris/archive/solarisarchive no_master_check
luupgrade コマンドによる差分アーカイブのインストールについては、「プロファイルを使用した Solaris フラッシュアーカイブのインストール (コマンド行インタフェース)」を参照してください。
プロファイルを作成したら、luupgrade コマンドを使用してプロファイルをテストします。luupgrade が生成するインストール出力を調べることによって、意図したとおりにプロファイルが動作するかをすばやく調べることができます。
プロファイルをテストする
# luupgrade -u -n BE_name -D -s os_image_path -j profile_path |
ブート環境のオペレーティングシステムイメージをアップグレードします。
アップグレード対象のブート環境の名前を指定します。
luupgrade コマンドは、選択されたブート環境のディスク構成を使用して、-j オプションと共に渡されたプロファイルオプションをテストします。
オペレーティングシステムイメージが置かれているディレクトリのパス名を指定します。このディレクトリはインストールメディア (DVD-ROM や CD-ROM など) 上でも NFS または UFS ディレクトリであってもかまいません。
アップグレード用に構成されたプロファイルのパス。プロファイルは、ローカルマシンのディレクトリに存在する必要があります。
次の例では、プロファイル名は Flash_profile です。このプロファイルは、second_disk という名前の非アクティブブート環境でのテストに成功します。
# luupgrade -u -n u1b08 -D -s /net/installsvr/export/u1/combined.u1wos \ -j /var/tmp/flash_profile Validating the contents of the media /net/installsvr/export/u1/combined.u1wos. The media is a standard Solaris media. The media contains an operating system upgrade image. The media contains Solaris version 10. Locating upgrade profile template to use. Locating the operating system upgrade program. Checking for existence of previously scheduled Live Upgrade requests. Creating upgrade profile for BE second_disk. Determining packages to install or upgrade for BE second_disk. Simulating the operating system upgrade of the BE second_disk. The operating system upgrade simulation is complete. INFORMATION: var/sadm/system/data/upgrade_cleanup contains a log of the upgrade operation. INFORMATION: var/sadm/system/data/upgrade_cleanup contains a log of cleanup operations required. The Solaris upgrade of the boot environment second_disk is complete. |
これで、プロファイルを使用して非アクティブブート環境をアップグレードできます。
ここでは、プロファイルを使用した OS のアップグレード方法を、手順を追って説明します。
プロファイルを使用して Solaris フラッシュアーカイブをインストールする場合は、「プロファイルを使用した Solaris フラッシュアーカイブのインストール (コマンド行インタフェース)」を参照してください。
プロファイルにロケールを追加した場合、ブート環境がディスク容量に余裕を持って作成されていることを確認してください。
Solaris OS を Solaris フラッシュアーカイブとともにインストールする場合は、アーカイブおよびインストール用メディアに同一の OS バージョンが含まれている必要があります。たとえば、アーカイブが Solaris 10 オペレーティングシステムで、DVD メディアを使用している場合は、Solaris 10 DVD メディアを使用してアーカイブをインストールする必要があります。OS バージョンが一致しないと、ターゲットシステムへのインストールは失敗します。次のキーワードまたはコマンドを使用する場合は、同一のオペレーティングシステムが必要です。
プロファイルの archive_location キーワード
-s、- a、-j、および -J オプションを指定した luupgrade コマンド
Solaris Live Upgrade の SUNWlur パッケージと SUNWluu パッケージをシステムにインストールします。これらのパッケージは、アップブレード先のリリースのものでなければいけません。詳細な手順については、「pkgadd コマンドを使用して Solaris Live Upgrade をインストールする方法」を参照してください。
スーパーユーザーになるか、同等の役割になります。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
プロファイルを作成します。
Solaris Live Upgrade プロファイルで使用可能なアップグレードキーワードのリストについては、「Solaris Live Upgrade で使用されるプロファイルを作成する」を参照してください。
次のコマンドを入力します。
# luupgrade -u -n BE_name -s os_image_path -j profile_path |
ブート環境のオペレーティングシステムイメージをアップグレードします。
アップグレード対象のブート環境の名前を指定します。
オペレーティングシステムイメージが置かれているディレクトリのパス名を指定します。このディレクトリはインストールメディア (DVD-ROM や CD-ROM など) 上でも NFS または UFS ディレクトリであってもかまいません。
プロファイルへのパス。プロファイルは、ローカルマシンのディレクトリに存在する必要があります。プロファイル作成についての詳細は、「Solaris Live Upgrade で使用されるプロファイルを作成する」を参照してください。
このようにして、ブート環境をアクティブにする準備が整います。
この例では、second_disk ブート環境はプロファイルを使用してアップグレードされます。-j オプションを使用して、プロファイルにアクセスします。このようにして、ブート環境をアクティブにする準備が整います。プロファイルを作成する場合は、「Solaris Live Upgrade で使用されるプロファイルを作成する」を参照してください。pkgadd コマンドは、アップブレード先のリリースの Solaris Live Upgrade パッケージを追加します。
# pkgadd -d /server/packages SUNWlur SUNWluu # luupgrade -u -n second_disk \ -s /net/installmachine/export/solarisX/OS_image \ -j /var/tmp/profile |