Solaris 10 6/06 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)

パート I Solaris のインストールおよびアップグレードの計画の概要

このパートでは、Solaris オペレーティングシステムのインストールやアップグレードの計画について説明します。

第 1 章 Solaris インストールの新機能

この章では、Solaris インストールプログラムの新機能について説明します。Solaris OS すべての機能の詳細は、『Solaris 10 の概要』を参照してください。

Solaris 10 1/06 リリースにおける Solaris インストールの新機能

この節では、Solaris 10 1/06 リリースの次のような新しいインストール機能について説明します。

非大域ゾーンをインストールしている場合の Solaris OS のアップグレード

Solaris ゾーン区分技術には、1 つの Solaris インスタンス、つまり大域ゾーンに、複数の非大域ゾーンを設定する機能があります。非大域ゾーンはアプリケーション実行環境の 1 つで、そこではプロセスがほかのすべてのゾーンから隔離されます。Solaris 10 1/06 以降のリリースでは、非大域ゾーンがインストールされたシステムが稼働している場合は、標準の Solaris アップグレードプログラムを使用してアップグレードできます。アップグレードに使用できるのは、Solaris の対話式インストールプログラムか、カスタム JumpStart です。非大域ゾーンがインストールされている場合のアップグレードには、若干の制限があります。

Solaris 対話式インストールプログラムの使用法については、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (基本編)』を参照してください。

x86: GRUB ベースのブート

Solaris 10 1/06 以降のリリースでは、オープンソースの GNU GRand Unified Boot Loader (GRUB) が x86 システムの Solaris OS に採用されています。GRUB の役割は、ブートアーカイブをシステムのメモリーにロードすることです。ブートアーカイブは、root (/) ファイルシステムがマウントされる前のシステム起動時に必要とされる重要なファイルの集合です。ブートアーカイブを使用して Solaris OS をブートします。

もっとも注目すべき変更点は、Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) が GRUB メニューに置き換えられたことです。GRUB メニューにより、システムにインストールされている別のオペレーティングシステムのブートが容易になります。GRUB メニューは x86 システムのブート時に表示されます。矢印キーを使用して、インストールする OS インスタンスを GRUB メニューから選択できます。OS インスタンスを選択しないと、デフォルトの OS インスタンスがブートします。

GRUB ベースのブート機能により、次の点が改善されます。

GRUB の詳細については、次の節を参照してください。

作業 

GRUB の作業 

参照先 

インストール 

GRUB ベースのブートの概要 

「x86: GRUB ベースのブート (概要)」

GRUB ベースのブートのインストール計画 

「x86: GRUB ベースのブート (計画)」

GRUB メニューを使用したネットワーク経由のブートおよびインストール方法 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』「DVD イメージを使用した、ネットワークからのブートとインストール」

GRUB メニューとカスタム JumpStart インストール方式によるブートおよびインストール方法 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』「カスタム JumpStart インストールの実行」

GRUB メニューと Solaris Live Upgrade を使用して、ブート環境をアクティブ化およびフォールバックする方法 

GRUB メニューの menu.lst ファイルの検出

「x86: GRUB メニューの menu.lst ファイルの検出 (作業)」

システム管理 

GRUB メニューによるシステム管理作業の実行方法 


注 –

GNU は、「GNU's Not UNIX」の再帰的頭字語です。詳細については、http://www.gnu.org を参照してください。


Solaris リリースのアップグレードサポートの変更

Solaris 10 1/06 以降のリリースは、Solaris 8、9、または 10 リリースからアップグレード可能です。Solaris 7 リリースからのアップグレードはサポートされていません。

Solaris 10 3/05 リリースにおける Solaris インストールの新機能

この節では、Solaris 10 3/05 リリースの次のような新しいインストール機能について説明します。

インストール手順の統一を含めた Solaris インストールの変更

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris OS のインストールにいくつかの変更が加えられ、より簡単で統一された方法でインストールできます。

変更内容は次のとおりです。


注 –

GUI またはコンソールを使用しない Solaris カスタム JumpStartTM インストール方式には変更はありません。


OS をインストールするには、Solaris Software - 1 CD または Solaris Operating System DVD を挿入してから、次のいずれかのコマンドを入力します。

新しい text ブートオプションのある CD または DVD メディアを使用して Solaris OS をインストールする方法について

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (基本編)』

CD メディアによるインストールサーバーの設定方法の変更について 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』

GUI インストールまたはコンソールベースのインストールを利用する

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、ソフトウェアのインストールに GUI を使用するか、ウィンドウ表示環境を使用するか、またはウィンドウ表示環境を使用しないかを選択できます。メモリーが十分な場合は、デフォルトで GUI が表示されます。メモリー不足により GUI を表示できない場合はデフォルトで別の環境が表示されます。nowin または text ブートオプションを使用して、デフォルト設定に優先させることができます。ただし、システムのメモリー量による制限や、リモートでインストールする場合の制限があります。また、ビデオアダプタが検出されない場合、Solaris インストールプログラムは自動的にコンソールベースの環境で表示されます。

具体的なメモリー要件については、「システム要件と推奨事項」を参照してください。

カスタム JumpStart インストールのパッケージとパッチの機能拡張

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、カスタム JumpStart インストール方式を使用して Solaris OS をインストールおよびアップグレードした場合、新しくカスタマイズすることで次のことが可能になります。

詳細は、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』を参照してください。

インストール時に複数のネットワークインタフェースを構成する

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris インストールプログラムを使用してインストール時に複数のインタフェースを構成できます。これらのインタフェースは、システムの sysidcfg ファイルに事前に構成できます。また、インストール時に構成することもできます。詳細については、次のドキュメントを参照してください。

SPARC: 64 ビットパッケージに関する変更点

以前の Solaris リリースでは、Solaris ソフトウェアは 32 ビットコンポーネントと 64 ビットコンポーネントがそれぞれ別のパッケージで提供されていました。Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、パッケージが簡略化され、32 ビットコンポーネントと 64 ビットコンポーネントのほとんどが 1 つのパッケージで配布されています。統合されたパッケージでは、元の 32 ビットパッケージの名前がそのまま使用されています。64 ビットパッケージは提供されなくなりました。

64 ビットパッケージがなくなったことで、インストールが簡素化され、パフォーマンスも向上します。

64 ビットパッケージの名前は、次の規則に従って変更されます。

このため、カスタム JumpStart スクリプトやほかのパッケージインストールスクリプトで 64 ビットパッケージを参照している場合は、これらのスクリプトを変更して参照を削除する必要があります。

カスタム JumpStart インストール方式による新しいブート環境の作成

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris オペレーティングシステムをインストールする場合に、JumpStart インストール方式を使用して空のブート環境を作成できます。空のブート環境には、必要なときに備えて Solaris フラッシュアーカイブを格納しておくことができます。

詳細については、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の第 11 章「カスタム JumpStart (リファレンス)」を参照してください。

限定ネットワークソフトウェアグループ

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、インストール時に限定ネットワークソフトウェアグループ (SUNWCrnet) を選択または指定することにより、有効なネットワークサービスが少なくても、よりセキュリティー保護されたシステムを構築できます。限定ネットワークソフトウェアグループでは、システム管理ユーティリティーとマルチユーザーのテキストベースコンソールが利用できます。SUNWCrnet は、ネットワークインタフェースを有効にします。インストール時に、ソフトウェアパッケージを追加したり、必要に応じてネットワークサービスを使用可能にすることによって、システムの構成をカスタマイズすることができます。

詳細は、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』を参照してください。

Virtual Table of Contents を使用してディスクパーティションテーブルを変更する

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris インストールプログラムにより、Virtual Table of Contents (VTOC) から既存のスライスをロードできます。インストーラのデフォルトのディスクレイアウトを使用するのではなく、インストール時にシステムの既存のディスクスライステーブルをそのまま使用できるようになりました。

x86: デフォルトブートディスクパーティションレイアウトの変更

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris インストールプログラムの新機能として、ブートディスクパーティションレイアウトが採用されています。ブートディスクパーティションのデフォルトのレイアウトは、Sun x86 ベースのシステムのサービスパーティションと調和します。このインストールプログラムを使用すれば、既存のサービスパーティションをそのまま使用できます。

デフォルトのブートディスクレイアウトには、次のパーティションが含まれます。

このデフォルトのレイアウトを使用する場合は、Solaris インストールプログラムからブートディスクレイアウトの選択を要求されたときに、「デフォルト」を選択します。


注 –

サービスパーティションが現在作成されていないシステムに Solaris OS x86 ベースのシステムをインストールすると、Solaris インストールプログラムは新しいサービスパーティションを作成しません。このシステムにサービスパーティションを作成するには、最初にシステムの診断 CD を使用してサービスパーティションを作成してください。サービスパーティションを作成してから、Solaris オペレーティングシステムをインストールします。

サービスパーティションの作成方法の詳細は、ハードウェアのマニュアルを参照してください。


詳細は、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』を参照してください。

第 2 章 Solaris のインストールおよびアップグレード (ロードマップ)

この章では、Solaris オペレーティングシステム (OS) のインストールやアップグレードを実施する前に行うべき決定に関して説明します。この章の内容は次のとおりです。


注 –

このマニュアルでは「スライス」という用語を使用しますが、一部の Solaris のマニュアルとプログラムでは、スライスのことを「パーティション」と呼んでいる場合があります。

x86: 混同を避けるため、このマニュアルでは、x86 の fdisk パーティションと、Solaris fdisk パーティション内の分割とを区別しています。x86 fdisk の分割を「パーティション」と呼びます。Solaris fdisk パーティション内の分割を「スライス」と呼びます。


作業マップ: Solaris ソフトウェアのインストールまたはアップグレード

次の作業マップは、任意のインストールプログラムを使った Solaris OS のインストールやアップグレードに必要な作業の概要を示したものです。インストールしようとする環境にとってもっとも効率的なインストールを行うためにどういった選択をすべきかを、この作業マップを参考にして判断してください。

表 2–1 作業マップ: Solaris ソフトウェアのインストールまたはアップグレード

作業 

説明 

参照先 

初期インストールかアップグレードかを選択します。 

初期インストールまたはアップグレードのいずれかを選択します。 

「初期インストールかアップグレードか」

インストールプログラムを選択します。 

Solaris OS には、インストールまたはアップグレード用のプログラムがいくつか用意されています。使用している環境にもっとも適したインストール方法を選択してください。 

「Solaris インストール方法の選択」

(Solaris 対話式インストールプログラム) デフォルトインストールかカスタムインストールを選択します。 

環境に適したインストールの種類を決定します。 

  • グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を使用する場合は、デフォルトインストールかカスタムインストールかを選択できます。

    • デフォルトインストールでは、ハードディスク全体がフォーマットされ、事前に選択されている一連のソフトウェアがインストールされます。

    • カスタムインストールでは、ハードディスクのレイアウトを変更したり、必要なソフトウェアを選択してインストールしたりできます。

  • グラフィカルインタフェースではないテキストインストーラを使用する場合は、デフォルト値をそのまま使用するか値を編集して、インストールするソフトウェアを選択できます。

Solaris インストールプログラムの選択肢については、第 4 章「アップグレードの前に収集すべき情報 (計画)」を参照してください。

システム要件を検討します。また、ディスク容量およびスワップ空間を計画を立てて割り当てます。 

インストールまたはアップグレードの最小要件をシステムが満たしているかどうかを判断します。インストールする Solaris OS のコンポーネントに必要なディスク容量をシステムに割り当てます。システムに適したスワップ空間レイアウトを決定します。 

第 3 章「Solaris のインストールおよびアップグレード (計画)」

システムをローカル媒体からインストールするかネットワークからインストールするかを選択します。 

環境に最も適したインストール媒体を選択します。 

「ネットワークからインストールするか DVD または CD を使ってインストールするか」

システム情報を収集します。 

  • Solaris インストールプログラムの場合は、ワークシートを使って、インストールやアップグレードに必要なすべての情報を収集します。

  • カスタム JumpStart インストールの場合は、プロファイルでどのプロファイルキーワードを使用するかを決定します。キーワードの説明を確認して、システムについて必要な情報を見つけます。

(省略可能) システムパラメータを設定します。 

インストールやアップグレードの際に情報を入力する手間を省くために、システム構成情報を事前に設定しておくことができます。 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』の第 6 章「システム構成情報の事前設定 (作業)」

(省略可能) Solaris ソフトウェアをネットワークからインストールする準備を行います。 

ネットワークから Solaris ソフトウェアをインストールする方法を選択する場合は、次の作業をすべて実行してください。 

  • (x86 システム) 使用しているシステムが PXE をサポートしていることを確認します

  • インストールサーバーを作成します

  • ブートサーバーを作成します (必要な場合)

  • DHCP サーバーを構成します (必要な場合)

  • ネットワークからインストールするシステムを設定します

ローカルエリアネットワークからインストールする方法については、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』の第 9 章「CD メディアを使用したネットワークインストールの準備 (作業)」を参照してください。

広域ネットワークからインストールする方法については、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』の第 13 章「WAN ブートによるインストールの準備 (作業)」を参照してください。

(アップグレードのみ) アップグレード前に必要な作業を行います。 

システムのバックアップをとり、アップグレード時にディスク容量の再配置が行われるかを確認します。 

「アップグレード計画」

インストールまたはアップグレードを行います。 

選択した Solaris インストール方法を使って Solaris ソフトウェアのインストールまたはアップグレードを行います。 

インストールプログラムの詳細な手順を説明している章。 

インストールのトラブルシューティングを行います。 

インストールのトラブルシューティングについては、問題発生時の解決方法を参照してください。 

付録 A 「問題発生時の解決方法 (作業)」

ネットワークからインストールするか DVD または CD を使ってインストールするか

DVD-ROM または CD-ROM ドライブにアクセスできるシステムへのインストールまたはアップグレードができるように、Solaris ソフトウェアは DVD または CD メディアで配布されます。

リモートの DVD イメージまたは CD イメージを使ってネットワークからインストールするようにシステムを設定できます。次のような場合に、この方法でシステムを設定することができます。

ネットワークからインストールする場合は、どの Solaris インストール方法でも使用できます。特に、Solaris フラッシュインストール機能やカスタム JumpStart インストールを使ってネットワークからインストールを行うと、大規模の企業におけるインストールプロセスの一元化と自動化が可能になります。各インストール方法の詳細は、「Solaris インストール方法の選択」を参照してください。

ネットワークから Solaris ソフトウェアをインストールする場合は、初期設定が必要です。ネットワークからインストールする場合の準備については、次のいずれかを参照してください。

ローカルエリアネットワークからインストールする場合の準備について 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』の第 9 章「CD メディアを使用したネットワークインストールの準備 (作業)」

広域ネットワークからインストールする場合の準備について 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』の第 13 章「WAN ブートによるインストールの準備 (作業)」

PXE を使用してネットワーク経由で x86 ベースのクライアントをインストールする方法について 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』「PXE を使用したネットワーク経由のブートとインストールの概要」

初期インストールかアップグレードか

初期インストールを行うか、アップグレードを行う (Solaris OS がシステム上ですでに動作している場合) かを選択できます。

初期インストール

初期インストールでは、システムのディスクが Solaris OS の新しいバージョンで上書きされます。システム上で Solaris OS が稼動していない場合は、初期インストールを行う必要があります。

システム上で Solaris OS がすでに動作している場合でも、初期インストールを行うことができます。ローカルに行なった変更を維持する場合は、インストールを行う前にローカル変更のバックアップをとり、インストールが終わったあとでローカル変更を復元する必要があります。

初期インストールは、Solaris のどのインストール方法を使っても実行できます。Solaris のインストール方法については、「Solaris インストール方法の選択」を参照してください。

アップグレード

Solaris OS をアップグレードするには、2 つの方法があります。標準アップグレードと Solaris Live Upgrade です。標準アップグレードでは、現在の Solaris OS の既存の構成パラメータが最大限保存されます。Solaris Live Upgrade では、現在のシステムのコピーが作成されます。標準アップグレードを使用してこのコピーをアップグレードできます。リブートするだけで、アップグレード済みの Solaris OS に切り替えることができます。エラーが発生した場合、リブートして、元の Solaris OS に戻すことができます。Solaris Live Upgrade では、アップグレードの間システムを停止する必要がなく、新旧の Solaris OS 間で切り替えることができます。

アップグレードの詳細と、さまざまなアップグレード方法の一覧については、「アップグレード計画」を参照してください。

Solaris インストール方法の選択

Solaris OS には、インストールまたはアップグレード用のプログラムがいくつか用意されています。それぞれのインストール方法には、特定のインストール要件やインストール環境を意図したさまざまな機能があります。使用するインストール方法を選択するには、次の表を利用してください。

表 2–2 インストール方法の選択

作業 

インストール方法 

各プログラムの特長 

参照先 

対話式プログラムを使用して、CD-ROM または DVD-ROM から 1 つのシステムをインストールします。 

Solaris インストールプログラム 

  • このプログラムでは、作業をパネル単位に分割し、情報の入力を求めるプロンプトを表示して、デフォルト値を提供します。

  • このプログラムは、複数のシステムをインストールまたはアップグレードする必要がある場合には効率のよい方法ではありません。複数のシステムをバッチインストールする場合は、カスタム JumpStart または Solaris フラッシュインストール機能を使用してください。

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (基本編)』

ローカルエリアネットワークを介して 1 つのシステムをインストールします。 

ネットワーク経由の Solaris インストールプログラム 

このプログラムを使用すると、インストールするソフトウェアのイメージをサーバーに設定し、このイメージをリモートシステムにインストールできます。複数のシステムをインストールする必要がある場合は、カスタム JumpStart および Solaris フラッシュインストール方式でネットワークインストールイメージを使用すると、ネットワーク上でシステムを効率的にインストールおよびアップグレードできます。 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』のパート II「ローカルエリアネットワーク経由のインストール」

複数のシステムのインストールやアップグレードを、作成したプロファイルに基づいて自動化します。 

カスタム JumpStart 

このプログラムを使用すると、複数のシステムを効率的にインストールできます。ただし、システムの数が少ない場合は、カスタム JumpStart 環境の作成は時間の浪費になる可能性があります。システムの数が少ない場合は、Solaris 対話式インストールプログラムを使用してください。 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の第 6 章「カスタム JumpStart インストールの準備 (作業)」

同じソフトウェアおよび構成を複数のシステムに複製します。 

Solaris フラッシュアーカイブ

  • このプログラムを使用すると、Solaris パッケージすべてを一度にシステムにインストールすることで時間を節約できます。ほかのプログラムでは、各 Solaris パッケージを個別にインストールし、パッケージごとにパッケージマップをアップグレードします。

  • Solaris フラッシュアーカイブはサイズの大きいファイルであるため、大量のディスク容量が必要です。別のインストール構成を管理したり、使用しているインストール構成を変更したりするには、カスタム JumpStart インストールの使用を検討することをお勧めします。代わりに、JumpStart 終了スクリプトまたは、組み込まれている Solaris フラッシュ配備後スクリプトを使用して、システム固有のカスタマイズを実行できます。

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)』の第 1 章「Solaris フラッシュ (概要)」

広域ネットワーク (WAN) またはインターネットを介してシステムをインストールします。 

WAN ブート 

ネットワーク経由で Solaris フラッシュアーカイブをインストールする場合は、このプログラムを使用するとセキュリティー保護されたインストールが可能です。 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』の第 11 章「WAN ブート (概要)」

システムを稼働させたままアップグレードを行います。 

Solaris Live Upgrade 

  • このプログラムを使用すると、アップグレードするかパッチを追加して、標準アップグレードに関連したシステム停止時間が発生するのを避けることができます

  • このプログラムを使用すると、現行の OS に影響を与えずにアップグレードまたは新しいパッチのテストをすることができます

第 6 章「Solaris Live Upgrade (概要)」

Solaris OS のインストール後に、隔離されたアプリケーション環境を作成します。 

Solaris ゾーン区分技術 

このプログラムを使用すると、隔離された非大域ゾーンが作成され、セキュリティー保護されたアプリケーション環境が提供されます。このように隔離されているので、あるゾーンで実行中のプロセスが、ほかのゾーンで実行中のプロセスから監視または操作されることがありません。 

『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 16 章「Solaris ゾーンの紹介」

Sun Java System Application Server Platform Edition 8

Sun Java System Application Server Platform Edition 8 では、アプリケーションサービスや Web サービスを幅広く配置できます。このソフトウェアは、Solaris OS とともに自動的にインストールされます。このサーバーについては、次のようなマニュアルがあります。

サーバーの起動に関するマニュアル 

インストールディレクトリの /docs/QuickStart.html にある『Sun Java System Application Server Platform Edition 8 クイックスタートガイド』を参照してください

Application Server のマニュアルセット一式 

http://docs.sun.com/db/coll/ApplicationServer8_04q2

チュートリアル 

http://java.sun.com/j2ee/1.4/docs/tutorial/doc/index.html

第 3 章 Solaris のインストールおよびアップグレード (計画)

この章では、Solaris OS のインストールやアップグレードに伴うシステム要件について説明します。また、ディスク容量の計画に関しての一般的な指針や、スワップ空間のデフォルトの割り当てについても説明します。この章の内容は次のとおりです。

システム要件と推奨事項

表 3–1 メモリー、スワップ、およびプロセッサの推奨事項

要件の種類 

サイズ 

インストールやアップグレードに必要なメモリー 

  • SPARC: 推奨サイズは 256M バイトです。最小サイズは 128M バイトです。

  • x86: 推奨サイズは 512M バイトです。最小サイズは 256M バイトです。


注 –

オプションのインストール機能の中には、メモリーが十分でないと有効にできないものもあります。たとえば、メモリーが足りないシステムに DVD からインストールする場合、Solaris インストールの GUI ではなく、テキストインストーラを使用する必要があります。これらのメモリー要件については、表 3–2 を参照してください。


スワップ領域 

デフォルトのサイズは 512M バイトです。 


注 –

スワップ空間をカスタマイズする必要が生じることもあります。スワップ空間は、システムのハードディスクのサイズに基づいて決まります。


プロセッサ要件 

  • SPARC: 200 MHz 以上のプロセッサが必要です。

  • x86: 120 MHz 以上のプロセッサを推奨します。ハードウェアによる浮動小数点サポートが必要です。

ソフトウェアをインストールするときに、GUI を使用する方法、ウィンドウ表示環境を使用する方法、またはウィンドウ表示環境を使用しない方法を選択できます。十分なメモリーがある場合は、デフォルトで GUI が表示されます。GUI を表示できるだけの十分なメモリーがない場合は、ほかの環境が表示されます。nowin または text ブートオプションを使用して、デフォルト設定に優先させることができます。ただし、システムのメモリー量による制限や、リモートでインストールする場合の制限があります。また、ビデオアダプタが検出されない場合、Solaris インストールプログラムは自動的にコンソールベースの環境で表示されます。表 3–2 に、これらの環境と、その表示に必要な最小メモリー要件を示します。

表 3–2 表示オプションとメモリー要件

メモリー 

インストールの種類 

説明 

  • SPARC: 128 〜 383M バイト

  • x86: 256 〜 511M バイト

テキストベース 

画像は含まれませんが、ウィンドウとほかのウィンドウを開く機能が提供されます。 

text ブートオプションを使用している場合でシステムに十分なメモリーがあるときは、ウィンドウ表示環境でインストールされます。tip ラインを介してリモートでインストールする場合や、nowin ブートオプションを使用してインストールする場合は、コンソールベースのインストールに限定されます。

  • SPARC: 384M バイト以上

  • x86: 512M バイト

GUI ベース 

ウィンドウ、プルダウンメニュー、ボタン、スクロールバー、およびアイコン画像が提供されます。 

ディスク容量とスワップ空間の割り当て

Solaris ソフトウェアをインストールする前に、ディスク容量の計画をたてて、システムに十分なディスク容量があるかどうかを調べることができます。

ディスク容量に関する一般的な計画と推奨事項

ディスク容量の計画のたて方は、ユーザーによって異なります。必要に応じて、次の条件に基づいて割り当てる容量を考慮に入れてください。

表 3–3 ディスク容量とスワップ空間に関する一般的な計画

容量割り当ての条件 

説明 

ファイルシステム 

ファイルシステムを割り当てる場合には、将来の Solaris バージョンにアップグレードするときのために、現在必要な容量よりも 30% 多く割り当ててください。 

デフォルトでは、ルート(/) とスワップ領域 (/swap) だけが作成されます。OS サービスのためにディスク容量が割り当てられたときは、/export ディレクトリも作成されます。Solaris のメジャーリリースにアップグレードする場合は、システムのスライスを切り直すか、インストール時に必要な容量の 2 倍を割り当てる必要があります。Solaris Update にアップグレードする場合は、将来のアップグレードに備えて余分のディスク容量を追加しておけば、システムのスライスを切り直す手間を軽減できます。Solaris Update リリースにアップグレードするたびに、直前のリリースに比べておよそ 10% のディスク容量が追加で必要になります。ファイルシステムごとに 30% のディスク容量を追加しておくと、Solaris Update を数回追加できます。

/var ファイルシステム

クラッシュダンプ機能 savecore(1M) を使用する場合は、/var ファイルシステムの容量を物理メモリーの倍のサイズに設定します。

スワップ 

次のような条件では、Solaris インストールプログラムはデフォルトのスワップ領域 (512M バイト) を割り当てます。 

  • インストールプログラムによるディスクスライスの自動配置機能を使用する場合

  • スワップスライスのサイズを手作業で変更しない場合

デフォルトでは、Solaris インストールプログラムは、利用可能な最初のディスクシリンダ (SPARC システムでは通常シリンダ 0) でスワップが開始されるようにスワップ空間を割り当てます。この配置によって、デフォルトのディスクレイアウト時にはルート (/) ファイルシステムに最大のスワップ空間を割り当てることができ、アップグレード時にはルート (/) ファイルシステムを拡張できます。

将来スワップ領域を拡張することを考えている場合、次のいずれかの手順を実行してスワップスライスを配置することにより、別のディスクシリンダでスワップスライスを開始できます。 

  • Solaris インストールプログラムの場合、シリンダモードでディスクレイアウトをカスタマイズして、スワップスライスを目的の位置に手動で割り当てることができます。

  • カスタム JumpStart インストールプログラムの場合、プロファイルファイル内でスワップスライスを割り当てることができます。JumpStart プロファイルファイルの詳細は、 『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』「プロファイルの作成」を参照してください。

スワップ空間の概要については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 21 章「追加スワップ空間の構成 (手順)」を参照してください。

ホームディレクトリファイルシステムを提供するサーバー 

ホームディレクトリは、通常デフォルトで /export ファイルシステムにあります。

インストールする Solaris ソフトウェアグループ 

ソフトウェアグループはソフトウェアパッケージの集まりです。ディスク容量を計画する際には、選択したソフトウェアグループから個々のソフトウェアパッケージを個別に追加したり削除したりできることを覚えておいてください。ソフトウェアグループについては、「ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量」を参照してください。

アップグレード 

言語サポート 

中国語、日本語、韓国語などです。単一の言語をインストールする場合は、約 0.7G バイトのディスク容量をその言語用に追加して割り当ててください。すべての言語サポートをインストールする場合は、インストールするソフトウェアグループに応じて、最大で約 2.5G バイトのディスク容量を言語サポート用に追加して割り当てる必要があります。 

印刷やメールのサポート 

容量を追加します。 

追加ソフトウェアやサードパーティーソフトウェア 

容量を追加します。 

ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量

Solaris ソフトウェアグループは Solaris パッケージの集まりです。それぞれのソフトウェアグループには、異なる機能やハードウェアドライバのサポートが含まれています。

Solaris ソフトウェアのインストール時には、選択した Solaris ソフトウェアグループに対してパッケージを追加したり、削除したりすることができます。追加や削除するパッケージを選択する際には、ソフトウェアの依存関係や Solaris ソフトウェアがどのようにパッケージされているかを知っている必要があります。

次の図は、ソフトウェアパッケージのグループを示しています。限定ネットワークシステムサポートには、最小限の数のパッケージが含まれています。全体ディストリビューションと OEM サポートには、すべてのパッケージが含まれています。

図 3–1 Solaris ソフトウェアグループ

この図については本文中で説明しています。

表 3–4 に、各 Solaris ソフトウェアグループごとの、インストールに必要な推奨ディスク容量を示します。


注 –

表 3–4 に示す推奨ディスク容量には、次の項目のための容量が含まれています。

ソフトウェアグループに必要なディスク容量が、この表に一覧表示されている容量より少ない場合もあります。


表 3–4 ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量

ソフトウェアグループ 

説明 

推奨ディスク容量 

全体ディストリビューションと OEM サポート 

全体ディストリビューションのパッケージに加え、追加のハードウェアドライバが含まれています。これには、インストール時にシステムに存在していないハードウェアのドライバも含まれます。 

6.8G バイト 

全体ディストリビューション 

開発者システムサポートのパッケージに加え、サーバーに必要な追加のソフトウェアが含まれています。 

6.7G バイト 

開発者システムサポート 

エンドユーザーシステムサポートのパッケージに加え、ソフトウェア開発用の追加のサポートが含まれています。ソフトウェア開発のサポートとして、ライブラリ、インクルードファイル、マニュアルページ、プログラミングツールなどが追加されています。ただし、コンパイラは含まれていません。 

6.6G バイト 

エンドユーザーシステムサポート 

ネットワークに接続された Solaris システムと共通デスクトップ環境 (CDE) の起動と実行に必要な最小限のコードを提供するパッケージが含まれています。 

5.3G バイト 

コアシステムサポート 

ネットワークに接続された Solaris システムの起動と実行に必要な最小限のコードを提供するパッケージが含まれています。 

2.0G バイト 

限定ネットワークシステムサポート 

ネットワークサービスのサポートが制限された Solaris システムを起動および実行するために必要な最小限のコードを提供するパッケージが含まれています。限定ネットワークシステムサポートは、テキストベースのマルチユーザーコンソールと、システム管理ユーティリティーを提供します。このソフトウェアグループを使用すると、システムでネットワークインタフェースを認識できますが、ネットワークサービスがアクティブになることはありません。 

2.0G バイト 

アップグレード計画

システムをアップグレードするには、3 つの方法があります。Solaris Live Upgrade、Solaris インストールプログラム、およびカスタム JumpStart です。

表 3–5 Solaris のアップグレード方法

現在の Solaris OS 

Solaris のアップグレード方法 

Solaris 8、Solaris 9、および Solaris 10 

  • Solaris Live Upgrade – 稼働中のシステムのコピーを作成し、それをアップグレードすることでシステムをアップグレードします

  • Solaris インストール - グラフィカルユーザーインタフェースまたはコマンド行インタフェースを使用して対話形式でアップグレードを行うことができます

  • カスタム JumpStart – 自動アップグレードを行うことができます

アップグレードに関する制限事項

問題 

説明 

別のソフトウェアグループへのアップグレード 

システムのソフトウェアグループを、アップグレード時に別のソフトウェアグループに変更することはできません。たとえば、システムにエンドユーザーシステムサポートソフトウェアグループがインストールされている場合には、開発者システムサポートソフトウェアグループにアップグレードするオプションはありません。ただし、アップグレード中に、インストール済みのソフトウェアグループに属していないソフトウェアをシステムに追加することはできます。 

非大域ゾーンがインストールされている場合のアップグレード 

Solaris OS をアップグレードするときに、非大域ゾーンがインストールされているシステムをアップグレードできます。Solaris 対話式インストールプログラムとカスタム JumpStart プログラムにより、アップグレードが可能です。アップグレードする場合の制限については、「システムに Solaris ゾーンがインストールされている場合のアップグレード」を参照してください。

Veritas ファイルシステムでのアップグレード 

Solaris 対話式インストールプログラムとカスタム JumpStart プログラムでは、次のような条件で Veritas VxVM ファイルシステムを使用している場合、システムをアップグレードする機会が与えられません。 

  • アップグレードするルートファイルシステムが Veritas の制御下にある場合。たとえば、ルート (/) ファイルシステムが /dev/vx/... デバイスにマウントされている場合。

  • Veritas の制御下にある任意のファイルシステムに何らかの Solaris ソフトウェアがインストールされている場合。たとえば、/usr ファイルシステムが /dev/vx/... デバイスにマウントされている場合。

Veritas VxVM が構成されている場合にアップグレードを行うには、次のいずれかの方法を使用します。 

アップグレードプログラム

Solaris インストールプログラムによる標準の対話式アップグレードか、カスタム JumpStart インストールによる無人アップグレードを実行できます。Solaris Live Upgrade を使用すると、稼働中のシステムをアップグレードできます。

アップグレードプログラム 

説明 

参照先 

Solaris Live Upgrade 

現在稼働中のシステムのコピーを作成することができます。このコピーはアップグレード可能で、リブートすると、アップグレードしたコピーが稼動システムになります。Solaris Live Upgrade を使用すると、Solaris OS のアップグレードに必要なシステム停止時間を短縮できます。また、Solaris Live Upgrade では、アップグレードに関連する問題も回避できます。たとえば、アップグレード中に電源障害が発生すると、アップグレードを回復することができなくなります。しかし、Solaris Live Upgrade では、現在実行中のシステムではなく、コピーをアップグレードするので、この問題は起こりません。 

Solaris Live Upgrade を使用する場合、ディスク容量割り当ての計画については、「Solaris Live Upgrade の要件」を参照してください。

Solaris インストールプログラム 

対話式 GUI のガイドに従ってアップグレードを実行できます。 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (基本編)』の第 2 章「Solaris インストールプログラムによるインストール (作業)」

カスタム JumpStart プログラム 

自動アップグレードを行うことができます。プロファイルファイルを使用し、必要に応じてプリインストールスクリプトやポストインストールスクリプトも使用して、必要な情報を指定します。アップグレード用にカスタム JumpStart プロファイルを作成するときは、install_type upgrade を指定します。さらに、実際にアップグレードを行う前に、システムの現在のディスク構成およびシステムに現在インストールされているソフトウェアに対して、カスタム JumpStart プロファイルが目的どおりのことを実行しようとしているかを確認する必要があります。アップグレードしようとしているシステム上で、pfinstall - D コマンドを実行して、プロファイルをテストします。ディスク構成ファイルを使用してアップグレード用プロファイルをテストすることはできません。

アップグレードの代わりに Solaris フラッシュアーカイブをインストールする

Solaris フラッシュのインストール機能では、マスターシステムからインストール全体のコピーを作成し、これを多数のクローンシステムに複製できます。このコピーは Solaris フラッシュアーカイブと呼ばれます。アーカイブは、どのインストールプログラムを使用してもインストールできます。


注意 – 注意 –

非大域ゾーンがインストールされていると、Solaris フラッシュアーカイブは正常に作成されません。Solaris フラッシュ機能には Solaris ゾーン区分技術との互換性はありません。Solaris フラッシュアーカイブを作成する場合、そのアーカイブの配備条件が次のいずれかの場合は、作成されたアーカイブは正しくインストールされません。


ディスク容量の再配置を使用するアップグレード

Solaris インストールプログラムのアップグレードオプションとカスタム JumpStart プログラムの upgrade キーワードはどちらも、ディスク容量の再配置機能を提供します。この再配置により、ディスクスライスのサイズが自動的に変更されます。アップグレードするのに十分な容量が現在のファイルシステムにない場合、ディスク容量を割り当て直すことができます。たとえば、アップグレードに伴ってファイルシステムの容量を増やす必要があるのは、次のような場合です。

自動配置機能を使用すると、ファイルシステムに必要な容量を確保するようにディスク容量の再配置が行われます。自動配置機能では、デフォルトの制約にもとづいて容量の再配置が試みられます。このため、この機能によって容量の再配置が行われない場合は、ファイルシステムの制約を変更する必要があります。


注 –

自動配置機能には、ファイルシステムの容量を増やす能力はありません。自動配置機能では、次の処理によって容量の再配置が行われます。

  1. 変更の必要なファイルシステム上の必須ファイルをバックアップする。

  2. ファイルシステムの変更にもとづいてディスクパーティションを再分割する。

  3. アップグレードの前にバックアップファイルを復元する。


アップグレード時のパッチアナライザの使用

最初の Solaris 10 3/05 リリースに続く次のいずれかのリリースにアップグレードする場合に、パッチアナライザはシステムの解析を実行します。

すでに Solaris OS を実行していて、個別のパッチをインストール済みの場合、以降の Solaris 10 リリースにアップグレードしたときの動作は次のとおりです。

パッチアナライザを使用すると、削除されるパッチがどれであるかを判断できます。パッチアナライザの詳しい使用方法については、付録 C 「アップグレード時のパッチアナライザの使用 (作業)」を参照してください。

アップグレード前のシステムのバックアップ

Solaris OS のアップグレードを行う前に、既存のファイルシステムのバックアップを行うことを強くお勧めします。ファイルシステムをテープなどのリムーバブルメディアにコピーすれば、データの損失や損傷、破壊などを防止できます。

システムで動作している Solaris OS のバージョンを確認する方法

システムで動作している Solaris のバージョンを確認するには、次のどちらかのコマンドを入力します。


$ uname -a

cat コマンドを使用すると、より詳細な情報が得られます。


$ cat /etc/release

ロケールの値

インストールの一部として、システムで使用するロケールの事前構成を行うことができます。「ロケール」によって、オンライン情報を特定の言語と地域で表示する方法が決まります。また、日付と時間の表記、数字や通貨、綴りなどの地域的差異を表すために、1 つの言語に対して複数のロケールが存在することもあります。

システムのロケールを事前構成するには、カスタム JumpStart プロファイルか sysidcfg ファイルを使用します。

プロファイルでのロケールの設定 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』「プロファイルの作成」

sysidcfg ファイルでのロケールの設定

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』「sysidcfg ファイルによる事前設定」

ロケール値の一覧 

『国際化対応言語環境の利用ガイド』

プラットフォーム名とグループ

ネットワークインストールでクライアントを追加するときには、システムアーキテクチャー (プラットフォームグループ) を知る必要があります。カスタム JumpStart インストールで rules ファイルを作成するときには、プラットフォーム名を知る必要があります。

プラットフォーム名とプラットフォームグループの例を下記の表に示します。SPARC システムの完全な一覧については、『Solaris Sun ハードウェアマニュアル 』(http://docs.sun.com/) を参照してください。

表 3–6 プラットフォーム名とプラットフォームグループの例

システム 

プラットフォーム名 

プラットフォームグループ 

Sun Fire 

T2000 

sun4v 

Sun BladeTM

SUNW,Sun-Blade-100 

sun4u 

x86 ベース 

i86pc 

i86pc 


注 –

システムが動作している場合、システムのプラットフォーム名は uname -i コマンドで、システムのプラットフォームグループは uname -m コマンドで、それぞれ調べることもできます。


システムに Solaris ゾーンがインストールされている場合のアップグレード

この節では、Solaris ゾーン区分技術の簡略な概要、非大域ゾーンがインストールされている場合のアップグレードの概要、およびディスク容量計画のガイドラインについて説明します。

ゾーンの概要、計画、作成、および構成の詳細については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 16 章「Solaris ゾーンの紹介」を参照してください。

Solaris ゾーン区分技術は、オペレーティングシステムサービスを仮想化し、安全で隔離されたアプリケーション実行環境を提供します。非大域ゾーンは、Solaris OS の 1 つのインスタンス内で作成される、仮想化されたオペレーティングシステム環境です。非大域ゾーンを作成すると、アプリケーション実行環境が生成されます。このアプリケーション実行環境内のプロセスは、システムのほかの部分から隔離されます。このように隔離されているので、ある非大域ゾーンで実行中のプロセスが、ほか の非大域ゾーンで実行中のプロセスから監視または操作されることがありません。スーパーユーザー資格で実行されているプロセスであっても、ほかのゾーンの活動を監視したり操作したりすることはできません。また、非大域ゾーンにより、アプリケーションを配備するマシンの物理的属性からアプリケーションを分離する抽象層も提供されます。このような属性の例として、物理デバイスパスがあります。

各 Solaris システムには大域ゾーンが 1 つ含まれています。大域ゾーンは 2 つの機能を持っています。大域ゾーンは、システムのデフォルトのゾーンであり、システム全体の管理に使用されるゾーンでもあります。大域管理者が非大域ゾーンを作成した場合を除き、すべてのプロセスが大域ゾーンで実行されます。非大域ゾーンの構成、インストール、管理、およびアンインストールは、大域ゾーンからのみ行うことができます。システムハードウェアから起動できるのは、大域ゾーンだけです。物理デバイス、ルーティング、動的再構成 (DR) といったシステムインフラストラクチャーの管理は、大域ゾーンでのみ行うことができます。大域ゾーンで実行されるプロセスは、適切な権限が付与されていれば、非大域ゾーンに関連付けられているオブジェクトにもアクセスできます。

非大域ゾーンを含むアップグレード

Solaris OS をインストールした後、非大域ゾーンをインストールして構成することができます。Solaris OS をアップグレードする準備が完了したら、非大域ゾーンがインストールされているシステムをアップグレードできます。Solaris 対話式インストールプログラムとカスタム JumpStart プログラムにより、アップグレードが可能です。

表 3–7 非大域ゾーンを含むアップグレードでの制約

プログラムまたは条件 

説明 

Solaris Live Upgrade 

非大域ゾーンがインストールされている場合は、Solaris Live Upgrade を使用してシステムをアップグレードすることはできません。lucreate コマンドでブート環境を作成できますが、luupgrade コマンドを使用するとアップグレードに失敗します。エラーメッセージが表示されます。

Solaris フラッシュアーカイブ 

非大域ゾーンがインストールされていると、Solaris フラッシュアーカイブは正常に作成されません。Solaris フラッシュ機能には Solaris ゾーン区分技術との互換性はありません。Solaris フラッシュアーカイブを作成する場合、そのアーカイブの配備条件が次のいずれかの場合は、作成されたアーカイブは正しくインストールされません。

  • アーカイブが非大域ゾーンに作成された場合。

  • アーカイブが、非大域ゾーンがインストールされている大域ゾーンに作成された場合。

場合によっては、-R オプションまたは同等のオプションを使用するコマンドを使用してはいけません。

次の条件がいずれも成立する場合は、コマンドに -R オプションまたは同等のオプションを使用して代替ルート (/) ファイルシステムを指定してはいけません。

  • コマンドが大域ゾーン内で実行される。

  • 代替ルート (/) ファイルシステムが非大域ゾーンにあるすべてのパスを参照する。

たとえば、pkgadd ユーティリティーに -R root_path オプションで非大域ゾーンのルート (/) ファイルシステムへのパスを指定して、大域ゾーンから実行する場合です。

代替ルート (/) ファイルシステムが指定可能なユーティリティーの一覧およびゾーンの詳細については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』「大域ゾーンから非大域ゾーンにアクセスする際の制限」を参照してください。

ゾーンを含むアップグレードを実行する前のシステムのバックアップ

アップグレードを実行する前に、Solaris システムの大域ゾーンと非大域ゾーンをバックアップしてください。ゾーンがインストールされているシステムのバックアップを作成する方法については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 25 章「Solaris のゾーン管理 (概要)」を参照してください。

非大域ゾーンのディスク容量要件

大域ゾーンをインストールするときには、作成するすべてのゾーンに十分なディスク容量を必ず確保してください。非大域ゾーンごとに、ディスク容量要件は異なる場合があります。

1 つのゾーンで消費できるディスク容量に制限はありません。容量制限は大域ゾーンの管理者が行います。単一プロセッサの小規模なシステムでも、多数のゾーンを同時に実行できます。非大域ゾーンを作成するときの容量要件は、大域ゾーンにインストールされたパッケージの種類によって異なります。パッケージ数と容量要件がその要因になります。

計画の要件と推奨事項の詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 18 章「非大域ゾーンの計画と構成 (手順)」を参照してください。

x86: パーティション分割に関する推奨事項

x86 システムで Solaris OS を使用する場合は、次のガイドラインに従ってシステムのパーティション分割を行ってください。

Solaris インストールでは、デフォルトブートディスクパーティションレイアウトが使用されます。これらのパーティションは、fdisk パーティションと呼ばれます。fdisk パーティションは、x86 ベースのシステム上にある特定のオペレーティングシステム専用のディスクドライブの論理パーティションです。Solaris ソフトウェアをインストールするには、x86 システム上に 1 つ以上の Solaris fdisk パーティションを設定する必要があります。x86 ベースのシステムでは、1 台のディスクに最大 4 つの fdisk パーティションを作成できます。これらのパーティションは、個別のオペレーティングシステムをインストールして使用できます。各オペレーティングシステムは、独自の fdisk パーティション上に存在しなければなりません。個々のシステムの Solaris fdisk パーティションの数は、1 台のディスクにつき 1 つに限られます。

表 3–8 x86: デフォルトのパーティション

パーティション 

パーティション名 

パーティションサイズ 

第 1 パーティション (一部のシステムのみ) 

診断・サービスパーティション 

システムに既存のサイズ 

2 番目のパーティション (一部のシステムのみ) 

x86 ブートパーティション 

  • 初期インストールの場合は、このパーティションは作成されません。

  • アップグレードするときに、使用しているシステムに既存の x86 ブートパーティションがない場合は、このパーティションは作成されません。

  • アップグレードするときに、システムに x86 ブートパーティションがある場合:

    • あるブートデバイスから別のブートデバイスにブートストラップするためにパーティションが必要な場合は、x86 ブートパーティションがシステムに保持されます。

    • 追加のブートデバイスのブートにパーティションが不要な場合は、x86 ブートパーティションは削除されます。パーティションの内容は、ルートパーティションに移されます。

第 3 パーティション 

Solaris OS パーティション 

起動ディスクの残りの領域 

デフォルトブートディスクパーティションレイアウトで保持されるサービスパーティション

Solaris インストールプログラムは、デフォルトのブートディスクパーティションレイアウトを使って、診断・サービスパーティションに対応することができます。システムに診断・サービスパーティションが含まれている場合、デフォルトブートディスクパーティションレイアウトを使用して、このパーティションを保持できます。


注 –

診断・サービスパーティションを含まないシステムに x86 版 Solaris OS をインストールする場合、インストールプログラムは、デフォルトでは新たに診断・サービスパーティションを作成しません。システムに診断・サービスパーティションを作成する場合は、ハードウェアのマニュアルを参照してください。


第 4 章 アップグレードの前に収集すべき情報 (計画)

この章には、システムのアップグレードに必要な情報の収集に役立つワークシートが含まれています。

アップグレード用のチェックリスト

Solaris OS の標準アップグレードに必要な情報を収集するには、次のチェックリストを使用します。チェックリストに記載されているすべての情報を収集する必要はありません。使用するシステムに関連する情報だけを収集してください。アップグレードをネットワークを使用して行う場合は、インストールプログラムが現在のシステム構成から情報を取得します。

ホスト名や IP アドレスのような、システムの基本的な識別情報は変更できません。インストールプログラムによってシステムの基本的な識別情報を入力するように求められる場合がありますが、元の値を入力する必要があります。Solaris インストール プログラムを使用してアップグレードする場合は、そのような値のいずれかを変更しようとするとアップグレードは失敗します。

表 4–1 アップグレード用のチェックリスト

アップグレード用の情報 

説明/例 

答 - アスタリスク (*) はデフォルトを示す 

ネットワーク接続 

このシステムはネットワークに接続されていますか。 

接続されている/接続されていない* 

DHCP 

このシステムでは、DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) を使ってネットワークインタフェースを構成しますか。 

DHCP はインストールに必要なネットワークパラメータを提供します。 

はい/いいえ* 

DHCP を使用しない場合は、ネットワークアドレスを書き留めます。 

IP アドレス 

DHCP を使用しない場合は、このシステムの IP アドレスを指定します。 

例: 172.31.255.255 

稼働中のシステムについてこの情報を調べるには、次のコマンドを入力します。 


# ypmatch host-name hosts
 
 

サブネット 

DHCP を使用しない場合、このシステムはサブネットの一部ですか。 

「はい」の場合は、サブネットのネットマスクを指定します。 

例: 255.255.255.0 

稼働中のシステムについてこの情報を調べるには、次のコマンドを入力します。 


# more /etc/netmasks
 
 

IPv6 

このマシンで IPv6 を使用可能にしますか。 

IPv6 は TCP/IP インターネットプロトコルの 1 つで、より強固なセキュリティーを追加し、インターネットアドレスを増やすことで、IP アドレスの指定を簡単にします。 

はい/いいえ* 

ホスト名 

このシステムのホスト名。 

稼働中のシステムについてこの情報を調べるには、次のコマンドを入力します。 


# uname -n
 

Kerberos 

このマシンに Kerberos セキュリティを構成しますか。 

「はい」の場合は、次の情報を収集します。 

はい/いいえ* 

デフォルトのレルム: 

 

管理サーバー: 

 

一次 KDC: 

 

(省略可能) 追加 KDC:

 

Kerberos サービスは、ネットワーク経由でのセキュリティー保護されたトランザクションを提供するクライアントサーバーアーキテクチャーです。 

 

システムでネームサービスを使用する場合は、次の情報を指定します。 

ネームサービス 

このシステムではどのネームサービスを使用しますか。 

稼働中のシステムについてこの情報を調べるには、次のコマンドを入力します。 


# cat /etc/nsswitch.conf

ネームサービスの情報は 1 か所に保管されているので、ユーザー、マシン、およびアプリケーションはネットワーク上で相互に通信できます。たとえば、ホスト名とアドレスまたはユーザー名とパスワードなどの情報が保管されています。 

NIS+/NIS/DNS/ LDAP/使用しない* 

ドメイン名 

システムが属するドメインの名前を指定します。 

稼働中のシステムについてこの情報を調べるには、次のコマンドを入力します。 


# domainname
 
 

NIS+ および NIS 

ネームサーバーを指定しますか、それともインストールプログラムにネームサーバーの検索を任せますか。 

ネームサーバーを指定する場合は、次の情報を指定します。 

指定/検索* 

サーバーのホスト名: 

  • NIS クライアントの場合、サーバーのホスト名を表示するには次のコマンドを入力します。


    # ypwhich
    
  • NIS+ クライアントの場合、サーバーのホスト名を表示するには次のコマンドを入力します。


    # nisping
    

サーバーの IP アドレス: 

  • NIS クライアントの場合、サーバーの IP アドレスを表示するには次のコマンドを入力します。


    # ypmatch nameserver-name hosts
    
  • NIS+ クライアントの場合、サーバーの IP アドレスを表示するには次のコマンドを入力します。


    # nismatch nameserver-name 
    hosts.org_dir
    

ネットワーク情報サービス (NIS) は、マシン名やアドレスなどのさまざまなネットワーク情報を 1 つの場所で管理することによって、ネットワーク管理を容易にするためのサービスです。 

 

DNS 

DNS サーバーの IP アドレスを指定します。DNS サーバーの IP アドレスを少なくとも 1 つ、最大 3 つまで指定します。 

 

サーバーの IP アドレス: 

サーバーの IP アドレスを表示するには、次のコマンドを入力します。 


# getents ipnodes dns

DNS 検索を行うときに検索するドメインのリストを入力できます。 

検索するドメインのリスト: 

ドメインネームシステム (DNS) は、インターネットが TCP/IP ネットワーク用に提供するネームサービスです。DNS は、ホスト名から IP アドレスに変換するサービスを提供します。DNS は、数字の IP アドレスの代わりにマシン名を使用することで、通信をより簡単にすることに焦点を合わせています。また、メール管理用のデータベースとしての働きもします。 

 

LDAP 

LDAP プロファイルに関する次の情報を指定します。 

 

プロファイル名: 

プロファイルサーバー: 

LDAP プロファイルでプロキシ資格レベルを指定した場合、この情報を収集します。 

プロキシバインドの識別名: 

 

プロキシバインドのパスワード: 

 

LDAP は、TCP/IP を介して実行するディレクトリの更新と検索のための、比較的単純なプロトコルを定義します。 

デフォルトルート 

デフォルトルート IP アドレスを指定しますか、それ とも Solaris インストール に IP アドレスの検索を任せますか。

デフォルトルートは、2 つの物理ネットワーク間のトラフィック転送用のブリッジを提供します。IP アドレスは、ネットワーク上の各ホストを識別する一意の番号です。 

次のうちから選択できます。 

  • IP アドレスを指定できます。指定された IP アドレスを使用して /etc/defaultrouter ファイルが作成されます。システムをリブートすると、指定された IP アドレスがデフォルトルートになります。

  • Solaris インストールプログラムに IP アドレスを検出させることができます。ただし、システムは、ICMP ルーター発見プロトコルを使用して自らを通知するルーターの存在するサブネット上になければなりません。コマンド行インタフェースを使用している場合は、システムの起動時に IP アドレスが検出されます。

  • ルーターが存在しない場合、または今回はソフトウェアに IP アドレスを検出させない場合は、「なし」を選択します。リブート時に、ソフトウェアが自動的に IP アドレスの検出を試みます。

指定/検索/なし* 

時間帯 

デフォルトの時間帯をどのように指定しますか。 

地域* 

GMT との時間差 

時間帯ファイル 

ルートパスワード 

システムのルートパスワードを指定します。 

 

非大域ゾーンがインストールされているシステムのアップグレード 

Solaris 10 DVD または DVD ベースのネットワークインストールイメージを使用して、非大域ゾーンがインストールされているシステムをアップグレードできます。非大域ゾーンがインストールされているシステムのアップグレードを選択する場合は、アップグレードをカスタマイズすることはできません。 


注 –

Solaris 10 6/06 リリースでは、Solaris SOFTWARE - 1 CD または Solaris Live Upgrade インストールを使用して非大域ゾーンがインストールされているシステムをアップグレードすることはできません。


使用しているシステムに複数のルート (/) パーティションまたはディスクが存在する場合、アップグレードするルートパーティションを選択するように求めるプロンプトがインストールプログラムによって表示されます。 

はい/いいえ 

 

アップグレードするルート (/): 

デフォルトインストールまたはカスタムインストール 

デフォルトのインストールを実行しますか、それともインストールをカスタマイズしますか。 

  • デフォルトインストールを選択すると、ハードディスク全体がフォーマットされ、事前に選択されている一連のソフトウェアがインストールされます。

  • カスタムインストールを選択すると、ハードディスクのレイアウトを変更したり、必要なソフトウェアを選択してインストールしたりできます。


注 –

テキストインストーラでは、「デフォルトインストール」か「カスタムインストール」かの選択は表示されません。デフォルトインストールを実行するには、テキストインストーラに表示されるデフォルト値をそのまま使用します。カスタムインストールを実行するには、テキストインストーラの画面で値を編集します。


デフォルトインストール*/カスタムインストール 

ロケール 

どの地域のサポートをインストールしますか。 

 

SPARC: 電源管理 (電源管理システムをサポートする SPARC システムの場合のみ) 

電源管理システムを使用しますか。 


注 –

使用するシステムが Energy Star バージョン 3 以降に対応している場合、このプロンプトは表示されません。


はい*/いいえ 

自動的なリブートまたは CD/DVD 取り出し 

ソフトウェアをインストールした後に自動的にリブートしますか。 

ソフトウェアをインストールした後に CD/DVD を自動的に取り出しますか。 

はい*/いいえ 

はい*/いいえ 

ディスク容量の再割り当て 

Solaris OS に対応するだけの十分なディスク容量がない場合は、ディスクレイアウトの変更を求めるプロンプトが表示されることがあります。ディスク容量は、次のいずれかの方法で再割り当てできます。 

  • インストールプログラムに、ディスク上のシステムを自動的に再配置するように指示します。

  • 新しいディスクレイアウトを手動で入力します。

デフォルトでは、インストールプログラムにより手動レイアウトが選択されます。 

はい/いいえ* 

tip ラインを介してインストールを行う場合の指示

ウィンドウ表示が横 80 桁、縦 24 行以上あるか確認します。詳細は、tip(1) のマニュアルページを参照してください。

tip ウィンドウの現在の大きさを調べるには、sttyコマンドを使用します。詳細については、stty(1) のマニュアルページを参照してください。

 

Ethernet 接続の確認 

システムがネットワークに接続されている場合は、Ethernet コネクタまたはそれに類似したネットワークアダプタがシステムに装着されていることを確認します。 

 

Solaris Live Upgrade の使用 

 

Solaris Live Upgrade をインストールする前のパッチの適用 


注意 – 注意 –

Solaris Live Upgrade を正しく操作するためには、指定の OS バージョン用の特定のパッチリビジョンのセットがインストールされている必要があります。Solaris Live Upgrade をインストールまたは実行する前に、これらのパッチをインストールする必要があります。

http://sunsolve.sun.com で最新のパッチリストを確認してください。SunSolveSM の Web サイトで、infodoc 72099 を検索してください。



x86 のみ –

このパッチのセットがインストールされていない場合、Solaris Live Upgrade は失敗し、次のエラーメッセージが表示されることがあります。次のエラーメッセージが表示されなくても、必要なパッチがインストールされていない場合があります。Solaris Live Upgrade のインストールを試みる前に、SunSolve の infodoc に記載されたすべてのパッチがすでにインストール済みであることを必ず確認してください。


ERROR: Cannot find or is not
executable: </sbin/biosdev>.
ERROR: One or more patches required
 by Live Upgrade has not been
installed.

 

Prestoserve ソフトウェアがシステムに存在するかの確認 

Prestoserve ソフトウェアを使用している場合、init 0 コマンドを使ってシステムをシャットダウンしてからアップグレードプロセスを開始すると、データが失われることがあります。シャットダウンについての説明は、Prestoserve の資料を参照してください。

 

必要なパッチの確認 

最新のパッチリストは http://sunsolve.sun.com から入手できます。

 

計画の章とほかの関連マニュアルの確認 

  • 計画について、第 3 章「Solaris のインストールおよびアップグレード (計画)」の全体または特定のセクションを参照します。

  • Solaris ご使用にあたって』やベンダーのリリースノートを参照して、使用するソフトウェアが新しい Solaris リリースでサポートされていることを確認します。

  • Sun ハードウェアマニュアル』を参照して、使用するハードウェアがサポートされていることを確認します。

  • システムに添付されている資料を参照して、使用するシステムやデバイスが Solaris リリースでサポートされていることを確認します。

 

第 5 章 x86: Solaris インストールのための GRUB ベースのブート

この章では、Solaris インストールに関連する、x86 システムでの GRUB ベースのブートについて説明します。この章の内容は次のとおりです。

x86: GRUB ベースのブート (概要)

オープンソースのブートローダー GRUB が、Solaris OS のデフォルトのブートローダーとして採用されています。


注 –

GRUB ベースのブートは、SPARC システムでは使用できません。


ブートローダーは、システムの電源を入れたあと最初に実行されるソフトウェアプログラムです。x86 システムの電源を入れると、BIOS (Basic Input/Output System) により、CPU、メモリー、およびプラットフォームハードウェアが初期化されます。初期化フェーズが完了すると、BIOS が構成済みブートデバイスからブートローダーをロードし、システムの制御をブートローダーに移します。

GRUB は、簡単なメニューインタフェースを備えたオープンソースのブートローダーで、メニューには構成ファイルに定義されたブートオプションが表示されます。また、GRUB はコマンド行インタフェースも備えており、メニューインタフェースからアクセスしてさまざまなブートコマンドを実行できます。Solaris OS では、GRUB 実装はマルチブート仕様に準拠しています。マルチブート仕様について詳細は、http://www.gnu.org/software/grub/grub.html を参照してください。

Solaris カーネルはマルチブート仕様に完全に準拠しているため、GRUB を使用して Solaris x86 システムをブートできます。GRUB を使用すると、さまざまなオペレーティングシステムのブートおよびインストールがより簡単にできます。たとえば、1 つのシステムで次のオペレーティングシステムを別々にブートできます。

GRUB の主な利点は、ファイルシステムおよびカーネル実行可能ファイルの形式に対して直観的であるため、ディスク上のカーネルの物理的位置を記録せずにオペレーティングシステムをロードできることです。GRUB ベースのブートでは、カーネルのファイル名、ドライブ、およびカーネルがあるパーティションを指定することでカーネルがロードされます。GRUB ベースのブートは Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) を置き換え、GRUB メニューによってブート処理を簡略化します。

x86: GRUB ベースのブートの動作

GRUB がシステムの制御を取得すると、コンソールにメニューが表示されます。GRUB メニューでは次の操作を実行できます。

デフォルトで登録されている OS ブートでは、設定可能なタイムアウトを利用できます。いずれかのキーを押すと、デフォルトの OS エントリのブートが中止されます。

GRUB メニューの例については、「GRUB メインメニューについて」を参照してください。

x86: GRUB デバイス命名規則

GRUB が使用するデバイス命名規則は、以前の Solaris OS バージョンの場合と若干異なっています。GRUB デバイス命名規則を理解すると、使用しているシステムで GRUB を構成するときに、ドライブとパーティションの情報を正しく指定できます。

次の表に、GRUB デバイス命名規則を示します。

表 5–1 GRUB デバイスの命名規則

デバイス名 

説明 

(fd0), (fd1)

最初のフロッピーディスク、2 番目のフロッピーディスク 

(nd)

ネットワークデバイス 

(hd0,0), (hd0,1)

最初の bios ディスクの 1 番目と 2 番目の fdisk パーティション

(hd0,0,a), (hd0,0,b)

最初の bios ディスクの 1 番目の fdisk パーティションの Solaris/BSD スライス 0 および 1


注 –

GRUB デバイス名はすべて括弧で囲む必要があります。パーティション番号は、1 からではなく 0 (ゼロ) から数えます。


fdisk パーティションの詳細については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』「fdisk パーティションの作成上のガイドライン」を参照してください。

x86: GRUB ベースのインストールについての情報の参照先

変更内容の詳細については、次の関連情報を参照してください。

表 5–2 GRUB ベースのインストールについての情報の参照先

トピック 

GRUB メニューでの作業 

参照先 

インストール 

Solaris OS CD または DVD メディアからインストールする方法 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (基本編)』

ネットワークインストールイメージからインストールする方法 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』のパート II「ローカルエリアネットワーク経由のインストール」

 

ネットワークインストールのために DHCP サーバーを構成する方法 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』「DHCP サービスによるシステム構成情報の事前設定 (作業)」

 

カスタム JumpStart プログラムでインストールする方法 

『Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』「カスタム JumpStart インストールの実行」

 

Solaris Live Upgrade を使用してブート環境のアクティブ化またはフォールバックを行う方法 

システム管理 

GRUB および管理作業についての詳細 

『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」

x86: GRUB ベースのブート (計画)

この節では、GRUB ベースのブートの基本と、GRUB メニューについて説明します。

Solaris OS のインストール時に、デフォルトで 2 つの GRUB メニューエントリがシステムにインストールされます。最初のエントリは Solaris OS エントリです。2 番目のエントリはフェイルセーフブートアーカイブで、システムの回復に使用されます。Solaris GRUB メニューエントリは、Solaris ソフトウェアのインストールおよびアップグレード処理の一環として自動的にインストールおよびアップグレードされます。これらのエントリは OS によって直接管理されるため、手動で編集しないでください。

Solaris OS の標準インストール中に、システム BIOS の設定を変更せずに GRUB が Solaris fdisk パーティションにインストールされます。この OS が BIOS ブートディスクにない場合は、次のいずれかの操作を行う必要があります。

ブートディスクに Solaris OS をインストールする方法をお勧めします。マシンに複数のオペレーティングシステムがインストールされている場合は、エントリを menu.lst ファイルに追加できます。これらのエントリは、システムを次にブートしたときに GRUB メニューに表示されます。

複数のオペレーティングシステムの詳細については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』「GRUB ブート環境で複数のオペレーティングシステムをサポートする方法」を参照してください。

x86: ネットワークからの GRUB ベースのインストールの実行

GRUB ベースのネットワークブートを実行するには、PXE クライアント用に構成された DHCP サーバーと、tftp サービスを提供するインストールサーバーが必要です。DHCP サーバーには、DHCP クラスである PXEClient GRUBClient に応答する機能が必要です。DHCP 応答には、次の情報が含まれている必要があります。


注 –

rpc.bootparamd は、通常、ネットワークブートを実行する場合にサーバー側で必要とされるファイルですが、GRUB ベースのネットワークブートでは不要です。


PXE も DHCP サーバーも使用できない場合は、CD-ROM またはローカルディスクから GRUB をロードできます。次に GRUB でネットワークを手動で構成し、ファイルサーバーからマルチブートプログラムとブートアーカイブをダウンロードできます。

詳細については、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (ネットワークインストール)』「PXE を使用したネットワーク経由のブートとインストールの概要」を参照してください。

GRUB メインメニューについて

x86 システムをブートすると、GRUB メニューが表示されます。このメニューには、選択可能なブートエントリの一覧が表示されます。「ブートエントリ」は、使用しているシステムにインストールされている OS インスタンスです。GRUB メニューは、構成ファイルの menu.lst ファイルに基づいています。menu.lst ファイルは、Solaris インストールプログラムによって作成され、インストール後に変更できます。menu.lst ファイルには、GRUB メニューに表示される OS インスタンスの一覧が記述されています。


例 5–1 GRUB メインメニュー

次の例では、GRUB メインメニューに Solaris オペレーティングシステムと Microsoft Windows オペレーティングシステムが表示されています。また、Solaris Live Upgrade ブート環境も second_disk という名前で一覧に表示されています。各メニューの項目については、続く説明を参照してください。


GNU GRUB version 0.95 (616K lower / 4127168K upper memory)
+-------------------------------------------------------------------+
|Solaris                                                            |
|Solaris failsafe                                                   |
|second_disk                                                        |
|second_disk failsafe                                               |
|Windows                                                            |
+-------------------------------------------------------------------+
Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted. Press
enter to boot the selected OS, 'e' to edit the commands before
booting, or 'c' for a command-line.
Solaris

Solaris OS を指定します。

Solaris failsafe

Solaris OS が損傷した場合に、回復のために使用できるブートアーカイブを指定します。

second_disk

Solaris Live Upgrade ブート環境を指定します。second_disk ブート環境は、Solaris OS のコピーとして作成されました。luactivate コマンドによってアップグレードおよびアーカイブされています。ブート環境は、ブート時に使用できます。

Windows

Microsoft Windows OS を指定します。GRUB はこれらのパーティションを検出しますが、OS がブート可能かどうかは確認しません。


GRUB menu.lst ファイルについて

GRUB menu.lst ファイルには、GRUB メインメニューの内容の一覧が記述されています。GRUB メインメニューには、Solaris Live Upgrade ブート環境を含め、使用しているシステムにインストールされているすべての OS インスタンスのブートエントリが一覧表示されます。Solaris のソフトウェアアップグレード処理では、このファイルに対して行なった変更内容がすべて保持されます。

menu.lst ファイルに対する修正は、Solaris Live Upgrade エントリと一緒に、すべて GRUB メインメニューに表示されます。ファイルに対する変更点はすべて、システムを次にリブートしたときに有効になります。このファイルは、次の理由のために修正することができます。


注意 – 注意 –

Solaris Live Upgrade エントリを変更する場合は、GRUB menu.lst ファイルを使用しないでください。変更すると、Solaris Live Upgrade が失敗する可能性があります。


menu.lst ファイルを使用してカーネルデバッガによるブートなどのブート動作をカスタマイズできますが、カスタマイズする場合は eeprom コマンドを使用する方法をお勧めします。menu.lst ファイルを使用してカスタマイズすると、ソフトウェアのアップグレード時に Solaris OS エントリが変更される可能性があります。これにより、ファイルに加えた変更内容が失われます。

eeprom コマンドの使用法については 『Solaris のシステム管理 (基本編)』「eeprom コマンドを使用して Solaris ブートパラメータを設定する方法」を参照してください。


例 5–2 menu.lst ファイル

次に menu.lst ファイルの例を示します。


default 0
timeout 10
title Solaris
  root (hd0,0,a)
  kernel /platform/i86pc/multiboot -B console=ttya
  module /platform/i86pc/boot_archive
title Solaris failsafe
  root (hd0,0,a)
  kernel /boot/multiboot -B console=ttya -s
  module /boot/x86.miniroot.safe
#----- second_disk - ADDED BY LIVE UPGRADE - DO NOT EDIT  -----
title second_disk
  root (hd0,1,a)
  kernel /platform/i86pc/multiboot
  module /platform/i86pc/boot_archive
title second_disk failsafe
  root (hd0,1,a)
  kernel /boot/multiboot kernel/unix -s
  module /boot/x86.miniroot-safe
#----- second_disk -------------- END LIVE UPGRADE ------------
title Windows
  root (hd0,0)
  chainloader -1
default

タイムアウトした場合にブートする項目を指定します。デフォルトの設定を変更する場合は、番号を変更して一覧の別の項目を指定できます。最初のタイトルを 0 として数えます。たとえば、デフォルトを 2 に変更すると、second_disk ブート環境が自動的にブートします。

timeout

デフォルトのエントリをブートするまで、ユーザーの入力を待つ時間を秒単位で指定します。タイムアウトを指定しない場合は、エントリを選択する必要があります。

title OS name

オペレーティングシステムの名前を指定します。

  • これが Solaris Live Upgrade ブート環境の場合、OS name は新しいブート環境の作成時にその環境に指定した名前です。前の例では、Solaris Live Upgrade ブート環境の名前は second_disk です。

  • これがフェイルセーフブートアーカイブの場合、このブートアーカイブは主 OS が損傷したときの回復処理に使用されます。前の例では、Solaris フェイルセーフと second_disk フェイルセーフが Solaris および second_disk オペレーティングシステムの回復用ブートアーカイブです。

root (hd0,0,a)

ファイルのロード先となるディスク、パーティション、およびスライスを指定します。GRUB は、ファイルシステムの種類を自動的に検出します。

kernel /platform/i86pc/multiboot

マルチブートプログラムを指定します。kernel コマンドのあとに、必ずマルチブートプログラムを指定する必要があります。マルチブートのあとの文字列は、解釈されずに Solaris OS に渡されます

複数のオペレーティングシステムの詳細については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』「GRUB ブート環境で複数のオペレーティングシステムをサポートする方法」を参照してください。


GRUB メニューを変更するための menu.lst ファイルの検出

GRUB メニューの menu.lst ファイルを検出するには、常に bootadm コマンドを使用する必要があります。アクティブな GRUB メニューを見つけるには、list-menu サブコマンドを使用します。menu.lst ファイルには、システムにインストールされているすべてのオペレーティングシステムが一覧表示されています。このファイルの内容は、GRUB メニューに表示されるオペレーティングシステムの一覧を記述したものです。このファイルに変更を加える場合は、「x86: GRUB メニューの menu.lst ファイルの検出 (作業)」を参照してください。

x86: GRUB メニューの menu.lst ファイルの検出 (作業)

GRUB メニューを更新することができます。たとえば、デフォルトの OS がブートするまでのデフォルトの時間を変更できます。また、別の OS を GRUB メニューに追加することができます。

通常、アクティブな GRUB メニューの menu.lst ファイルは /boot/grub/menu.lst に置かれています。場合によっては、GRUB menu.lst ファイルが別の場所に置かれていることもあります。たとえば、Solaris Live Upgrade を使用するシステムの場合は、GRUB menu.lst ファイルが現在稼働中のブート環境ではないブート環境に存在することもあります。また、x86 ブートパーティションがあるシステムをアップグレードした場合、menu.lst ファイルは /stubboot ディレクトリに置かれている場合があります。システムのブートには、アクティブな GRUB menu.lst ファイルのみが使用されます。システムのブート時に表示される GRUB メニューを変更するには、アクティブな GRUB menu.lst ファイルに変更を加える必要があります。それ以外の GRUB menu.lst ファイルに変更を加えても、システムのブート時に表示されるメニューに影響はありません。アクティブな GRUB menu.lst ファイルの場所を特定するには、bootadm コマンドを使用します。list-menu サブコマンドを実行すると、アクティブな GRUB メニューの場所が表示されます。次の手順で、GRUB メニューの menu.lst ファイルの場所を特定します。

bootadm コマンドの詳細については、bootadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

ProcedureGRUB メニューの menu.lst ファイルの検出

次の手順では、システムに次の 2 つのオペレーティングシステムが含まれています。Solaris、および Solaris Live Upgrade ブート環境である second_disk です。Solaris OS はブート済みで、GRUB メニューが含まれています。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割になります。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. menu.lst ファイルを検出するには、次のように入力します。


    # /sbin/bootadm list-menu
    

    ファイルの場所と内容が表示されます。


    The location for the active GRUB menu is: /boot/grub/menu.lst
    default 0
    timeout 10
    0 Solaris
    1 Solaris failsafe
    2 second_disk
    3 second_disk failsafe

Procedureアクティブな menu.lst ファイルが別のブート環境にある場合の GRUB メニューの menu.lst ファイルの検出

次の手順では、システムに次の 2 つのオペレーティングシステムが含まれています。Solaris 、および Solaris Live Upgrade ブート環境である second_disk です。この例では、現在稼働中のブート環境には menu.lst ファイルは存在しません。second_disk ブート環境がブートされています。Solaris ブート環境には GRUB メニューが含まれています。Solaris ブート環境はマウントされていません。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割になります。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. menu.lst ファイルを検出するには、次のように入力します。


    # /sbin/bootadm list-menu
    

    ファイルの場所と内容が表示されます。


    The location for the active GRUB menu is: /dev/dsk/device_name(not mounted)
    The filesystem type of the menu device is <ufs>
    default 0
    timeout 10
    0 Solaris
    1 Solaris failsafe
    2 second_disk
    3 second_disk failsafe
  3. menu.lst ファイルを含むファイルシステムがマウントされていないため、ファイルシステムをマウントします。UFS ファイルシステムとデバイス名を指定します。


    # /usr/sbin/mount -F ufs /dev/dsk/device_name /mnt
    

    device_name は、マウントするブート環境のディスクデバイスにあるルート (/) ファイルシステムの場所を指定します。デバイス名は、/dev/dsk/cwtxdysz の形式で入力します。次に例を示します。


    # /usr/sbin/mount -F ufs /dev/dsk/c0t1d0s0 /mnt
    

    GRUB メニューには /mnt/boot/grub/menu.lst でアクセスできます。

  4. ファイルシステムをマウント解除します。


    # /usr/sbin/umount /mnt
    

    注 –

    ブート環境またはブート環境のファイルシステムをマウントする場合は、使用後に必ずファイルシステムをマウント解除してください。これらのファイルシステムをマウント解除しないと、その後 Solaris Live Upgrade を同じブート環境で実行したときに失敗する可能性があります。


ProcedureSolais Live Upgrade ブート環境がマウントされている場合の GRUB メニューの menu.lst ファイルの検出

次の手順では、システムに次の 2 つのオペレーティングシステムが含まれています。Solaris 、および Solaris Live Upgrade ブート環境である second_disk です。second_disk ブート環境がブートされています。Solaris ブート環境には GRUB メニューが含まれています。Solaris ブート環境は /.alt.Solaris にマウントされています。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割になります。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. menu.lst ファイルを検出するには、次のように入力します。


    # /sbin/bootadm list-menu
    

    ファイルの場所と内容が表示されます。


    The location for the active GRUB menu is:
    /.alt.Solaris/boot/grub/menu.lst
    default 0
    timeout 10
    0 Solaris
    1 Solaris failsafe
    2 second_disk
    3 second_disk failsafe

    GRUB メニューを含むブート環境がすでにマウントされているため、/.alt.Solaris/boot/grub/menu.lstmenu.lst ファイルにアクセスできます。

Procedure使用しているシステムに x86 ブートパーティションがある場合の GRUB メニューの menu.lst ファイルの検出

次の手順では、システムに次の 2 つのオペレーティングシステムが含まれています。Solaris、および Solaris Live Upgrade ブート環境である second_disk です。second_disk ブート環境がブートされています。システムはアップグレードされており、x86 ブートパーティションが残されています。ブートパーティションは /stubboot にマウントされ、GRUB メニューが含まれています。x86 ブートパーティションについては、「x86: パーティション分割に関する推奨事項」を参照してください。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割になります。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. menu.lst ファイルを検出するには、次のように入力します。


    # /sbin/bootadm list-menu
    

    ファイルの場所と内容が表示されます。


    The location for the active GRUB menu is:
    /stubboot/boot/grub/menu.lst
    default 0
    timeout 10
    0 Solaris
    1 Solaris failsafe
    2 second_disk
    3 second_disk failsafe

    menu.lst ファイルには、/stubboot/boot/grub/menu.lst でアクセスできます。