Solaris 10 11/06 ご使用にあたって

ネットワーク接続に関する注意事項

Solaris 10 リリースのネットワーク接続に関するバグ情報について説明します。

2 つのポータルを持つ iSCSI ターゲットで、1 つが不正なポータルの場合は、ログインが失敗する (6476060)

iSCSI ターゲットまたはアレイから send target 応答の一部として複数の IP アドレスが返された場合、イニシエータはこれまでのリリースのようにリスト内の最初のアドレスだけを考慮するのではなく、最後のアドレスだけを考慮します。その結果、最後の IP アドレスが不正または無効な場合は、このターゲットへの接続が失敗します。

回避方法: send target 応答で、各エントリについて異なるターゲットポータルグループタグ (TPGT) を返します。イニシエータは接続を成功させるために、すべての IP アドレスに対して接続を確立しようとします。

システム DOI を設定できない (6314248)

システム DOI (Domain of Interpretation) を設定できません。SMC を使用して新しいトラステッドネットワークテンプレートを作成するときに、SMC によって DOI が 0 に設定され、Solaris Trusted Extensions は正しく機能しません。さまざまなエラーメッセージが表示されます。

回避方法: SMC を使用して DOI を 1 に設定します。

ECC および RSA 暗号化方式群でメモリーリークが発生する (6421471)

ECC および RSA 暗号化方式群を使用する NSS でメモリーリークが発生すると、システムがハングアップしたり、システムパニックが発生したりすることがあります。「out of memory」エラーメッセージが表示されます。

回避方法: 次のパッチをインストールしてください。

iSCSI イニシエータは LUN アドレス報告を正しく処理しない (6377485)

Solaris iSCSI ソフトウェアイニシエータは 255 より大きい LUN を持つ論理ユニットをサポートしません。エラーメッセージは表示されません。

回避方法:

ターゲットデバイスの論理ユニット番号を 255 以下の番号に変更してください。

複数の Ethernet カードが存在する場合、間違った MAC アドレスが表示される (6316245)

Sun Update Connection を使用したリモート更新管理のために Solaris 10 11/06 OS に登録すると、システム情報が表示されます。システムに複数の Ethernet カードがある場合、すべての Ethernet カードに同じ MAC アドレスが表示されます。エラーメッセージは表示されません。

回避方法: ありません。

SPARC: 32 ビットコンパイルと 64 ビットコンパイルで RTM_IFINFO メッセージのサイズが異なっている

PF_ROUTE ソケットを作成し、if_msghdr_t 構造体に含まれる RTM_IFINFO メッセージの内容を解析する 64 ビットのプログラムは、再コンパイルしないと正しく動作しないことがあります。

Solaris 10 OS では IP 転送がデフォルトで無効になっている

この Solaris リリースでは、IP 転送はデフォルトで無効になっています。この設定は、ほかのシステム構成に関係なくIPv4 と IPv6 の両方に適用されます。以前はデフォルトで IP パケットを転送していた複数の IP インタフェースを持つシステムには、もうこの自動機能はありません。マルチホームシステムでの IP 転送を有効にするには、管理者は手動でいくつかの設定手順を実行する必要があります。

回避方法: コマンド routeadm を実行して IP 転送を有効にできます。routeadm を使用して行われた構成変更は、システムのリブート時にも保持されます。

IP 転送の詳細については、routeadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

Generic LAN Driver Version 3 で Logical Link Control フレームのフィールド長の設定に失敗する (6350869)

Generic LAN Driver Version 3 (GLDv3) では、LLC (Logical Link Control) フレームのフィールド長が正しく設定されません。結果として、LLC に依存する AppleTalk などのプロトコルが正しく機能しません。エラーメッセージは表示されません。この問題は、次のネットワークインタフェースコントローラに影響します。

回避方法: ありません。

IP アドレスが失敗した IP ネットワークマルチパスグループに属していると、ゾーンはブートしない (6184000)

ゾーンの IP アドレスが IP ネットワークマルチパス (IPMP) グループの一部になるようにゾーンを構成できます。構成方法については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』「IP ネットワークマルチパス機能を非大域ゾーンに拡張する方法」を参照してください。

IPMP グループに含まれるすべてのネットワークインタフェースが失敗すると、その IPMP グループに属している IP アドレスを持つゾーンはブートしません。

次の例は、ゾーンをブートしようとした場合の結果を示しています。


# zoneadm -z my-zone boot
zoneadm: zone 'my-zone': bge0:1: 
could not set default interface for multicast: Invalid argument 
zoneadm: zone 'my-zone': call to zoneadmd failed

回避方法: グループ内のネットワークインタフェースの少なくとも 1 つを修復してください。

DataDigests の使用時にエラーが断続的に発生することがある (5108515)

DataDigests が有効になっている場合に、Internet SCSI (iSCSI) ターゲットが CRC (巡回冗長検査) エラーを報告することがあります。iSCSI イニシエータにデータを転送したあとに入出力バッファーを更新するユーザーアプリケーションでは、CRC が正しく計算されないことがあります。ターゲットが CRC エラーを返すと、iSCSI イニシエータは正しい DataDigest CRC を含むデータを再転送します。データの整合性は維持されます。ただし、データ転送のパフォーマンスに影響します。エラーメッセージは表示されません。

回避方法: DataDigest オプションは使用しないでください。

IPv4 または IPv6 の ATM LANE サブネットが正常に初期化されないことがある (4625849)

1 つのアダプタ上に 9 つ以上の LANE (LAN Emulation) インスタンスが存在する場合は、システムのブート時に複数のインスタンスが対応する LANE インスタンスに接続されないことがあります。このバグは、マルチユーザーレベルでは発生しません。

回避方法: SunATM ネットワークを再度初期化するには、次の手順を実行します。

  1. lanestat -a コマンドを実行して問題が発生しているかどうかを確認します。

    接続されていないインスタンスは、LES (LAN Emulation Server) とBUS (Broadcast and Unknown Address Server) の VCI (Virtual Circuit Identifier) 値が 0 です。

  2. SunATM ネットワークをいったん終了してから再起動します。


    # /etc/init.d/sunatm stop
    # /etc/init.d/sunatm start
    
  3. SunATM インタフェースのネットマスクやその他のネットワーク設定をリセットします。

フィルタリングが有効な 2 つの IP ノード間に複数のトンネルを設定するとパケットが失われることがある (4152864)

2 つの IP ノード間に複数の IP トンネルを設定し、ip_strict_dst_multihoming またはその他の IP フィルタを有効にした場合、パケットが失われることがあります。

回避方法: 次のいずれかを選択してください。