Solaris 10 8/07 リリース以降のアップグレードに関する最新のサポート情報については、「Solaris リリースのアップグレードサポートの変更」を参照してください。
ここでは、アップグレードに関するバグ情報について説明します。これらのバグには、Solaris 10 OS へのアップグレード中に発生するものもあれば、アップグレードの完了後に発生するものもあります。
このバグは、Solaris 10 Hardware 2 リリースから現在の Solaris 10 8/07 リリースにアップグレードする際に発生します。
Solaris 10 Hardware 2 リリースでは、NIS、NIS+、FILES、LDAP などの任意のネームサービスに対して name_service.xml ファイルは次のようになっています。
# ls -l name_service.xml lrwxrwxrwx 1 root root 10 Apr 10 16:26 name_service.xml -> ns_files.xml |
ネームサービスが NIS の場合、name_service.xml ファイルは ns_files.xml にリンクしています。ただし、ns_files.xml の内容は ns_nis.xml の内容と同じです。
# cat /etc/release Solaris 10 3/05 HW2 s10s_hw2wos_05 SPARC Copyright 2005 Sun Microsystems, Inc. All Rights Reserved. Use is subject to license terms. Assembled 26 September 2005 # cd /var/svc/profile # ls -l name_service.xml ns_files.xml ns_nis.xml lrwxrwxrwx 1 root other 12 May 21 04:06 name_service.xml -> ns_files.xml -r--r--r-- 1 root sys 779 May 21 04:25 ns_files.xml -r--r--r-- 1 root sys 779 Jan 21 2005 ns_nis.xml # # diff ns_files.xml ns_nis.xml # diff name_service.xml ns_nis.xml |
上記の出力で、ns_nis.xml ファイルと ns_files.xml ファイルは同じになっています。つまり、name_service.xml ファイルのシンボリックリンクが、間違ったネームサービスファイルを指しています。name_service.xml ファイルは ns_files.xml にリンクしています。代わりに、name_service.xml ファイルは ns_nis.xml にリンクするべきです。
CR 6411084 に対する修正は SUNWcsr インストールまたはインストール後スクリプトで行いますが、修正によって正しいリンクが作成されるのは、name_service.xml がリンクファイルでない場合のみです。Solaris 10 Hardware 2 リリースのように、name_service.xml がすでにシンボリックリンクファイルになっている場合、CR 6411084 に対する修正は機能しません。
Solaris 10 Hardware 2 から現在の Solaris 10 8/07 リリースにアップグレードした後、次のメッセージがコンソールに表示されるか、メッセージファイルに記録されます。
Oct 23 12:18:45 vt2000a automount[301]: [ID 366266 daemon.error] can't read nis map auto_master: can't communicate with ypbind - retrying |
また、/network/nis/client:default サービスがオフラインになります。
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
回避方法 1: アップグレードの前に、/var/svc/profile/name_service.xml ファイルを削除します。
回避方法 2: アップグレード後に、ネームサービスに応じた正しい ns_<xxx>.xml ファイルに /var/svc/profile/name_service.xml をリンクします。
インストールされているのに、ブートされていないまたは準備ができていない非大域ゾーンによって、システムは正しくアップグレードされなくなります。エラーメッセージは表示されません。
回避方法:
そういったゾーンが見つかった場合は、アップグレードを開始する前に、ゾーンの準備を整えてから停止する必要があります。次に例を示します。
global# zoneadm -z myzone ready ; zoneadm -z myzone halt |
非大域ゾーンが含まれた Solaris 10 3/05 システムまたは Solaris 10 1/06 システムを Solaris 10 6/06 または Solaris 10 8/07 リリースにアップグレードすると、ローカルファイルシステムをマウントする SMF サービスが非大域ゾーンで失敗する場合があります。その結果、非大域ゾーン内のその他のサービスが起動に失敗することがあります。
非大域ゾーンが含まれた Solaris 10 システムを Solaris 10 6/06 または Solaris 10 8/07 リリースにアップグレードしたあとで、サービスが保守状態になる場合があります。次に例を示します。
# zlogin myzone svcs -x svc:/system/filesystem/local:default (local file system mounts) State: maintenance since Wed May 24 13:18:06 2006 Reason: Start method exited with $SMF_EXIT_ERR_FATAL. See: http://sun.com/msg/SMF-8000-KS See: /var/svc/log/system-filesystem-local:default.log Impact: 18 dependent services are not running. (Use -v for list.) |
回避方法:
大域ゾーンから非大域ゾーンをリブートします。次に例を示します。
global# zoneadm -z myzone reboot |
この Solaris 10 リリースの Solaris ボリュームマネージャーでは、デバイス ID が新しい形式で表示されます。Solaris 9 9/04 OS では、ディスクセットでのデバイス ID サポートが導入されましたが、この新しい形式は認識されません。Solaris 9 9/04 リリースから Solaris 10 OS にアップグレードするとき、既存のディスクセットアップに関連付けられたデバイス ID は、Solaris ボリュームマネージャーの構成で更新されません。Solaris 9 9/04 OS に戻す必要がある場合、アップグレード後にディスクセットに加えた構成の変更は、Solaris 9 9/04 OS で使用できないことがあります。詳細は、『Solaris ボリュームマネージャの管理』の第 25 章「Solaris ボリュームマネージャのトラブルシューティング (作業)」を参照してください。
インストール時更新 (ITU) としても知られる、ドライバ更新 (DU) を追加しているとき、Solaris 10 OS のインストールに失敗することがあります。このエラーは、GUI を使用して Solaris 10 ソフトウェアをインストールする場合に発生します。次のメッセージが表示されます。
Unable to run cmd: /usr/sbin/sysidput |
回避方法: 次のいずれかの回避方法を使用してください。
Solaris Live Upgrade を使用してブート環境を作成するときには、システムのいずれかのブート環境で GRUB (GRand Unified Bootloader) メニューを運用します。このブート環境は、ludelete コマンドを使っても削除できません。
このブート環境を削除しようとすると、次のエラーメッセージが表示されます。
ERROR: The boot environment name-of-boot-environment contains the GRUB menu. ERROR: You are not allowed to delete this BE. Unable to delete boot environment. |
回避方法: lumake コマンドまたは luupgrade コマンドを使用して、このブート環境を再利用してください。GRUB メニューを含むブート環境は、最後に削除するブート環境にします。
Solaris Live Upgrade では、最後のブート環境を削除することはできません。また、GRUB メニューが含まれるブート環境を削除することもできません。ただし、最後のブート環境に GRUB メニューが含まれている場合でも、他のすべてのブート環境については必要に応じて削除できます。
Solaris Live Upgrade を使用して Solaris 8 2/02 リリースから Solaris 10 8/07 リリースにアップグレードする場合に、Agilent Fibre Channel HBA Driver パッケージ (HPFC) の削除に失敗します。次のようなエラーメッセージが upgrade_log ファイルに記録されます。
Removing package HPFC: Modifying /a/kernel/drv/sd.conf cmdexec: ERROR: unable to open /a/var/sadm/pkg/HPFC/save/sed/kernel/drv/sd.conf pkgrm: ERROR: class action script did not complete successfully Removal of partially failed. pkgrm return code = 2 The upgrade succeeds, but two instances of the HPFC package are included on the system. |
回避方法: 次の手順を実行します。
スーパーユーザーになります。
HPFC パッケージの次のインスタンスを削除します。
# pkgrm HPFC # pkgrm HPFC.2 |
Solaris 10 8/07 OS DVD を DVD-ROM ドライブに挿入します。
ディレクトリを、HPFC パッケージを含むディレクトリに変更します。
# cd /cdrom/Solaris_10/Product |
HPFC パッケージをシステムに追加します。
# pkgadd -d `pwd` HPFC |
Solaris Live Upgrade ソフトウェアを次の方法で使用する場合は、アップグレード進捗バーが表示されません。
Solaris 10 8/07 CD メディアを使用して OS をアップグレードする場合。
luupgrade コマンドを使用してブート環境をアップグレードするときに、次のオプションを指定する場合。
-i (CD メディアからインストールするオプション)
-O “-nodisplay -noconsole ” (2 枚目の CD のインストーラをテキストモードかつユーザーとの対話なしで実行するオプション)
Solaris 10 8/07 ソフトウェアを次のリリースからアップグレードする場合。
Solaris 8 リリース
Solaris 9 リリース
Solaris 10 リリース
たとえば、次のコマンドを実行した場合、次の出力が表示されたあとに進捗バーが表示されるべきです。
Running installer on BE s10u1. |
しかし、進捗バーは表示されません。
# luupgrade -i -n s10u1 -s /net/installsrv/export/s10u1 -O "-nodisplay -noconsole" Validating the contents of the media /net/installsvr/export/s10u1. The media is a standard Solaris media. The media contains a standard Solaris installer. The media contains Solaris 3 version 10. Mounting BE s10u1. Running installer on BE s10u1. |
エラーメッセージは表示されません。
回避方法: prstat コマンドを使用してください。このコマンドでは、インストールが進行してパッケージが追加されるに従って、その進捗を監視することができます。
推奨パッチクラスタがインストールされた Solaris 9 リリースが稼働しているシステムでは、Solaris 10 OS へのアップグレードは部分的にしか成功しません。この問題は、Solaris 9 推奨パッチクラスタがインストールされた次のリリースが稼働しているシステムで発生します。
Solaris 9 リリース
Solaris 9 9/02 リリース
Solaris 9 12/02 リリース
Solaris 9 4/03 リリース
Solaris 9 8/03 リリース
Solaris 9 12/03 リリース
Solaris 9 4/04 リリース
Solaris 10 リリースへのアップグレード時に、システムから SUNWcti2x パッケージが正常に削除されません。
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
この問題を回避するには、Solaris 10 OS へのアップグレードを行う前に、パッチ ID 117426-03 またはそれ以降のバージョンをシステムに適用します。
このパッチは http://sunsolve.sun.com からダウンロードできます。
アップグレード時にこの問題が発生する場合は、次の手順を実行します。
テキストエディタを使用して、/var/sadm/pkg/SUNWcti2x/install/preremove ファイル内の次の行をコメントにします。
rem_drv -b ${BASEDIR} sc_nct || EXIT=1 |
SUNWcti2x パッケージを削除します。
# pkgrm SUNWcti2x |
Solaris Live Upgrade を使用して Solaris 8 または Solaris 9 リリースから Solaris 10 OS にアップグレードするとき、古いアンインストールプログラムは削除されません。このような以前の OS のアンインストールプログラムは、システムの /var/sadm/prod ディレクトリに残ります。
次に示す古いアンインストーラは削除されません。
uninstall_Alternate_Pathing_2_3_1.class uninstall_CDRW_1_1.class o uninstall_CDRW_1_0.class uninstall_Bonus_Localization_-_Catalan_CDE_Desktop.class uninstall_Bonus_Localization_-_Polish_CDE_Desktop.class uninstall_Bonus_Localizations_-_Russian_CDE_Desktop.class uninstall_Capacity_on_Demand_1_0.class uninstall_Java3D_1_3_1.class uninstall_Java3D_1_3.class uninstall_Java3D_1_2_1_04.class uninstall_Java3D_1_2_1_03.class uninstall_Lights_Out_Management_2_0.class uninstall_Man_Page_Supplement.class uninstall_OpenGL_1_3.class uninstall_OpenGL_1_2_3.class uninstall_Netra_ct_Platform_1_0.class uninstall_Netra_t11xx_Alarms_2_0.class uninstall_Netscape_6_2_3.class uninstall_Netscape_6_2_1_Beta.class uninstall_PC_launcher_1_0_2.class uninstall_PC_launcher_1_0_1_PCfileviewer_1_0_1.class uninstall_RSC_2_2_2.class uninstall_RSC_2_2_1.class uninstall_RSC_2_2.class uninstall_ShowMeTV_1_3.class uninstall_Solaris_9_French_Localization.class uninstall_Solaris_9_German_Localization.class uninstall_Solaris_9_Hong_Kong_Traditional_Chinese_Localization.class uninstall_Solaris_9_Italian_Localization.class uninstall_Solaris_9_Japanese_Localization.class uninstall_Solaris_9_Korean_Localization.class uninstall_Solaris_9_Simplified_Chinese_Localization.class uninstall_Solaris_9_Spanish_Localization.class uninstall_Solaris_9_Swedish_Localization.class uninstall_Solaris_9_Traditional_Chinese_Localization.class uninstall_Solaris_On_Sun_Hardware_Documentation.class uninstall_Sun_Hardware_AnswerBook.class uninstall_SunATM_5_0.class uninstall_SunATM_5_1.class uninstall_SunFDDI_PCI_3_0.class uninstall_SunFDDI_SBus_7_0.class uninstall_Sun_Fire_880_FC-AL_Backplane_Firmware_1_0.class uninstall_Sun_Fire_B10n_Load_Balancing_Blade_1_1.class uninstall_SunForum_3_1.class uninstall_SunForum_3_2.class uninstall_SunHSI_PCI_3_0.class uninstall_SunHSI_SBus_3_0.class uninstall_SunScreen_3_2.class uninstall_SunVTS_5_1_PS6.class uninstall_SunVTS_5_1_PS5.class uninstall_SunVTS_5_1_PS4.class uninstall_SunVTS_5_1_PS3.class uninstall_SunVTS_5_1_PS2.class uninstall_SunVTS_5_1_PS1.class uninstall_SunVTS_5_0.class uninstall_System_Management_Services_1_4.class uninstall_System_Management_Services_1_3.class uninstall_System_Management_Services_1_2.class uninstall_System_Service_Processor_3_5.class uninstall_WBEM_DR_1_0.class uninstall_Web_Start_Wizards_SDK_3_0_2.class uninstall_Web_Start_Wizards_SDK_3_0_1.class uninstall_Web_Start_Wizards_SDK.class uninstall_XML_Libraries_2_4_12.class |
回避方法: システムをアップグレードしたあと、/var/sadm/prod ディレクトリにある古いアンインストーラを手動で削除してください。
この Solaris 10 リリースでは、pam_ldap の機能に変更が加えられています。このリリースにアップグレードするとき、既存の pam.conf 構成ファイル内の pam_ldap 構成は更新されず、これらの変更は反映されません。pam_ldap 構成が検出された場合は、アップグレードの終了時に生成される CLEANUP ファイルに、次のような通知が追加されます。
/etc/pam.conf please examine/update the pam_ldap configuration because its functionality has changed, refer to pam_ldap(5) documentation for more information |
回避方法: アップグレード後に /etc/pam.conf を調べます。必要に応じて、このファイルを手動で変更して、pam_ldap の新しい機能と互換性を持たせます。変更内容は、use_first_pass オプションや try_first_pass オプションなどのパスワードプロンプト機能、パスワード更新機能などです。pam.conf の更新方法の詳細については、pam_ldap(5) のマニュアルページを参照してください。
Solaris Live Upgrade で luupgrade(1M) コマンドに -i オプションを指定して、アクティブでないブート環境をアップグレードした場合、言語によってはインストールプログラムが表示するテキストが判読不能になります。これは、現在のブート環境にある古いリリースに存在していないフォントを、インストールプログラムが要求した場合に発生します。
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
Solaris 8 ソフトウェアから Solaris 10 リリースへのアップグレードの際、SUNWjxcft パッケージが削除されるときに、次のようなエラーメッセージが upgrade_log ファイルに記録されます。
Removing package SUNWjxcft: Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.upr Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.scale Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.alias Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.upr Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.scale Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.alias Removal of <SUNWjxcft> was successful |
回避方法: このエラーメッセージは無視してください。
/etc/init.d/sshd デーモンから第三者の Secure Shell (OpenSSH など) を実行しているシステムの場合、Solaris 10 リリースにアップグレードすると、既存の Secure Shell デーモンが使用できなくなります。アップグレード時に、Solaris 10 ソフトウェアが自身の sshd で /etc/init.d/sshd の内容を上書きし、既存の sshd が失われます。
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
システムに Secure Shell プロトコルサーバープログラムが不要な場合は、アップグレード時に SUNWsshdr パッケージと SUNWsshdu パッケージをインストールしないでください。
システムに Secure Shell プロトコルサーバープログラムもクライアントプログラムもどちらも不要な場合は、アップグレード時に Secure Shell Cluster (SUNWCssh) をインストールしないでください。
/export ディレクトリの空き容量がゼロに近い状態で、システムを Solaris 10 リリースにアップグレードしようとすると、/export ディレクトリ容量の必要条件の計算に誤りが発生し、アップグレードに失敗します。この問題は、ディスクレスクライアントがインストールされている場合によく発生します。または、/export ディレクトリに他社製のソフトウェアがインストールされている場合にも発生します。次のメッセージが表示されます。
WARNING: Insufficient space for the upgrade. |
回避方法: アップグレードの前に、次のいずれかを実行してください。
アップグレードが完了するまで、一時的に /export ディレクトリの名前を変更します。
アップグレードが完了するまで、/etc/vfstab ファイル内の /export の行を一時的にコメントにします。
/export が独立したファイルシステムである場合は、アップグレードを実行する前に /export のマウントを解除します。
現在のシステムが、Solstice AdminSuiteTM 2.3 Diskless Client ツールによってインストールされたディスクレスクライアントをサポートしている場合、2 つの手順を実行する必要があります。
既存のディスクレスクライアントのうち、サーバーと同じ Solaris バージョンで同じアーキテクチャーのものをすべて削除します。
Solaris 10 リリースをインストールするか、または Solaris 10 リリースにアップグレードします。
具体的な手順については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』を参照してください。
ディスクレスクライアントを削除せずに Solaris 10 ソフトウェアをインストールしようとすると、次のようなエラーメッセージが表示されます。
The Solaris Version (Solaris version-number) on slice <xxxxxxxx> cannot be upgraded. There is an unknown problem with the software configuration installed on this disk. |
このエラーメッセージの version-number は、現在、システムで稼働している Solaris のバージョンを表します。<xxxxxxxx> は、このバージョンの Solaris ソフトウェアを実行しているスライスです。