デフォルトでは、非大域ゾーンは大域ゾーンのオペレーティングシステムと同じ特性を持ちます。大域ゾーンでは Solaris 10 オペレーティングシステムまたはそれ以降の Solaris 10 リリースが実行されています。このような「ネイティブな」非大域ゾーンと大域ゾーンでは、標準への適合、実行時の動作、コマンドセット、およびパフォーマンス特性が共有されます。
非大域ゾーン内で別のオペレーティング環境を実行することもできます。ブランドゾーン (BrandZ) フレームワークは Solaris ゾーンインフラストラクチャーを拡張して、ブランド、つまり実行時動作の代替セットの作成機能を追加します。「ブランド」は、さまざまなオペレーティング環境を指す場合があります。たとえば、非大域ゾーンは、Solaris オペレーティングシステムの別のバージョンや Linux などのオペレーティング環境をエミュレートすることができます。または、ネイティブブランドの動作に特性や機能を追加する場合もあります。すべてのゾーンに、それぞれ関連するブランドが構成されます。
ブランドは、ゾーンにインストールできるオペレーティング環境を定義し、ゾーンにインストールされたネイティブでないソフトウェアが正しく機能するようにゾーン内でのシステムの動作を決定します。また、ゾーンのブランドにより、アプリケーションの起動時に正しいアプリケーションタイプが識別されます。すべてのブランドゾーン管理は、ネイティブ なゾーン構造の拡張を通して実行されます。管理手順のほとんどはすべてのゾーンで同一です。
構成済み状態にあるゾーンのブランドは変更することができます。ブランドゾーンのインストールが完了したあとは、そのブランドの変更や削除を行うことはできません。
BrandZ はゾーンのツールを次のように拡張します。
zonecfg コマンドを使用して、ゾーンの構成時にゾーンのブランドタイプを設定します。
zoneadm コマンドを使用して、ゾーンのブランドタイプの報告とゾーンの管理を行います。
ラベルが有効になっている Solaris Trusted Extensions システムにブランドゾーンを構成してインストールすることはできますが、このシステム構成でブランドゾーンを起動することはできません。
ブランドゾーンで使用できる次のコンポーネントは、ブランドによって定義されます。
特権。
デバイスのサポート。ブランドでは、サポートされていないデバイスや認識されないデバイスの追加を禁止するように選択することができます。solaris8 非大域ゾーンにデバイスを追加することができます。「Solaris 8 ブランドゾーンについて」を参照してください。
ブランドゾーンに必要なファイルシステムは、ブランドによって定義されます。zonecfg の fs 資源プロパティーを使用して、追加の Solaris ファイルシステムをブランドゾーンに追加することができます。
ブランドゾーンでは、ブランドゾーンで実行中のプロセスだけに適用される一連の介入ポイントがカーネル内に用意されます。
これらのポイントは、syscall パス、プロセスローディングパス、スレッド作成パスなどのパス内に見つかります。
これらの各ポイントで、ブランドは Solaris の標準的な動作を補完したり置き換えたりすることができます。
ブランドは librtld_db のプラグインライブラリを提供することもできます。デバッガ (mdb(1) のマニュアルページを参照) や DTrace (dtrace(1M) のマニュアルページを参照) といった Solaris のツールは、このプラグインライブラリを使用して、ブランドゾーン内で実行中のプロセスのシンボル情報にアクセスできます。