Solaris 8 ブランドゾーン (solaris8) は、Solaris 10 8/07 以降のオペレーティングシステムが稼働している SPARC マシンで Solaris 8 アプリケーションをサポートする完全な実行環境です。このブランドは、32 ビットおよび 64 ビットの Solaris 8 アプリケーションをサポートします。
solaris8 ブランドゾーンは、完全ルートゾーンモデルに基づいています。各ゾーンのファイルシステムには、オペレーティングシステムを構成するソフトウェアの完全なコピーが含まれています。ただし、一元的なパッチ適用の対象にならないという点で、solaris8 ゾーンはネイティブな完全ルートゾーンとは異なります。
solaris8 ゾーンでは、次のような Solaris 10 の多くの機能を使用できます。
システムの信頼性を向上させる障害管理アーキテクチャー (FMA) (smf(5) を参照)。
Solaris 8 ではサポートされていない新しいハードウェア上で実行する機能。
Solaris 10 のパフォーマンス向上。
大域ゾーンから DTrace を実行して solaris8 ゾーンのプロセスを検査する機能。
Solaris 8 で使用可能な機能の中には、Solaris ゾーン内では使用できないものがあります。
非大域ゾーン内では、次の機能を構成することはできません。
Solaris Live Upgrade の起動環境
Solaris ボリュームマネージャーのメタデバイス
共有 IP ゾーンでの DHCP アドレスの割り当て
SSL プロキシサーバー
また、非大域ゾーンは NFS サーバーになることはできず、動的再構成 (DR) 操作は大域ゾーンからのみ実行できます。
solaris8 ブランドゾーンには次の制限が適用されます。
bsmconv(1M) と auditon(2) で説明されている Solaris 監査と Solaris 基本セキュリティーモジュールの監査はサポートされません。監査サブシステムは常に無効になっているように見えます。
cpc(3CPC) で説明されている CPU パフォーマンスカウンタ機能は使用できません。
次に示すディスクおよびハードウェア関連のコマンドは機能しません。
add_drv(1M)
disks(1M)
format(1M)
fdisk(1M)
prtdiag(1M)
rem_drv(1M)
委任されている ZFS データセットをゾーンで使用することはできませんが、ZFS ファイルシステム上にゾーンを配置することはできます。大域ゾーンと共有する ZFS ファイルシステムを、zonecfg fs 資源を介して追加することができます。「solaris8 ブランドゾーンの構成方法」の手順 7 を参照してください。
setfacl コマンドと getfacl コマンドは ZFS には使用できません。cpio アーカイブまたは tar アーカイブのファイルに ACL が設定されている場合にアーカイブを展開すると、ACL を設定できないという警告が発生しますが、ファイルは正常に展開されます。これらのコマンドは UFS に使用できます。
zonecfg コマンドを使用して、次のコンポーネントを solaris8 ブランドゾーンに追加することができます。
fs 資源を使用して、追加の Solaris ファイルシステムをブランドゾーンに追加できます。例については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の「ゾーンの構成方法」を参照してください。
device 資源を使用して、solaris8 非大域ゾーンにデバイスを追加できます。デバイスを追加する方法については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 18 章「非大域ゾーンの計画と構成 (手順)」を参照してください。非大域ゾーンのデバイスに関する考慮事項の詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の「非大域ゾーンでのデバイスの使用」を参照してください。
limitpriv 資源を使用して、solaris8 非大域ゾーンに特権を追加できます。特権を追加する方法については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 18 章「非大域ゾーンの計画と構成 (手順)」および『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の「非大域ゾーン内の特権」を参照してください。
ネットワーク構成を指定できます。詳細は、「事前構成作業」、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の「共有 IP 非大域ゾーンにおけるネットワーク」、および『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の「Solaris 10 8/07: 排他的 IP 非大域ゾーンにおけるネットワーク」を参照してください。
さまざまな資源制御機能を使用できます。詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 17 章「非大域ゾーンの構成 (概要)」、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 18 章「非大域ゾーンの計画と構成 (手順)」、および『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 26 章「Solaris のゾーン管理 (概要)」を参照してください。