Solaris ゾーン区分技術は、オペレーティングシステムサービスの仮想化に使用され、安全で隔離されたアプリケーション実行環境を提供します。非大域ゾーンは、Solaris OS の 1 つの実体 (大域ゾーン) 内で作成される仮想化されたオペレーティングシステム環境です。非大域ゾーンを作成すると、そのアプリケーション実行環境で実行されるプロセスはシステムのほかの部分から隔離されます。
Solaris Live Upgrade は、現在稼動しているシステムを新しいスライス上にコピーするための仕組みです。非大域ゾーンがインストールされている場合は、大域ゾーンのファイルシステムとともにその非大域ゾーンを非アクティブブート環境にコピーできます。
図 9–1 に、大域ゾーンのファイルシステムとともに非アクティブブート環境にコピーされる非大域ゾーンを示します。
ディスクが 1 つだけのシステムの例では、ルート (/) ファイルシステムが c0t0d0s4 にコピーされます。このファイルシステムに関連付けられている非大域ゾーンもすべて s4 にコピーされます。/export および /swap ファイルシステムは、現在のブート環境 bootenv1 と非アクティブブート環境 bootenv2 との間で共有されます。lucreate コマンドは次のようになります。
# lucreate -c bootenv1 -m /:/dev/dsk/c0t0d0s4:ufs -n bootenv2 |
ディスクが 2 つあるシステムの例では、ルート (/) ファイルシステムが c0t1d0s0 にコピーされます。このファイルシステムに関連付けられている非大域ゾーンもすべて s0 にコピーされます。/export および /swap ファイルシステムは、現在のブート環境 bootenv1 と非アクティブブート環境 bootenv2 との間で共有されます。lucreate コマンドは次のようになります。
# lucreate -c bootenv1 -m /:/dev/dsk/c0t1d0s0:ufs -n bootenv2 |
図 9–2 に、非大域ゾーンが非アクティブブート環境にコピーされる様子を示します。
ディスクが 1 つだけのシステムの例では、ルート (/) ファイルシステムが c0t0d0s4 にコピーされます。このファイルシステムに関連付けられている非大域ゾーンもすべて s4 にコピーされます。非大域ゾーン zone1 には、zonecfg add fs コマンドで作成された独立したファイルシステムがあります。ゾーンパスは /zone1/root/export です。このファイルシステムは、非アクティブブート環境で共有されないように、個別のスライス c0t0d0s6 上に配置されます。/export および /swap ファイルシステムは、現在のブート環境 bootenv1 と非アクティブブート環境 bootenv2 との間で共有されます。lucreate コマンドは次のようになります。
# lucreate -c bootenv1 -m /:/dev/dsk/c0t0d0s4:ufs \ -m /export:/dev/dsk/c0t0d0s6:ufs:zone1 -n bootenv2 |
ディスクが 2 つあるシステムの例では、ルート (/) ファイルシステムが c0t1d0s0 にコピーされます。このファイルシステムに関連付けられている非大域ゾーンもすべて s0 にコピーされます。非大域ゾーン zone1 には、zonecfg add fs コマンドで作成された独立したファイルシステムがあります。ゾーンパスは /zone1/root/export です。このファイルシステムは、非アクティブブート環境で共有されないように、個別のスライス c0t1d0s4 上に配置されます。/export および /swap ファイルシステムは、現在のブート環境 bootenv1 と非アクティブブート環境 bootenv2 との間で共有されます。lucreate コマンドは次のようになります。
# lucreate -c bootenv1 -m /:/dev/dsk/c0t1d0s0:ufs \ -m /export:/dev/desk/c0t1d0s4:ufs:zone1 -n bootenv2 |