/etc/netboot ディレクトリには、WAN ブートインストールに必要な、構成情報、非公開鍵、デジタル証明書、および認証局が保存されます。ここでは、WAN ブートインストールをカスタマイズするために /etc/netboot ディレクトリ内に作成できるファイルとディレクトリについて説明します。
インストール時に wanboot-cgi プログラムは、WAN ブートサーバーの /etc/netboot ディレクトリ内でクライアント情報を検索します。wanboot-cgi プログラムは、この情報を WAN ブートファイルシステムに変換してから、WAN ブートファイルシステムをクライアントに転送します。/etc/netboot ディレクトリ内にサブディレクトリを作成することで、WAN ブートインストールの適用範囲をカスタマイズできます。次のディレクトリ構造を使って、インストール対象のクライアント間で構成情報をどのように共有するかを定義します。
大域的な構成 - ネットワーク上のすべてのクライアントで構成情報を共有するには、共有する構成ファイルを /etc/netboot ディレクトリに保存します。
ネットワーク固有の構成 - 特定のサブネット上のマシンだけで構成情報を共有するには、共有する構成ファイルを /etc/netboot ディレクトリのサブディレクトリに保存します。サブディレクトリは、次の規則に従って名前を付けてください。
/etc/netboot/net-ip |
この例で、net-ip はクライアントのサブネットの IP アドレスです。たとえば、192.168.255.0 という IP アドレスを持つサブネット上のすべてのシステムで構成ファイルを共有するには、/etc/netboot/192.168.255.0 というディレクトリを作成します。その後、このディレクトリに構成ファイルを保存します。
クライアント固有の構成 – 特定のクライアントだけでブートファイルシステムを使用するには、ブートファイルシステムのファイルを /etc/netboot のサブディレクトリに保存します。サブディレクトリは、次の規則に従って名前を付けてください。
/etc/netboot/net-ip/client-ID |
この例で、net-ip はサブネットの IP アドレスです。client-ID は、DHCP サーバーによって割り当てられるクライアント ID か、ユーザー指定のクライアント ID です。たとえば、サブネット 192.168.255.0 にあって 010003BA152A42 というクライアント ID を持つシステムで、特定の構成ファイルを使用するには、/etc/netboot/192.168.255.0/010003BA152A42 というディレクトリを作成します。その後、該当するファイルをこのディレクトリに保存します。
次のファイルを作成して /etc/netboot ディレクトリに保存することで、セキュリティー情報と構成情報を指定します。
システム構成ファイル ( system.conf) – このシステム構成ファイルは、クライアントの sysidcfg ファイルおよびカスタム JumpStart ファイルの場所を指定します。
keystore – このファイルには、クライアントの HMAC SHA1 ハッシュキー、3DES または AES 暗号化鍵、および SSL 非公開鍵が保存されます。
truststore – このファイルには、クライアントが信頼すべき、認証局のデジタル証明書が保存されます。これら信頼できる証明書に従って、クライアントはインストール時にサーバーを信頼します。
certstore – このファイルには、クライアントのデジタル証明書が保存されます。
certstore ファイルは、クライアント ID のディレクトリに置く必要があります。/etc/netboot ディレクトリのサブディレクトリに関する詳細は、「WAN ブートインストールの適用範囲のカスタマイズ」を参照してください。
これらのファイルの作成方法と保存方法については、次の手順を参照してください。
ネットワーク上のクライアントに対してインストールを行うとき、いくつかのクライアントで、あるいはすべてのサブネットで、セキュリティーファイルと構成ファイルを共有することもできます。これらのファイルを共有するには、/etc/netboot/net-ip/client-ID、/etc/netboot/net-ip、および /etc/netboot の各ディレクトリに構成情報を置きます。インストール時に、wanboot-cgi プログラムはこれらのディレクトリから構成情報を検索し、クライアントに最もよく適合する構成情報を使用します。
wanboot-cgi プログラムは、次の順序でクライアント情報を検索します。
/etc/netboot/net-ip/client-ID – wanboot-cgi プログラムはまず、クライアントマシンに固有の構成情報を検索します。/etc/netboot/net-ip/client-ID ディレクトリにすべてのクライアント構成情報が揃っている場合、wanboot-cgi プログラムが /etc/netboot ディレクトリのほかの場所の構成情報を検索することはありません。
/etc/netboot/net-ip – 必要な情報が /etc/netboot/net-ip/client-ID ディレクトリに揃っていない場合、wanboot-cgi プログラムは /etc/netboot/net-ip ディレクトリでサブネット構成情報を検索します。
/etc/netboot - 必要な情報が /etc/netboot/net-ip ディレクトリにも見つからない場合、wanboot-cgi プログラムは /etc/netboot ディレクトリで大域的な構成情報を検索します。
図 10–2 は、/etc/netboot ディレクトリを設定して WAN ブートインストールをカスタマイズする方法を示しています。
図 10–2 の /etc/netboot ディレクトリレイアウトでは、次のような WAN ブートインストールを実行できます。
クライアント 010003BA152A42 に対してインストールを行うときは、/etc/netboot/192.168.255.0/010003BA152A42 ディレクトリにある次のファイルが wanboot-cgi プログラムによって使用されます。
system.conf
keystore
truststore
certstore
次に、/etc/netboot/192.168.255.0 ディレクトリにある wanboot.conf ファイルが、wanboot-cgi プログラムによって使用されます。
192.168.255.0 サブネット上のクライアントに対してインストールを行うときは、/etc/netboot/192.168.255.0 ディレクトリにある wanboot.conf、keystore、および truststore の各ファイルが、wanboot-cgi プログラムによって使用されます。次に、/etc/netboot ディレクトリにある system.conf ファイルが、wanboot-cgi プログラムによって使用されます。
192.168.255.0 サブネット上にないクライアントマシンに対してインストールを行うときは、/etc/netboot ディレクトリにある次のファイルが、wanboot-cgi プログラムによって使用されます。
wanboot.conf
system.conf
keystore
truststore